株式会社ファイブスターズ アカデミー

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スタッフ

醤油とトリチウム(2)

「α崩壊」を説明するために、ある殺人事件を紹介します。 2006年イギリスで、KGBの後継組織であるFSB(ロシア連邦保安庁)の職員だったリトヴィネンコという男が、「ポロニウム」という放射性物質によって暗殺されました。その後の調査で、イギリスはロシアの元KGB職員を犯人と断定し、身柄の引き渡しを求めました。しかし、ロシア側が拒否し続けて現在に至っています。 リトヴィネンコは、FSBの一部の幹部が組織を政治的脅迫や殺し屋などの犯罪に利用していると、長官に直訴した人物です。ところが、長官に無視されたため記者会見を開いて暴露してしまいました。 そのため当局に一時拘束されてしまいますが、後にイギリス…

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醤油とトリチウム(1)

2023年9月、政府は福島第一原発のALPS処理水の放出を開始しました。中国や日本の野党の一部が、処理水のことを「汚染水」と呼んで非難しましたが、実際のところ処理水に含まれる「トリチウム」とはどのような物質なのでしょう?私は典型的な“ド文系”人間ですが、それでも取り敢えず勉強だけはしてみました。 「放射線」と聞くとどうしても怖い印象を持ってしまいますが、そもそも放射線とは何なのでしょう?勉強はそこから始まりました。参考にしたのは、物理学者で高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所の准教授、多田将が書いた『放射線について考えよう』という本。 まずは、「原子」についてのお勉強から。原子の中…

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不遜な態度のミュージシャン

かつて、これほどまでに不遜な態度のミュージシャンがいたでしょうか。北国の街にしては暑過ぎる真夏の昼下がり。ふらりと入った馴染みのジャズ喫茶で、壁いっぱいに映し出される8ミリフィルムに目が釘付けになりました。マスターが撮影してきたという、モントルー・ジャズフェスティバル。 まず、ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセンの指運に度肝を抜かれます。生まれて初めて、ギターよりも速くウッドベースを弾く光景を目にしました。ジャズって本当に凄い! 画面が切り替わると、今度はサングラスをかけた一癖も二癖もありそうな黒人が登場します。次の瞬間でした。彼のテナーが火を吹くや否や、会場は水を打ったように静まり…

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チンパンジーには「今」しかない(2)

松沢が紹介したのは、レオという男性チンパンジーの話です。 レオは脊髄の重い病気に罹り、寝たきり状態になっていました。研究者や獣医がボランティアとして24時間のケア体制を敷きます。その甲斐あって半年でかなり回復したそうですが、不思議なことにその間レオは絶望することが全くありませんでした。 口に水を含んでは、ケアしてくれる人に吹きかけるといういたずらをよくしたそうです。なぜ、彼はこんな思い病気に罹っても絶望しなかったのでしょうか。 松沢の分析はこうです。「チンパンジーには『今』しかないから」 つまり、将来のことを全く考えないから絶望しないというのです。でも、チンパンジーに「過去」や「未来」という…

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チンパンジーには「今」しかない(1)

思いこみというのはよくありますが、今回ばかりはとても驚きました。京都大学霊長類研究所の元所長、松沢哲郎の話を聞いていて目から鱗が落ちる思いをしたからです。 ヒトは、生物学上「サル目(霊長目)」に分類されます。 サル目は、さらに10以上の「科」に分かれますが、ヒトは「ヒト科」の動物です。当たり前ですよね。驚くのはこの後。 ヒト科は、さらに「属」に分けられるのですが、その属が四つもあるのです。ヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属、オラウータン属。 これらの総称が「類人猿」なので、ヒトに近い動物であろうとは思っていましたが、まさかチンパンジーなどが「ヒト科」に属しているとは。 そう言えば動物行動学の本…

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世界一裏表が激しい国民

コロナ禍が明け、インバウンド客が増加し始めました。日本の魅力は、何と言っても豊かな自然と歴史的建造物などの観光名所。最近では、それに加えて体験型の観光も流行っているそうですが、決定的なのは治安の良さでしょう。 でも、実際のところ、訪日した外国人の目には日本人はどのように映っているのでしょう? 首相官邸の調査によれば、概ね「親切で礼儀正しい」という評価だそうです。よかったですね。 でも、日本人は本当にそんなに「いい人」なのでしょうか。ジャーナリストの窪田順正が、ネットのビジネスサイトに投稿した記事を読んでいて、もしかしたら日本人は世界一裏表の激しい国民かもしれないという感想を抱きました。それは…

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ウソつきの研究(3)

持ち主の名刺や買い物メモ、鍵などが入っている「落とし物」について、銀行やホテルの従業員が落とし主に連絡してきた割合は、国によって10%前後から80%前後と大きな開きがありました。 返却率が低いのは中国、モロッコ、ペルーなど主にアジアやアフリカ、南米など。反対に高いのはスイス、ノルウェー、オランダなどの北欧諸国でした。気になる日本ですが、残念ながら調査の対象には入っていません。個人的には、今からでもいいので、ぜひ日本でも実施してほしいところです。 さて、興味深いのは、お金の有無によって返却率が違うのかということです。お金が入っていると、返却率は下がるのではないかと心配されましたが、逆に40ヵ国…

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ウソつきの研究(2)

欲張りな人間はウソをつきやすいのでしょうか。「欲張り尺度」を使った実験があります。 欲張りの尺度をどうやって測ったかというと、例えば「何かを手に入れたらすぐに次に欲しいものについて考え始める」とか、「私のモットーは多ければ多いほど良いである」といったアンケートに答えてもらい、それを数値化するのです。 そして、アンケート終了後に「試験でカンニングする」とか「お釣りが多くても申告しない」といった質問を行い、非道徳的行為に対する許容度を調べました。 アメリカ、ベルギー、オランダでの実験では、欲張りな人ほど非道徳的行為を行うか、あるいは許容するという結果が出たそうです。また、この研究では、欲張りな人…

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ウソつきの研究(1)

あなたの周りに「ウソつき」はいませんか? 礼儀上、どうしてもお世辞を言わざるを得ないケースもありますが、まるで息をするようにウソをつく人もいます。平気でウソをつく人には、何か共通する特徴でもあるのでしょうか?例えば、性別や年齢、職業による傾向などあるのでしょうか? 今回は、心理学者・阿部修士の著書『あなたはこうしてウソをつく』から、ウソに関する面白い研究をいくつか紹介していきます。日記を用いた調査によると、男性は女性よりも「利己的なウソ」をつくことが多いそうです。「利己的なウソ」とは、例えば自分の有能さをちょっとだけ誇張するといったようなことです。特に、相手が男性の場合によく見られるそうです…

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あの有名な

社会人になって数年が経った頃、上司に銀座のバーに連れていってもらいました。なんでも銀座が焼け野原だった頃からやっているとのことで、三人いるバーマンの中でもっとも若いという人と話したら、還暦をとっくに過ぎていました。55歳が定年だった頃なので、大変驚いたことを覚えています。 なぜかカウンターの立ち席が大人気で、そこが空くまでのつなぎとして椅子席で飲むという、今思えば少し変わった店でした。それから結構な時が経ち、管理職になっていた私は、近く結婚するという若手を連れて再び訪れます。そのとき、彼が注文したのが『ザ・フェイマス・グラウス』。 手ごろな値段のブレンデッド・ウィスキーです。彼の妻になる人は…

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