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村上 徹

インフレは悪か? (1)

最近、原油価格の高騰に伴い、ガソリンなどの値段が上がっています。タクシー業界もこのままでは経費がかかりすぎるとのことで、料金の値上げを申請しました。しかし、国民の一般的な感情として 「値上げは好ましくない。インフレは困る」 という声は根強いものがあります。デフレが深刻だった頃、テレビニュースの街頭インタビューなどで 「物価が安くなることは大歓迎」 と答える主婦がたくさんいました。たしかに、インフレというのは、近代の経済学がもっとも手ごわい敵として戦ってきた現象でした。毎年10%とか20%とかいう水準で物価があがったら、日々の生活も大変ですし将来の生活設計など不可能です。ところが、最近の研究では…

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株主重視政策の”光と影”

経済学の専門用語に「労働分配率」というのがあります。これは、簡単に言うと、企業が得た利益のうちどのくらいの割合を労働者(=社員)に還元しているかということです。日本は、先進国の中ではかなりこの割合が高い国でした。だから、従業員は愛社精神に燃えてがんばったのです。ところで、企業が得た利益をどう処分するかについては、労働者に還元するだけでなく、将来の設備投資や研究開発費に充てる方法もあります。これを内部留保といいます。そして、さらにもうひとつ、株式配当として株主に還元するという方法もあるのです。この割合を「資本分配率」といいます。あのホリエモン騒動以来、経営者は株を買い占められて会社を乗っ取られる…

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株主重視時代の資産運用

ホリエモン事件以降、日本の経営者の考え方が大きく変わりました。それは、自社の株価を高く保つ努力を怠ると、あっという間に乗っ取られてしまうということです。そして、株価を高く保つためには、会社の業績がいいことはもちろんですが、その好業績による果実を株式配当として株主に返していることが条件となります。私が、資産運用のひとつの手段として株式投資をお勧めしている理由はここにもあります。つまり、一般論として、今や株式配当の方が預貯金の利息より有利だということです。ホリエモンや村上ファンドのしたことについては、現在、司法の手によって判断が下されようとしています。しかし、同時にそれは、それまでの株主軽視という…

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ホリエモン事件が残したもの

ホリエモン以前は、私たちにとって会社の乗っ取りなどというのは、経済小説の中の出来事と考えられていました。ところが、彼がニッポン放送の株を密かに買占めていたことを発表してからは、日本中の上場会社が、株主と株価を意識するようになりました。このとき、「会社は誰のものか?」が盛んに論議されました。正解を言えば、会社はまちがいなく株主のものです。これは資本主義の根幹です。ただし、「会社は誰のために存在するか?」という問いになると、答えは少々複雑です。この事件をきっかけに会社側は、自身の経営権を守るため、様々な安定株主工作に走りました。前回ご紹介した株主優待施策もそのひとつです。そして、彼らは最後に気づき…

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株主優待も大きな楽しみ

テーマパークの株を持っている人が、「無料の入場券をもらえるのがうれしい」と言っていました。なるほどこういう楽しみもあるのです。ある水産会社の株主には、毎年魚の干物のセットが冷蔵便で送られてくるそうです。最近、このような株主優待の特典を充実させる会社が増えています。株式運用とは、本来このようなものではないでしょうか。前々回のブログで、『日本は資本主義の国なのだから、株は博打だという論理はおかしい』と申し上げましたが、その真意はこのようなことなのです。短期の投機対象として株を捉えるのではなく、今後も発展してほしい会社・応援したい会社の株を長く持ち続ける、これこそが本来の意味での株式運用なのだと思い…

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株は、一度買ったら長く持て

「株は博打」と言う人の多くは、非常に短い期間で「上がった」か「下がった」かを判断しています。すぐに結果を求めるところは、まったく博打と同じです。そうです。要は結果を判断するまでの期間が短いと、博打と同じに考えてしまいがちなのです。しかし、前回お話したように、事業に投資するという行為は、決して短期間で結果を求めるものではありません。世界中で、ビル・ゲイツの次に金持ちだと言われているのは、ウォーレン・バフェットという人物です。バークシャー・ハサウェイという証券会社のCEOですが、彼は株式運用だけで莫大な財産を築きました。その運用方法は実に簡単なもので、いいと思った会社の株を買ったら長く持ち続けると…

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株は博打か?

ある日テレビを見ていたら、コメンテーターなる人物が「株は博打ですから」と言っていました。ニュースなどで団塊の世代に退職金の運用をインタビューしても、「株は怖いから・・・」という声は結構多く聞きます。本当に株は博打なのでしょうか。たしかに株は値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。しかし、それをもってして「博打」と言うのはいかがなものでしょうか。というのは、そもそも私たちが暮らしているこの日本は『資本主義』の国です。いや、日本だけでなく、もはや世界中のほとんどの国は資本主義です。中国は社会主義の国ということになっていますが、株式市場は大きく発展中です。そういう意味では、今世界中でも…

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なぜ「長期金利」

 前回少しだけ触れましたが、なぜ新聞には、国債の価格ではなく「長期金利」が掲載されているのでしょうか。 今回は、債券価格(国債価格)と、長期金利の関係を解き明かしてみたいと思います。 例えば、今、あなたが国債を買ったとしましょう。 額面は100万円で、値段もちょうど100万円だったとします。 国債は10年ものでしたが、あなたが手に入れたのはすでに9年経過していて、残りの期間が1年しかない国債でした。 利回りは年2%としましょう。 計算を簡単にするために、利息の支払いは年1回の国債だと仮定しましょう。つまり、この国債を持っていれば、1年後には2%の利息=2万円と、額面の100万円が受け取れます。…

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こんな人から金融商品を買ってはいけない

 ニュースを見ていると、怪しげな金融商品にひっかかって、大切な退職金の大半を失ってしまったという悲劇が報道されています。 このブログの最初の3回シリーズは、「騙されないための3カ条」でした。 今回は、金融マーケットにおけるある数値のお話をします。私は、研修などでは、たとえ金融機関の窓口の人でも、この数値を知らない人から金融商品を買ってはいけないと教えています。 前々回の「株と国債の組み合わせ」でお話しましたが、株式市場が低迷すると債券市場が活気づきます。つまり、株式市場と債券市場は密接な関係があるということです。 毎朝の新聞には、前日の金融マーケットに関する数値が必ず掲載されています。あなたの…

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資産を増やそうと思うな!

 前回、前々回を通じて、「反対の値動きをするものに分散投資する」と書きましたが、これには異論のある方もいるでしょう。 というのは、株式市場が好調で日経平均連動型の投信が値上がりしているときに、債券市場では逆に値下がりしているわけです。 もし、日経平均連動型だけに投資していたら、儲けはもっと大きくなっていたはずです。 たしかにその通りですが、いつもいつも一方的に儲けられるとは限りません。 このブログを通じて私がもっとも言いたいことは、以下のことです。 「資産運用とは、資産を増やすことではありません。 資産をできるだけ減らさないようにすることです」 以前、「預金は絶対に元本割れしないか」という話を…

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