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村上 徹

三位一体説(3)

さて、爬虫類の脳(ワニの脳)、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてお話してきました。今回はいよいよ最後の、新哺乳類の脳、いわゆるヒトの脳についてです。具体的には、大脳皮質、とくに理性をつかさどる前頭連合野などを指します。旧哺乳類の脳で、ようやく感情が生まれるのでしたね。ネズミの母親は自分の赤ちゃんに愛情を感じるので、食べたりしないという話をしました。でも他人のネズミの赤ちゃんには愛情を感じないので食べてしまうのです。新哺乳類の脳(ヒトの脳)になって、ようやく他人の赤ちゃんも殺さなくなります。おそらく感情に加えて、前頭連合野がつかさどる理性が働くからなのでしょう。もし前頭連合野の働きが鈍くなったらど…

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三位一体説(2)

前回は、爬虫類の脳(ワニの脳)についてお話しました。今回は、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてです。具体的には、大脳辺縁系を指します。爬虫類の脳には感情はありませんでしたが、旧哺乳類の脳になって初めて感情が生まれます。大脳辺縁系という部分は、感情をつかさどっているのです。ワニの赤ちゃんは、生まれるとすぐ、母親に食べられないために走って逃げるのでしたね。でも、ネズミの赤ちゃんは逃げ出しません。なぜなら、ネズミの母親はわが子に愛情という感情を持つので、子供を食べたりしないからです。良かったですね。でも、これはこの愛情はわが子に対してだけです。集団でネズミを飼うと、母ネズミはわが子は食べませんが、他人…

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三位一体説(1)

マクリーンという学者は、人間の脳は3つの脳から成り立っているという説を唱えました。これは三位一体説というものです。①爬虫類の脳(ワニの脳)②旧哺乳類の脳(ウマの脳)③新哺乳類の脳(ヒトの脳)今回は①について説明しましょう。具体的には、大脳基底核や脳幹を指します。別名「ワニの脳」とも言われ、もっとも原始的な脳です。動物は、自分の縄張りに侵入した敵に対して、威嚇するか戦うか逃げるかの選択をします。以前、「3つのF」として説明しましたよね。たとえばこんな場面を想像してみてください。あなたが、夏の暑い日に必死で外回りをして帰ってきたら、あなたのデスクには同僚が座っていてゲラゲラ笑いながら誰かと電話して…

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FOXP2

前回、自閉症は遺伝病であると話しました。そして、転座をおこしている遺伝子は、もともと7番染色体にあるFOXP2でした。さて、以前、人類はいつ言葉を手に入れたかというブログで、今から2~10万年前のネアンデルタール人が初めて言葉らしい言葉を話したと言いました。もうひとつ、分子遺伝学からのアプローチを紹介しましょう。イギリスにK.E.という家系の一族がいました。この一族の半分は難読症という言語障害で、残りの半分は正常です。ということは、この言語障害は遺伝によるものとわかりますよね。そこで詳しく調べたところ、FOXP2が原因遺伝子であることがわかったのです。今の科学はとても進歩していて、特定の遺伝子…

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自閉症

前回、12歳になっても人の心がわからない人がいるという話をしました。それは、自閉症の患者です。自閉児は、電車の中でも他の乗客の迷惑などお構いなしに騒いだりします。これは、他人に心があるということが理解できないからです。自閉児に、「その辺の景色を描いてみて」というと、背景は詳しく描きますがそこにいる人の顔については、何も描かないことが多いそうです。つまり、人に対して関心がないのです。具体的には、相手に注意が集中せずに、目を見ないで首のまわりを見ています。でも最近思うことがあります。電車に乗ると、シルバーシートに若者が座っていること結構多いですよね。そして、老人が目の前の吊革につかまっているのに、…

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誤信念課題

KYは、「空気読めない」ですが、これがひどくなると、「人の気持ちの読めない奴」なんてことになります。実は、人の気持ちを読むってことは、大変高度な脳の働きなのです。心理学で大変有名な実験を紹介します。サリーとアンの誤信念課題というものです。今、子供たちがテレビの映像を見ています。そこには、部屋の中でクマのぬいぐるみで遊ぶ、サリーという女の子が映っています。やがてサリーはぬいぐるみをおもちゃ箱に入れて、部屋を出ていきます。すると、今度はアンという女の子が入ってきます。アンは箱の中のぬいぐるみを取り出して、タンスに隠して部屋を出ていきます。またサリーが戻ってきました。彼女はまたぬいぐるみで遊ぼうとし…

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成功も思い込みから

思い込みという脳の回路についてお話してきましたが、決して悪いことばかりではありません。数年前に、子供たちの間で、カブトムシを戦わせるカードゲームが流行りました。また実際にカブトムシを戦わせることも流行ったため、ヘラクレスオオカブトなどの外国産の大きなカブトムシが店頭に並ぶようになりました。ここでこんな実験をしてみます。一匹のカブトムシを、カブトムシの模型と戦わせるのですが、わざと負けて「勝ち癖」をつけさせるのです。これを繰り返すと、カブトムシの脳に、「自分は強いのだ」という思い込みの回路ができてしまいます。すると、今度は本物の外国産の大きなカブトムシと戦わせても勝ってしまうのです。つまり、脳の…

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さかさメガネ

このシリーズで何回もお話ししましたが、私たちの脳の中に結ばれている映像と実際に私たちの網膜に映し出されている映像は違っています。テレビ局でいうと、スタジオのカメラがとらえている映像を編集部が少しいじって、素材のものとはちょっと異なる映像が、家庭のテレビに放映されている状態なのです。脳科学では大変有名な、「さかさメガネ」を例にして解説しましょう。さかさメガネというものをかけると、天地がひっくり返って見えます。つまり、地面は上に、空は下に見えます。道行く人は逆立ちして歩いています。こんなメガネをかけて生活することはさぞ大変と思いきや、一週間程度で完全に慣れてしまうそうです。いや、慣れてしまうという…

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言葉はいつ手に入れた?

人類が言葉を手に入れたのは一体いつ頃のことでしょうか。以前、笑顔のシリーズで、ヒトがサルから進化し始めたのは、約450万年前頃だと書きました。ところが、言葉を手に入れたのは、かなり最近のことです。180万年前のあたりに、ホモ・エルガステルという旧人がいたことが確認されています。あっ、ちなみに人類は、猿人⇒旧人⇒新人 の順に進化したのです。さて、そのホモ・エルガステルは、見つかった頭蓋骨から、ある程度発達した声帯を持っていたと考えられています。しかし、専門家によれば、短い音節言語しか発声できなかったらしいのです。例えば、「オォ」とかでしょうか。やがて彼らは絶滅し、その後高度な言葉を使いこなせる人…

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MT野

以前、目では見えない部分を、脳が補って映像化している話をしました。今度は、少し観点を変えてみましょう。視覚に障害が発生したらどうなるかというお話です。目から入った情報は、一旦バラバラにされて、脳の中で再構成されます。その工程は大まかにいって、五段階あります。第一次視覚野から始まって、第五次視覚野まであるのです。そして最後には、すべての情報が統合されて、今あなたが見ている映像が脳の中に映し出されるのです。第二次視覚野に障害が起こると、色だけが消えます。つまり、昔の白黒テレビになってしまうのです。その視覚野の中に、MT野(第五次視覚野)があります。ここに障害が起きると、とても不思議なことが起こりま…

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