株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

しつこいタイプ(1)

中学か高校か忘れてしまいましたが、保健体育の授業でクレッチマーの体型と性格の相関の話を習いましたよね。芥川龍之介のような細長型は「分裂気質」でした。なんとなくわかるような気がしますよね。田中角栄のような肥満型は「そううつ気質」でした。これもなんとなくイメージできそうですね。問題は、がっちりしたマッチョマンタイプです。ただ、マッチョタイプといっても、ジムで鍛え上げたというのではなく、いわゆる骨太といった感じの人のことです。クレッチマーはこのタイプを「闘士型」と呼んで、「てんかん気質」とか「粘着気質」と呼びました。つまり、マッチョマンタイプは、しつこい性格であるということです。私は、これがイマイチ…

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消費者の不思議な行動(3)

モノが私たちの心を豊かにするのではありません。だから、優れたモノを開発したからと言って、性能のよさをアピールすれば売れるというわけではありません。そのモノが、生活のどんなシーンでどんな楽しい演出をしてくれるのか、それを消費者にイメージさせる必要があるのです。ある夏の日曜日に、こんな経験をしました。スーパーの紳士服売り場でブラブラしていたときのことです。そこには、大量の甚平がハンガーに吊るされていました。そして、そのハンガーの上に、四角いPOPが目立つように立てられていました。私は、てっきり新製品のPRだと思い込んでいました。例えば、汗をかいてもムレない素材を使ったとか、洗濯しても乾きが早いとか…

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消費者の不思議な行動(2)

今回はデジカメを買うときの不思議な行動についてです。ネタ元は前回同様、パコ・アンダーヒルの著書です。デジカメというと、一般的に男性が買っていくケースが多いだろうと想像しますが、実際の購入者の男女比は同じくらいだそうです。ただ、売り場を訪れるのは圧倒的に男性が多く、その多くはカタログをもらって帰るそうです。つまり、家に帰ってからじっくり比較・検討してから機種を決めるタイプが多いようです。女性はそんな面倒くさいことはしません。その場で気に入ったものがあるとすぐに買ってしまいます。ところで、このデジカメを買うときの行動について、男性と女性で決定的に違っていることがあります。これが不思議なんですよね。…

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消費者の不思議な行動(1)

今回は脳の話ではありません。マーケティングの研究者の中には、私たちがモノを買うときについついしてしまう、不思議な行動について研究している人がいます。日本で大手の広告代理店と組んで様々な実験をしている、パコ・アンダーヒルの著書から拾ってみました。家電量販店に監視カメラを設置して消費者行動を観察すると、いくつかの不思議な行動が観察できるそうです。まず、最初は洗濯機売り場です。品定めする人は、なぜか必ずフタを開けて中を覗き込むそうです。なぜそんなことをするのかは謎ですが、これにより実に不都合なことが起こりました。家電製品には必ずPOPが貼り付けられていますが、洗濯機の場合はだいたいフタの上につけられ…

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ブランド効果(2)

前回同様、ネタ元はリチャード・レスタック著 高橋則明訳「はだかの脳」(アスペクト)です。まず基礎知識として、以下の確認をしておきましょう。私たちの言語脳は、一般には左の脳にあります。左脳というのは、右目と太いパイプでつながっています。よって、右目から入ってきた文字情報は、左脳に送られますので、比較的すぐに反応する傾向にあるのです。では実験についてお話しましょう。カリフォルニア大学での実験は、コンピューターの画面の右か左に文字を提示するというものです。賢明な読者の皆さんは、今の話からして、画面の右側に文字が提示されたら反応が早いだろうと予想したことでしょう。その通りなのですが、ご丁寧にちょっとし…

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ブランド効果(1)

不思議なもので、ブランド品と聞くと、どうしてもノーブランドのものよりは立派に見えてしまいます。このとき、私たちの脳の中ではどのような変化が起きているのでしょう?C・プリビルらの研究グループは、日本の高級ブランドの小売店の顧客を対象に、fMRIで脳の様子を調べました。まず、顧客を「小売店に強い愛着を持つ」グループ、「まあまあ愛着のある」グループ、「ほとんど愛着はない」グループの3つに分けて、「はい」か「いいえ」で答えられる質問をします。すると、強い愛着を持つグループだけが、眼窩前頭皮質、側頭極、紡錘状回、扁桃体などで活性が上がりました。こられは、思考、感情、記憶に関わる領域です。ちなみに取引銀行…

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ペプシ・チャレンジ

今回は、経済行動と脳の話です。ベイラー大学のリード・モンタギューの研究は、おなじみのペプシ・チャレンジです。これは、80年代にアメリカで流されたCMです。ペプシコーラとコカコーラの二つを、ブランド名を隠して飲ませ、どちらがおいしいかを判断してもらうものです。普通にやると、ペプシを選ぶ人が多いのです。だから、ペプシはこれをCMに使ったわけです。モンタギューの研究では、このとき報酬を感じる腹側被殻の活性が上がっていました。単純に「うまい!」と感じたものを素直に選んだといえます。ところで、彼は、もうひとつの実験を試みました。それは、どちらがコカコーラか事前に教えてしまうのです。すると、コカコーラを選…

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ポジティブ・シンキング(2)

前回に引き続き、ポジティブ・シンキングが脳にどのような影響を与えるかのお話です。モントリオール大学のエリザベス・ペロー・リンクの研究を紹介しましょう。7人の男優に、「悲しい」「うれしい」「中立」のうちのどれかの感情になってもらいます。そして、そのときの脳の様子をPETで観察し、どのような変化が現れたかを観察します。なんと、「悲しい」と「うれしい」のときには、セロトニン合成能が異なるパターンを示したそうです。つまり、様々な感情は脳の電気化学的作用に影響を及ぼしている可能性があります。ということは、「うれしい」という気持ちでいると、幸せを感じるホルモンであるセロトニンがドバドバ出てくるということで…

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ポジティブ・シンキング(1)

ポジティブ・シンキングは、とても大切なことです。同じ場面に遭遇しても、それをどう解釈するかで、どうやら脳の反応する場所が違うらしいのです。出典は、リチャード・レスタック著 高橋則明訳「はだかの脳」(アスペクト)です。ジョン・ガブリエリという人の実験を紹介しましょう。まず病院のベッドに寝ている患者の写真を見せます。あるグループには、「治る見込みなし」と説明し、その患者になることを想像させます。すると、左脳の扁桃体の活性が上がります。ここは恐怖に関係する場所です。そしてもうひとつ、左脳の前頭前皮質の活性も上がります。ここは、想像に関係します。つまり、恐怖を想像していることが分かります。一方で、別の…

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寿命遺伝子(3)

今回の話のネタ元は、田沼靖一氏の「死の起源遺伝子からの問いかけ」(朝日選書)です。最初に登場するのは前回お話したdaf-2遺伝子ですが、今回はdaf-16という遺伝子にも登場いただきます。daf-2はインスリン受容体とそっくりです。ということは、ここでもカロリー摂取と寿命は関係あるようです。一方、daf-2は、daf-16遺伝子を抑制する働きがあります。daf-2にキズがつくと、daf-16の抑制ができなくなります。するとどうなるかというと、SOD活性が異常に高まるのです。SODとはスーパー・オキシド・ディスムターゼの頭文字で、活性酸素を取り除く役割をしています。そして、たくさんの活性酸素が取…

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