株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

ビリー・ホリディ

映画のストーリーは、事実ではありませんでした。高校生の頃に観た、ダイアナ・ロス主演の『ビリー・ホリデー物語』では、彼女は南部への演奏ツアーの途中、バスから降りた林の中で“それ”を目撃したことになっています。でも本当は、ある若い高校教師の綴った一編の詩によって、“それ”の存在を知ったのでした。日本では、女性ジャズシンガーという職業は、そこそこ美人で、英語のカラオケが多少上手に歌えるならば誰でもなれます。しかし、アメリカではそうはいきません。ビリー・ホリデーは、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ボーンと並び称されるシンガーではありますが、彼女たちのように圧倒的な歌唱力や声量の持ち主ではありません。美…

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ダンヒル

今回はボトルについてのお話です。ユニークな形のボトルといえば、やはりデュカスタンのファーザーズ・ボトルに止めを刺します。スコッチではなくアルマニャック・ブランデーですが、なんとなんと”哺乳瓶”に入っているのです。1954年に、時のフランス首相ピエール・マンデス=フランスが「国民はアルコールを飲まずにミルクを飲め」と言ったことに対して皮肉をこめて発売されました。いかにもフランス人らしい発想ですね。ブランデーと言えばコニャックが有名ですが、これはコニャック地方で造られたブランデーを言います。ですので、アルマニャックは当然アルマニャック地方で造られたものとなります。他の地域でもブランデーは造られてい…

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黒井千次

数えてみたことはありませんが、今まで結構な数の本を読んできました。私は題名ではなく著者名で本を選ぶタイプですが、その中で私の人生に影響を与えた人となると、たった二人しかいません。そのひとりが黒井千次です。黒井は芥川賞の選考委員も務めた人物ですが、大人気の作家というわけではありません。この作家の『時間』という小説を読んだのは学生時代。社会人になる直前でした。会社生活に対する漠然とした不安感に囚われていた時だったので、強い衝撃を受けました。それ以来、「今後、小説は絶対に読まない」と心に決めました。まあ、正直に言うとちょっとは読んだのですが・・・『時間』に描かれているのは、どこにでもいるようなサラリ…

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ザ・フェイマス・グラウス

社会人になって数年が経った頃、当時の上司に銀座のバーに連れて行ってもらいました。随分と歴史のある店でした。なんでも銀座が焼け野原だった頃からやっていると言うので3人いるバーテンダーの中でもっとも若いという人と話してみると、なんと60をとうに過ぎていました。なぜかカウンターの立ち席が大人気で、そこが空くまでのつなぎとして椅子席で飲むという今思えば少し変わった店でした。それから結構な時が経ち、管理職になった私は近く結婚するという部下を連れて再び訪れました。そのとき、彼が注文したのが、この手ごろな値段のウィスキーでした。彼の奥さんになる人はキャビン・アテンダントでしたが、ロンドンのフライトの帰りには…

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牟田口中将

一見平和に見える日本ですが、ビジネスの世界では日々激しい戦闘が繰り広げられています。戦争のエッセンスは、ビジネスの世界に引き継がれ、今も脈々と息づいているのです。その証拠に、”拠点””戦略””戦術”など、戦争用語のなんと多いことか。太平洋戦争の、とりわけ指揮官に関する本を読んでいると、現在のビジネスシーンに共通するような実例がゴロゴロしていて、そのあまりの相似性に改めて驚かされます。「インパール作戦」と言えば、多大な戦死者を出した悪名高き作戦です。その指揮官だったのが牟田口廉也です。戦況が、誰の目にも圧倒的に不利なことが明白になった昭和19年3月。参謀本部のほぼ全員が反対していた、インパール作…

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ロイヤル・サルート

それほど多くのお酒を飲んでいるわけではないのであてにはならないのですが、ウィスキーというのは不思議な飲み物で、同じお酒なのにその日の体調によって隋分味が変わります。ある日はとてもおいしいと思って飲んでも、別の日にはきつすぎると感じることがあります。ところが、いつ飲んでもまったく変わらずに「おいしい」と思えるものもあります。私の場合、数少ないそのうちの一つがロイヤル・サルートです。かなり値段の張るウィスキーなので、もしかしたら「高いからうまいはず」というプラシーボ効果が働いているのかもしれません。ロイヤル・サルートというのは、そもそもはイギリス海軍が王室の特別行事のときに打ち鳴らす「王礼砲」を言…

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ヒト科4属

思いこみというのはよくありますが、今回ばかりはとても驚きました。テレビで京都大学霊長類研究所の元所長、松沢哲郎の話を聞いていて、目から鱗が落ちました。ヒトは生物学上、「サル目(霊長目)」に分類されます。サル目は、さらに10以上の「科」に細かく分けられますが、ヒトは当然「ヒト科」の動物です。驚いたのはこの後です。ヒト科は、さらに「属」に分けられるのですが、その属が4つもあるのです。ヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属、オラウータン属。これらは総称して「類人猿」と言いますので、ヒトに近い動物であろうということはうすうす気づいていましたが、まさか「ヒト科」だったとは・・・。そういえば、動物行動学の本で、…

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ラフロイグ

15年前に買ったポケット瓶が、いまだに封を切られることなく食器棚の一角に佇んでいます。その名はラフロイグ。ラフロイグの故郷であるアイラ島は、佐渡島と同じくらいの大きさですがここで造られるモルトは名酒ばかり。ウィスキーのロールスロイスと言われるラガヴーリンやボウモアも大変有名です。私は飲んだことがありませんが、幻の酒ポート・エレンもアイラ島にあります。なぜ幻かというと、現在は操業していないため倉庫に残ったストック分しか出回らないからです。アイラ島はまさにウィスキー造りで成り立っている島です。人口4000人に満たない小さな島ですが、ウィスキー産業が納める税金は年間で数百億円に上るそうです。そんなに…

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フィル・ウッズ

19才の、ある春の日の出来事を、今でもはっきりと覚えています。その時私は、まるで金縛りにでもあったかのように、まったく身動きができなくなってしまったのです。きっかけは小さなFMラジオから流れてきた、まさに”慟哭”と呼ぶにふさわしいアルトサックスでした。フィル・ウッズの「ホェン・ウィ・ワー・ヤング」。怒りや、やり場のない悲しみが一塊になって私を直撃し、そして激しく揺さぶったのです。以来40年にわたり、この曲を聴き続けています。ウッズと親交のあったロバート・ケネディの死を悼んで録音されたものと知って、何か謎が解けたような気がしたのはずっと後のことでした。「好きな音楽は?」と聞かれて、はたと困ったこ…

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カティー・サーク

「老兵は死なず、ただ消え行くのみ」新入社員の時、定年退職する人が挨拶でつぶやいた言葉が耳に残っています。あのダグラス・マッカーサーが、朝鮮動乱の最中に占領軍最高司令官の職を解かれた際、アメリカの議会で演説した時の名文句です。短い言葉の中に、軍人の意地と誇りがぎっしり詰まっているではありませんか。そういえば、カラオケが流行り出したのも新入社員の頃。まだカラオケ店などなく、なじみのスナックでウィスキーの水割りを飲みながらの熱唱でした。たまに上司に連れて行ってもらう、ちょっと高級な店の棚に並んでいたのがこのカティーサーク。鮮やかな山吹色のラベルに帆船が描かれたボトルは、初任給の身にとってはあこがれの…

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