株式会社ファイブスターズ アカデミー
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今年のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授が、「人の役に立つことはないか、それだけを考えてやってきた」と言った言葉が頭にこびりついています。学問とは、混沌とした事象を分析研究することで、何らかの法則性を見出すことだと思います。そして大切なことは、その法則性を活用して人の役に立つものを開発することです。あくまで、人の役に立つと言うのが最終目的のはずです。しかし、実際に大学で教えられている学問は、はたして人の役に立っているのでしょうか。理系の場合はまだ理解できます。化学であれば新薬の開発を通じて人の命を救ったり、様々な化学製品の開発を通じて私たちの生活を豊かにしてくれます。物理…
企業の人事部門が抱える大きな課題のひとつに「人材開発」があります。中には、社員は宝だという意味でしょうか、「人“財”開発」と表記しているところもあります。しかし、開発される側の一般社員としては、「人材」の一体どこが「開発」されているのか理解に苦しむこともしばしば。ある学者が「開発」という言葉ではなく、「発達」という言葉を使うことを提案していました。なるほど、「人材発達」の方がわかりやすいですよね。ついでに、「人材」という言葉も「能力」という言葉に置き換えたらどうでしょう。「能力発達」これならやるべきことが明確化されます。「部下の人材を開発する」よりも、「部下の能力を発達させる」の方がわかりやす…
『瞬間湯沸器』の回で、感情と行動は切り離せることを書きました。カッとなっても、行動をコントロールすることにより、怒鳴ることをセーブすることはできるのです。さらに、『情けは人の為ならず』の回で、腹が立ったときに、怒りによる衝動的な行動をコントロールできない人は、脳に問題があるかもしれないとも書きました。具体的に言うと、「腹内側前頭前皮質」が損傷している可能性があるのでしたね。ところで、今回は全く逆の視点から、この問題を考えてみたいと思います。つまり、怒りの感情をコントロールし過ぎて、怒れなくなってしまった人についてです。最近、「部下に対して甘すぎる管理職が多い」という話をよく聞きます。パワハラに…
やっとの思いで、今年度の販売予算を達成したと思ったら、来年度の予算は10%増とのこと。打ち出の小槌じゃあるまいし、そんなに簡単に数字が出てくりゃ誰も苦労はしない。前年の実績を維持するだけでも大変なのに。全く上層部は何を考えているんだ!営業部門の悲鳴が聞こえてきそうです。生物学の本で『赤の女王仮説』を知った時、真っ先に連想したのは、この営業部門の嘆きでした。ルイス・キャロルが、『不思議の国のアリス』に続いて発表した『鏡の国のアリス』には、様々なチェスの駒が擬人化されて登場します。赤の女王は、何故か全力で走り続けています。そして、ようやく追いついたアリスの質問に、こう答えたのでした。「この国では、…
ニカって誰?ホレス・シルヴァーに『ニカズ・ドリーム』という曲がありますが、ずっと気になっていました。不勉強な私に答えを教えてくれたのは、植草甚一のエッセイでした。パノニカ、本名パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーターは、当時のジャズメンのパトロンとなっていたお金持ちの女性です。ロスチャイルド財閥のイギリス家系に生まれ、フランス人男爵と結婚するという、まさに絵に描いたようなセレブです。彼女がジャズの魅力にハマったいきさつというのが、またすごいのです。パノニカの兄ヴィクターは、第二次世界大戦中、チャーチルの個人的な密使として、たびたびルーズベルトの元に派遣されます。その都度、以前からピアノのレッスンを…
ちょっと前のことですが、空気を読めない人間は“KY”などと陰口を叩かれました。“空気”について最初に論じたのは山本七平です。1977年に上梓された『空気の研究』は、今でも多くの人に読まれているロングセラーです。その冒頭に、戦艦大和の特攻出撃のことが書かれています。2014年7月の『戦艦大和』の回でも書きましたが、終戦の年である昭和20年4月7日に、撃沈されることが火を見るより明らかだったにもかかわらず、大和は連合軍に占領された沖縄を目指して出航します。予想通り、九州を出るや否や敵に発見され、わずか2時間ほどで海の藻屑と化しますが、この戦闘で3,000人以上が命を落としました。この時、片道分の燃…
『ノブレス・オブリージュ』(15年2月)の回で、群れを作る動物は、ほとんどの場合序列があると書きました。人間だけは例外であってほしいと願っていましたが、廣中直行の本を読んでいたら、残念ながら見事にこの法則が当てはまることがわかり、思わず笑ってしまいました。今回取り上げるのはメンドリです。ニワトリも序列化する動物ですが、特にメンドリのそれは厳格だそうです。まず、上位のトリと下位のトリ、どちらも空腹のメンドリをセットにして、三セット用意します。最初は、普通にオリの中にエサを置いて二羽を同時に入れます。すると、上位ドリだけが食事します。下位ドリはそれを横目で見ながら、上位ドリが満腹になって食事を止め…
いつの頃からか、若者達が「自分らしく」を主張し始めました。昔は、会社に入るということは、その会社の“型”に自分を合わせることを意味しました。一日も早く会社の一員になれとか、○○マンにふさわしい行動をとれとか、まずは組織に自分をアダプトさせることが最優先でした。しかし、バブルの頃辺りから、自分らしさが発揮出来ないと思われる会社は、学生から敬遠されるようになりました。滅私奉公の時代ではないので、自分らしさを大切にすることは重要です。しかし、私はあえて問いたいのです。「自分らしさ」って、一体何のこと?若者達は、自分らしくあるために、様々な労働条件をあげます。残業が少ないこと、休日出勤がないこと、職場…
誰もが知っている伝統ある大企業で、大規模な不正会計が行われていました。しかも、代々にわたりトップが直接指示していたと言うではありませんか。零細なオーナー企業ならまだしも、高学歴の人が大勢集まる優良企業で起こった不祥事に世間は大変驚きました。実は、優秀な人材が多く集まって議論をしても、必ずしも最適な決定を下すわけではないという研究があります。わかりやすく言うと、IQの高い人たちが集まっても、そのグループのIQが高くなるわけではないということです。カーネギーメロン大学のアニタ・ウーリーと、MITのトーマス・マローンの報告です。まず、18~60歳の男女699人に事前にIQテストを実施して、個人個人の…
Jazzandfreedomgohandinhand.ジャズと自由は手をつないで行くセロニアス・モンクがそう表現したように、1950年代のアメリカでは公民権運動に代表される人種差別反対運動が盛り上がるのと機を一にして、それまで上流社会のダンスミュージックに甘んじていたジャズが、バップという新しい演奏手法を手に入れ、黒人の魂の叫びへと変貌を遂げました。しかし、60年代に入るとジャズは明らかに行き過ぎてしまいます。旋律やコード進行といった音楽の決まりごとをすべて無視した、あの忌々しいフリー・ジャズが始まったのです。フリー・ジャズは、例えて言うなら安部公房の小説のようなものです。翌日必ずお腹を壊しま…
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