株式会社ファイブスターズ アカデミー
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昨年秋、日経平均は大暴落しました。理由は、アメリカ発の金融危機と言われましたが、株価がこれほど下がったのは、外国人投資家が一斉に資金を引き上げて手仕舞いしたからです。日本の株式市場は、外国人投資家で持っているといっても過言ではありませんでした。なにせ、日本で株を買っている投資家の6割以上が外国人だったからです。この6割の人たちが一斉にいなくなったと想像してみてください。それだけで、秋の大暴落は説明がつきますよね。私は、週末の日経新聞に掲載される「投資主体別売買動向」を必ずチェックしていましたが、外国人投資家の売りが止まらず、本当に絶望的な気分になったものです。しかし、年末あたりから風向きが変わ…
昨年来、政府の打ち出した経済対策の目玉である「定額給付金」については悪評ばかりが目立ちます。報道機関が実施しているアンケート調査でも、大半の国民が「効果なし」と切り捨てています。すでにこのブログでもお話しましたが、この「ばら撒き」は実に効果的な経済対策なのです。というより、このような危機的状況のときには、「ばら撒き」がもっとも有効な経済対策となるのです。では、どこがまちがっていたために、これほど批判されるのでしょうか。まず、この政策が「経済対策」なのか、「弱者救済対策」なのかを曖昧にしてしまったことです。この政策は純粋に経済対策です。決して弱者救済ではありません。なぜなら、これっぽっちの金額で…
昨年は、リーマンショックをきっかけとした世界同時株安など、経済ではいいニュースが少なかったですね。評論家によれば、今年もそれほど明るい見通しにはならないようです。いままでは、アメリカの旺盛な消費が世界の景気を牽引してくれました。つまり、アメリカが世界の「消費センター」として機能してくれたおかげで、日本製品もバカ売れしたし、中国などの新興国の生産も右肩上がりだったわけです。では、今年はどうでしょう。まず、金融機関を見てみると、アメリカの投資銀行はかなり苦しい経営状態になっています。まるでバブル崩壊後の日本のようです。ヨーロッパの金融機関も、利益追求を目的として商業銀行から投資銀行化への転換を目指…
日経平均株価は、10月27日の終値が7,162円と、バブル崩壊後の最安値を付けました。一時は、一体どこまで下がるか見当もつかないほどの弱気相場でした。株価というのは、売り手と買い手がいて価格が決定されるものですから、相場が弱気のときにはこのような暴落も起こりえます。以前、バブル期の地価が「ファンダメンタル価格」という適正価格を大幅に上回っていたことを指摘しました。株価も同様に、適正価格というものがあるのです。株価の適正価格を判断する指標はいくつかありますが、一般には、ROE(株主資本利益率)といって、その企業の利益の何倍まで買われているかが目安となります。でも、今回問題にしたいのは、PBR(株…
10月、世界はこれまで経験したことのない恐怖を味わいました。それは、世界同時株安です。まさに、100年に一度の暴風雨という形容詞がぴったりするほどでした。夕刊紙の見出しには、連日「大恐慌」の文字が躍っていました。たしかに株価の下がり幅は大恐慌を彷彿とさせるものでしたが、本当に大恐慌は来るのでしょうか?答えから言ってしまうと、NOです。なぜなら、大恐慌は、当時「金本位制」だったからこそ起きたのです。金本位制とは、その国の保有する金の量に応じて、発行できる貨幣の量が決定されるというものです。ということは、当然ながら、貨幣の発行量には上限があります。これがすべての原因です。貨幣の量が限られている場合…
前回のブログで、ばら撒き政策は正しいと述べました。ただ、それには重要な付帯条件があり、それは「インフレ期待」だとも述べました。そもそも、なぜ「インフレ期待」が必要なのでしょうか。それは、ばら撒かれたお金を貯蓄に回さないためです。例えば今、インフレ率が2%くらいとしましょう。今、1万円の値札のついている商品は、1年後には1万200円になってしまいますので、今買った方がトクです。これが、ばら撒かれたお金が貯蓄に回らずに、消費に回る背景なのです。ただ障害となるのは、メディアによるインフレ反対の大合唱と、それに影響された国民のインフレ・アレルギーです。このような状況の中で、日銀がインフレ・ターゲット政…
10月の世界同時株安は「100年に一度の暴風雨」と形容されましたが、日本でも緊急の経済対策が発表されました。いつもどおり、メデイアでは非難轟々ですが、本当にそれほど効果のないものなのでしょうか。まず、よく出てくる批判の一つに「国民への給付金は、ばら撒きそのものである」というのがあります。すでにこのブログで何度も指摘しましたが、「ばら撒き」が悪いわけではありません。というのは、現在の日本の問題点は「内需が弱い」ことです。これまでの好景気は、海外需要に依存した輸出主導のものでした。ところが、為替相場が一転して円高になったために、日本製品の海外での競争力は弱まりました。そこで、これからは日本国内での…
今回の金融危機に際して、アメリカの金融政策担当者たちが下した判断は、実に大胆かつスピーディーなものでした。90年代のバブル崩壊後の日本の金融政策が、「トゥー・リトル、トゥー・レイト」と評されたのに対して、その対極といってもいいものでした。もちろん彼らが、日本の金融政策の誤りの過程を十二分に検証していたからできたことです。とにかく日本と反対のことをやればいいということです。今回の対応がどのような評価を下されるのかは、今後の歴史の審判を待たなければなりませんが、とりあえずは90点以上の点数が与えられてもおかしくはないでしょう。ただ、アメリカの問題点は別のところにあります。それは公的資金投入という英…
前回までのブログで、サブプライム・ローン問題の不良債権総額はそれほど大きくありませんでしたが、人々が疑心暗鬼になったため金融商品のマーケット価格が暴落したという話を書きました。これは、先日の世界同時株安も同様です。よく「景気の”気”は、気持ちの”気”である」といいますが、まさにマーケットを支配しているのは感情なのです。サブプライム・ローンと全く同じ構造なのが、中国の冷凍餃子事件です。農薬の混入が確認された袋は、確か数十袋だったと記憶していますが、この事件を契機に日本全国で輸入もの冷凍餃子の消費は極端に落ち込みました。聞くところによると、国内で作られたものでさえ影響を受けたようです。金融市場にお…
前回、アメリカのバブル崩壊は「金融工学バブル」の崩壊だと言いました。90年代後半からアメリカの経済を引っ張ったのは、金融工学という新しい学問の登場でした。ブラック=ショールズ式が、世界の金融取引に与えた衝撃はまさに革命的なものでした。それまで、リターンをもたらす金融取引にはリスクがつきものであり、それは避けられないものとして考えられていました。そして、そのリスクを引き受けられるのは、一部の資本家や資産家に限られていたのです。しかし、そのリスクを証券化して細切れに分散することにより、多くの人々がちょっとずつリスクを分担するという仕組みが編み出されました。ブラック=ショールズ式がもてはやされたのは…
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