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村上 徹

両論併記は公平なのか

新聞記事では、よく賛否両論が併記されます。新聞社として公平性・中立性を保つ意味合いがあるのでしょうが、果たして本当にそうでしょうか。元新聞記者の松永和紀氏が、「もうダマされないための『科学』講義」(光文社)の中で疑問を呈しています。氏は、科学的な問題を扱う際に、記者の勉強不足が原因で安易に両論併記を行っていると指摘しています。私たちは両論が併記されていると、つい5対5くらいの割合だと思ってしまいます。しかし、例えば遺伝子組み換え食品の安全性に関していうと、現在の安全性やリスク管理に問題がないと考える科学者が99で、問題ありと考えている科学者が1くらいだそうです。いや、もっと言うと、999対1く…

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記者クラブという奇妙な制度

国会や政府の建物、また地方自治体には記者クラブというものがあります。大手新聞社や地元の新聞社がそのメンバーです。ですので、当局が記者会見を行う場合、原則としてそのメンバーしか入ることは許されていません。新聞社同士の取材合戦がエスカレートすることを防止するためでしょうが、反面、雑誌記者やフリーのジャーナリストたちを排除する既得特権でもあります。そして、当局の発表を何の検証を行うことなく垂れ流すという構造をもたらしました。なぜ垂れ流すかというと、当局に批判的な記事を書くと、記者クラブから締め出されるからです。沖縄の防衛局長の問題発言の際触れた、「書いたら出入り禁止」というあのことです。国会や官邸な…

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ジャーナリズムの耐えられない軽さ

伝統あるプロ野球球団が内紛でもめています。突然、球団幹部が内部告発しました。その親会社の新聞社は、この事件を徹底的に黙殺します。報道するのは、他の新聞社やテレビ局だけでした。これが、他の球団だったらどうでしょう。たとえば電鉄会社や食品会社だったら、これほどまでにセンセーショナルに報道したでしょうか。何か、日頃の憂さ晴らしをしているようにさえ感じられました。私が思うに、この問題は一プロ野球球団の内輪もめという単純なものではありません。その親会社がマスコミであることから、報道機関の報道姿勢が問われる事案です。なぜなら、ひとりの老人が球団運営のすべてを取り仕切っており、しかもその人物は、大新聞社の主…

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ガラパゴス・ジャーナリズム

沖縄の防衛局長発言と同じで、オフレコが世に出てしまった事案があります。それは、震災復興担当大臣が地元の首長を訪問した際、応接室で待たされたことに腹を立て、怒鳴り散らしたというあの事件です。このとき大臣は、取り囲んだ記者たちを睨みつけて「いいか、絶対にオフレコだぞ!、もし書いたらその社は終わりだぞ!」とすごんで見せました。当然のことながら、全メディアが沈黙を守りました。なぜなら、もし報道してしまったら、終わりになることはないにしても、今後の取材で相当な報復を受けることが明らかだったからです。そんな中、勇気を持って報道したのは仙台のテレビ局でした。震災で被災した一員として、この発言は許せないという…

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オフレコ

先日、沖縄防衛局長が不適切発言で更迭されました。マスメディアは、沖縄県民の心を踏みにじる発言として徹底的に批判しました。そんな中、ある大新聞が疑問を投げかけました。それは、あの発言を明るみに出してしまったことは、はたして正しかったのかということです。どういうことかというと、あの発言は「オフレコ」を前提としたものだったからです。オフレコというのは、絶対に報道しないという約束のもとで本音を語ることです。今回この約束を破って記事にしたのは、沖縄の新聞社でした。いくらオフレコと言えども、絶対に許せないという判断に立ち、「出入り禁止」という報復圧力をかけられながらも、あえて報道したのです。これをきっかけ…

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ジャーナリズム

昨年末、オウム真理教の関係者の裁判がすべて結審したと報道されました。その日、ある新聞社のサイトに気になる記事が載っていました。この新聞社は、地下鉄サリン事件の起きた年の正月、富士の教団施設の近くでサリンが検出されたことをスクープしたのですが、そのことについての記事でした。曰く、「教団の報復も予想される中、勇気を持って記事にした」と自画自賛する内容です。私は、強い違和感を覚えました。というのは、新聞記者は記事を書くとき、報復の有無を考慮に入れていることになります。額面どおり受け取れば、かなりの確率で報復が予想されるときは、記事にしないこともあるということになります。これはどういうことでしょう。私…

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「いい年に」の願いを込めて

明けましておめでとうございます。昨年は、1000年に一度の大震災に始まる苦難の年でした。でも考えてみると、その前は100年に一度のリーマンショックがありました。当然今年も、何年に一度という激動の年になるのでしょう。私が懸念しているのは、中国の問題です。中国バブルは、もはや崩壊に向けての危険水域に到達しています。もしかしたら2012年は、中国発の大激震の年になるかもしれません。そんなことから、今年のブログは、再度、経済について目を向けていきたいと思っています。地震は天災ですが、経済問題は人災です。しかも、その犠牲者は、天災よりはるかに多いのです。少しでも明るい年になればとの願いを込めて、精一杯書…

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原発の陰謀?

半年にわたり、「CO2による地球温暖化説は宗教だ」という論を展開してきました。では、なぜこのような怪しげな説が社会的に力を得てしまったのでしょうか。確たる証拠はありませんので、ここから先は噂話の範疇を出ませんが、もっとも説得力のある噂なので紹介しましょう。CO2をもっとも排出しているのは、火力発電です。逆にCO2をもっとも排出しないのは、原子力発電です。そもそも原子力発電を積極的に展開している国は、日本とアメリカ、そしてフランスだけです。他の国は、やはり原発アレルギーが根強いのでしょう。一方で、近年、東南アジアやブラジルなどの途上国の経済発展は目覚ましいものがあります。ということは、このまま成…

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日本の学会でも

CO2削減による地球温暖化防止に関しては、アメリカの科学者が否定的な態度であることは話しましたが、日本ではどうでしょうか。これが意外にも冷静なのです。2008年5月、地球惑星科学連合学会で「21世紀は温暖化なのか、寒冷化なのか」という特別セッションが開かれました。この学会は、地球に関する47の学会が共催する国内最大の学会です。そこで参加者にアンケートを実施したところ、一方的に「温暖化する」と答えたのはわずか1割でした。反対に「寒冷化する」という回答は2割。残りは「わからない」というものでした。いかがですか?100年後に気温が上がっているのか、下がっているのか、専門家でさえこれほど意見が分かれて…

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温暖化反対の方が少数派?

日本では、「地球温暖化防止」といえば誰でも大賛成ですが、海外ではかなり違います。最近では、オーストラリア、フランス、アメリカ、カナダの先進4カ国で温暖化防止法案が相次いで否決されています。日本と違ってクライメートゲート事件がキチンと報道された海外では、CO2犯人説を信じている人の方が少数派なのです。ですので、海外ではCO2に関しては、排出権取引という経済ビジネス、つまり一種のマネーゲームのネタとして捉えられています。人類の未来のためになどという崇高な、というより悪く言えば「おめでたい」考えは日本特有のものです。これらの国は、科学的根拠の薄弱なCO2削減に走れば、自国の経済活動に重大な悪影響を及…

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