株式会社ファイブスターズ アカデミー
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天地(あめつち)の間には人間や動植物だけでなく、神も住んでいました。 キリスト教やイスラム教、ユダヤ教は全て「唯一神教」ですが、日本では山にも森にも川にも、至るところに神がいます。 八百万(やおよろず)の神々もまた、私たち人間や動物や植物と共に「天と地の間の空間」に暮らす存在です。 日本における自然は、西洋のように神と共に立ち向かうべき相手ではなかったのです。 昔の日本人は、自然が時に大雨、台風、地震、噴火などの残酷な振る舞いをするのは、八百万の神々が怒っているからだと考えました。 自然の中にいる神々に対して、畏怖の念を抱いたのです。 このように、万物に霊が宿るという考…
日本の植物学の父といわれる牧野富太郎博士が「雑草という名の植物はない」と言ったように、雑草と呼ばれる500種類以上の植物にはそれぞれちゃんとした名前があります。 雑草は、家庭菜園をしている人にとっては憎たらしい存在ですが、四六時中嫌われているというわけでもありません。 「温室育ち」に対するアンチテーゼとして、「雑草魂」という言葉があります。 雑草は踏まれても挫けずに立ち上がる、「たくましさ」の象徴でもあるのです。 でも、雑草は本当にたくましい植物なのでしょうか? 植物学者に言わせると、雑草は極めて弱い植物で、競争が激しい場所では生きていけないのだそうです。 雑草が生えるのは…
ビール業界に走った大激震とは、サントリーが発売した「発泡酒」です。 バブルが弾けた後の日本経済は、深刻なデフレに陥っていました。 低価格を求める消費者は、安い発泡酒に飛びつきます。 ところが、キリンの社内にはこんな声が渦巻いていました。 「発泡酒はビールではない」 「粗悪な安売り商品だ」 「キリンは品質を追い求めるべき」 キリンはかつてのアサヒと同様、完全に顧客目線を失っていたのです。 社長は、社内の反対を押し切って独断で発泡酒への参入を宣言しますが、すでにサントリーの発売からは2年の月日が経っていました。 社員の士気が高まらないためか、社長の肝煎りにもかかわらず開発…
サラリーマンが仕事で実績を挙げようと懸命になるのは、実績が出世に直結するからです。 よほどの変わり者でなければ、サラリーマンのほとんどは出世を重要なことと考えます。 そのため、何らかの理由で出世の道が閉ざされたりすると、仕事に対するモチベーションは著しく下がってしまいます。 ところが、数は決して多くないのですが、出世を最優先に考えないサラリーマンも存在します。 そういう人は、出世とは別に仕事上の「やりたいこと」を持っていて、それが働くモチベーションになっています。 そのような人にとっては、出世はあくまで「やりたいこと」を達成する過程での「副産物」に過ぎません。 こうなると、…
スーパードライが出現する以前のビール市場には、「絶対王者」のキリンが君臨していました。 72年から85年までの販売ベースシェアはすでに6割を超え、独占禁止法に抵触する寸前。 主力はもちろん『ラガー』です。 でも、昔からキリンの王国だったわけではありません。 終戦後GHQによって大日本ビールがアサヒとサッポロに解体された時、キリンは弱小メーカーのひとつに過ぎませんでした。 当時、ビールは冷蔵庫のある飲食店でしか飲めない高級品でしたが、キリンは業務用の販売ルートには極端に弱かったのです。 ところが、家庭用冷蔵庫が普及し始めたことでチャンスが巡ってきます。 一般家庭への瓶ビールの配達を担っていた…
ジャーナリストの永井隆は、著書『キリンを作った男』の中で、ビール業界の変遷に関するウラ話を披露しています。 1986年3月、住友銀行副頭取だった樋口廣太郎が、経営危機に陥っていたアサヒビールの社長に就任します。 後に樋口本人が永井に語ったところによれば、社長に就任した本当の目的は会社を再建することではなく、なんと「幕引き」だったそうです。 アサヒのメインバンクである住友銀行頭取の磯田一郎は、サントリーの佐治敬三社長に対して、密かにアサヒの売却を申し入れていました。 ところが、サントリーがこの申し出を断ってきたため、幕引きのために樋口を送り込んだというのが事の真相です。 ところ…
18才の、ある春の日の出来事を今でもはっきりと覚えています。 まるで金縛りにでもあったかのように、まったく身動きがとれなくなりました。 原因は小さなFMラジオから流れてきた、“慟哭”と呼ぶにふさわしいアルト・サックス。 フィル・ウッズの『ホェン・ウィ・ワー・ヤング』です。 やり場のない怒りや悲しみが塊となって私を直撃し、激しく揺さぶりました。 以来、ずっとこの曲を聴き続けています。 ウッズの知友だったロバート・ケネディの死を悼んで録音されたものと知り、何だか謎が解けたような気になったのはずっと後のこと。 ウッズがアルト・サックスを手にしたきっかけは、叔父の遺品の中にこの楽…
小西美術工藝社社長のデーヴィッド・アトキンソンは、日本の労働生産性の低さは深刻なレベルにあると指摘しています。 労働生産性とは、実質GDPを就業者数(あるいは総労働時間)で割って求めた数値。 ざっくり言うと、どれだけ効率的な働き方をしているかを示す指標です。 2018年のOECD統計によると、日本の労働生産性は加盟36ヵ国中21位。 確かにかなり低迷しています。 OECD全体の平均より18%も低く、3位のアメリカと比べると6割程度しかありません。 アトキンソンは、アメリカの労働生産性が高いのは経営者が優秀だからと絶賛しますが、本当にそうでしょうか? 日銀前副総裁の岩田規久…
高田文夫が、「放送」という漢字は「送りっ放し」と書くと言った真意は、終わった放送を反省している暇があったら、明日の放送のことを考えるべきだということです。 なるほど、だからこのワイドショーでは問題発言が後を絶たないのですね。 あるワイドショーの現役コメンテーターは、「ワイドショーは井戸端会議である」と断言しました。 このコメンテーターの職業は落語家。 つまりワイドショーというのは、専門的な知識を持たないタレントたちが集まって、まるで野次馬のように好き勝手な個人的意見を発信しているにすぎないのです。 論理的に正しい解説や分析などでは決してありません。 2022年2月にロシアが…
先日、見るとはなしにテレビのチャンネルを動かしていたら、 「ALICEの50周年」のライブ番組に行き当たりました。 私自身の若い頃に、さんざん聞いてきた懐かしい曲のオンパレード。 すっかり当時の自分に戻って、つい最後まで見てしまいました。 その中でも、ALICEの大ヒット曲「遠くで汽笛を聞きながら」は 圧巻でした。歌っているご本人たちもすっかり歳を重ね、 デビュー当時には及ばない声量ではありましたが、それなりに 年輪を感じさせる風格のある曲想となっていました。 そして、その歌を聞くうちに、当時の思いが蘇ってきて、 なぜか泪があふれ出したのです。すっかり忘れていた青…
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