株式会社ファイブスターズ アカデミー
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てっきり、「先生」が作ったものだと思っていました。ティーチャーズという名のブレンデッド・ウィスキーです。酒屋では、1000円以下で売られている安いお酒です。このウィスキーの創業者は、ウィリアム・ティーチャーという人です。もちろん先生ではありません。それどころか幼くして父親を亡くしたため、9歳の時には母親と同じ紡績工場で働かざるを得ませんでした。つまり、名前とは裏腹に学校にはほとんど行っていないのです。11歳で仕立屋の見習いになった時、そこの親方夫婦が偉かったのです。親方は、学問の大切さを知っていました。作業場の片隅で、親方の奥さんが子供たちのために本を朗読してくれました。後に彼は酒場を開いたの…
ミランの10番、本田圭祐選手の話題でもちきりです。日本のメディアは極めて好意的に報じていますが、イタリアではどうなのでしょう。イタリアでは、スポーツ紙が出場全選手の点数評価をしています。そのうち有力3紙の評価はほぼ同じでした。まず、初めて出場したサッスオーロ戦では、揃って最高点をつけていました。ところが、次のリーグ戦のベローナとの戦いでは、そろって最低点。心配していた「知名度のないミランの10番」への酷評が始まったかに思われました。評価の低い理由は簡単です。前半早々に訪れたデ・シーリョからの絶好のクロスに対して、まるで中学生のようなトラップミスをしたことです。これには、目の肥えたミラニスタなら…
そのプレースタイルの変わりようは、まるで別人のようでした。ACミランに移籍した本田選手のことです。下位に低迷していると言っても、そこは腐っても鯛。サッカーファンなら誰もが知っている名門チームの10番です。いいプレーをすれば、世界中から絶賛を浴びますが、そうでなければ徹底的に叩かれます。本田はメンタル面ではワールドクラスの選手ですが、彼の最大の欠点は運動量の少なさです。90分間ピッチをテクテク歩き続ける姿を、私たちは何回も見せられました。北京オリンピックの予選や、昨年のワールドカップ予選の中東開催のゲームです。これだけ走らないのに交代させられない選手というのは、ラモス以来でしょう。それにしても不…
今年1年間、心理学のお話にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。思えばこのブログも、昨年の2012年は経済の話でした。MV=PTという素朴な貨幣数量説を基に、日銀の姿勢を相当鋭く批判しました。しかし、どうせ何を書いても世の中変わりはしないと、絶望的な気持ちでシリーズを終えようとしたまさにその時、劇的な変化が起こりました。安倍総理が誕生し、なんとなんと日銀副総裁に岩田規久男氏が就任するという日銀にとっては、天地がひっくり返るような事態が起きたのです。なにせ、日銀にとっては「地球上で最大の天敵」が、上司として赴任したのですから。岩田氏は、それまで日銀の権威に対して一切妥協することなく信念…
今回は問題2の解説をしますが、念のためもう一度問題を見てみましょう。【問題2】カードの片面には「飲み物」、もう片面には「年齢」が書かれていて、次のような規則があるとします。『飲んでいるのがビールならば、20才以上でなければならない』今、「ビール」、「コーラ」、「22才」、「16才」の4枚のカードが提示されています。この規則が正しいことを確かめるに、どうしてもめくらなければならないカードはどれでしょう?【解答2】これはカンタンですよね。「ビール」と「16才」でした。前回、「4」のところで、裏が子音もありうるという話は推測しづらかったと思います。しかし、今回は「22才」の人が「コーラ」を飲んでいる…
認知心理学の中に「演繹的推論」に関する研究があります。以前やった「3つのドア」のようなクイズだと考えて下さい。えっ? また論理パズルなの? と、面倒に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これから実に不思議な体験をしていただきます。同じロジックで構成されている2つの問題の正答率が、なんと20倍近くも違うのです。まず問題1は、有名な「ウェイソンの選択問題」です。そして、次に問題2にチャレンジしてみて下さい。【問題1】カードの片面には「数字」、もう片面には「アルファベット」が書かれていて、次のような規則があるとします。『アルファベットが母音であるならば、その裏の数字は偶数である』今、「E」、「…
前回、第7番染色体のFOXP2という遺伝子の一部が、第11番染色体に乗り移ってしまうと自閉症を発症すると書きました。自閉症になると、他人に心があるということを理解しづらくなります。ですので、この遺伝子が「人の心がわかる遺伝子」ではないかという結論でした。しかし、自閉症の原因遺伝子は他にもあることが分かりました。スウェーデンで、自閉症とアスペルガー症候群の人合わせて男性141人、女性18人を対象に遺伝子解析が行われました。その結果、ある家系でニューロリギン4という遺伝子に異常があることが確かめられました。異常と言っても、点突然変異と言って、DNAの文字がたったひとつ違うだけです。後に、ニューロリ…
「人の心がわかる遺伝子」が特定されたわけではありませんが、候補のひとつと思われるものは見つかっています。それは大変面白いことに、一般には「言語遺伝子」として知られているものです。第7番染色体の長腕部分にある「FOXP2」という遺伝子です。なぜわかったかというと、イギリスにKEという家系がいたのですが、なんと家系の半数は、難読症とか識字障害と言われる「ことば」に関する障害がありました。残りの半数は問題がなかったので、これは遺伝病であることが分かります。そこで原因遺伝子のスクリーニングが始まり、ついにFOXP2が突き止められたわけです。この遺伝子は鳥にもあります。オスの鳥がメスを求めてさえずるのは…
前回、ミラーニューロンのお話しをしました。相手が手を振るのを見た時、自分が手を振った時と同じ細胞が発火するのでした。これは、手を振るという動作だけでなく、「感情」にも当てはまります。例えば、相手の悲しそうな表情を見た時、自分が悲しい思いをしている時と同じ細胞が発火するのです。これを、一般には「共感」と言います。今、被験者に、つらそうな表情をしている顔の写真を見せます。その時の脳の変化をfMRIで観察します。すると、脳の中の島皮質という部位の血流が増えていました。ということで、島皮質は、感情に関係していることが分かります。実は、島皮質は不快な感情に関係しているところで、現在かなり研究が進んでいま…
ここまで論じてきた「心の理論」ですが、最近は脳科学からのアプローチも盛んです。現在、脳研究のトップランナーのひとりで、あの名著「脳の中の幽霊」の著者として知られるラマチャンドランは、ミラーニューロンの働きですべて説明できると主張しています。ここから先は、ちょっと心理学っぽくなくなりますが、我慢してください。私の個人的意見ですが、心の働きを脳機能で説明できなければ、心理学は「科学」とは言えないのではないかと思っています。ではまず、ミラーニューロンからご説明しましょう。ある研究者がサルの頭に脳波計を接続して、人間がアイスクリームを食べている姿を見せました。残念ながらこの実験は失敗でした。なぜなら、…
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