株式会社ファイブスターズ アカデミー
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熊本地震に関するネット記事を見ていたら、地震直後に取材していたあるテレビ局のアナウンサーが、現地で調達した弁当を食べたということが問題視されていました。報道陣だって人間なのだから、食事くらいはするでしょう。なぜこのことが批判されるのかと最初は疑問に思いましたが、すぐに私の考えが間違っていることに気づきました。震災直後は食糧がかなり不足していたため、避難した住民の多くが満足な食事をとれなかったことを思い出したからです。そう言えば、自分たちの食糧を持参せずに現地に乗り込んだため、空腹の挙げ句に官邸に食糧支援を訴えて批判された副大臣もいました。そもそも大挙して現地に押しかけた報道陣は、どうやって食糧…
前回、人類が言葉を手に入れたのはサルから進化して440万年後、今から10万年ほど前だと書きました。大変不思議に思うのは、なぜ440万年も経ったある日、突然人類は言葉を手に入れたのかということです。これは学術的にも大きな謎です。このことについて、以前書いた『人の心がわかる遺伝子(1)、(2)』(2013年11月)の中で、言葉は宇宙からもたらされたのではないかという説を紹介しました。オカルトではありません。地球惑星物理学の権威で、地球外生命体研究の第一人者である松井孝典の仮説です。どういうことかと言うと、地球に飛来した隕石に何らかのウイルスがついていて、そのウイルスに感染したために、遺伝子が突然変…
カエルは、目の前を飛ぶ虫を実に器用に捕まえます。でも、止まっている虫を捕まえることはできません。飛んでいる虫より、止まっている虫を捕まえる方が楽なのにと思いますがそうではありません。なぜなら、カエルには止まっている虫が見えないからです。視覚のしくみは、実に複雑で興味深いものです。人間の場合、止まっているものに反応する細胞と、動いているものに反応する細胞の両方があるので、止まっているものも動いているものも両方見えます。私たちは普段、目に映ったものを「見た」と判断しますが、この時脳の中ではまるでコンピュターのように実に複雑な活動が行われているのです。まず目から入ってきた様々な情報は、要素別にいった…
キャリア研修でよく目にするのが『キャリア・アンカー』という言葉。その意味は、キャリアを選択するときに最も大切にしたい価値観や欲求のことです。別の言い方をすると、最も犠牲にしたくない価値観や欲求のことでもあります。もう少しアカデミックな表現だと、周囲が変化しても自己の内面で不動なものという説明もあります。でも、どれもよくわかりませんよね。これを提唱したエドガー・シャインは、『キャリア・アンカー』を以下の8つに分類しました。①管理能力(要は、管理職をやりたいという欲求)②技術的・機能的能力(専門職を貫きたい)③安全性(会社にしがみついていたい)④創造性(企画や開発は大好き)⑤自律と独立(命令される…
これほど面白く、そして考えさせられるビジネス番組が、かつてあったでしょうか。以前、NHKのBSプレミアムで放映されていた『覆面リサーチボス潜入』です。社長がメガネやかつらで変装し、転職を考えている職場体験者という触れ込みで、自社のあちこちの現場に潜入するのです。そして、その転職ドキュメンタリーという体で、カメラが密着取材します。発祥はイギリスだそうですが、CBSネットワークがアメリカ版『アンダーカバー・ボス』を制作したところ大反響。今度はNHKが、日本版をリメークしたというわけです。でも、いくら何でも自分の会社の社長なのだから、すぐにバレるだろうと思いますよね。ところが、プロのメイクさんの手に…
2013年の日本法規情報という会社のアンケート調査によれば、上司への不満の1位は「人間的に尊敬できない」で、44%を占めたそうです。次いで「ミスを人のせいにするなど責任転嫁する」の21%、さらに「上司が仕事を押し付ける」が「上司がパワハラをする」と同率の14%で続き、「仕事が出来ない」も5%ありました。第1位の「人間的に尊敬できない」に関しては、具体的にどういう場面でそう感じたのか想像がつきません。まさか社会的不適合者ということではないでしょう。少なくとも、通常の社会生活を営んでいるわけですから。私自身の経験で思い当たることがあるとすれば、あまりの多忙感や数字のプレッシャーから余裕をなくしてし…
たとえば霧や あらゆる階段の跫音のなかから、遺言執行人が、ぼんやりと姿を現す。━━これがすべての始まりである。鮎川信夫の『死んだ男』は、戦死した親友の森川義信を悼んだ詩です。鮎川自身は傷病兵としてなんとか生きて帰還しますが、もう一人の詩人は「生きているにしても、倒れているにしても僕の行手は暗いのだ」という便りを残してビルマで戦病死しました。鮎川の代表作とも言うべき詩ですが、詩論『すこぶる愉快な絶望』を読むと、詩集として正式に上梓されるまで、何回も何回も書き直されたことが記されています。もしかしたら、鮎川の詩作の原点は、死んだ者たちへのスウィートな追憶のリフレインではないかと私は思うのです。そし…
流行のアドラー心理学を読むと、なるほどと納得させられることが多くあります。例えば、すべての感情は何か目的があって作られるという話です。こんなケースを考えてみましょう。部下が初歩的なミスをしたので、あなたが怒鳴ったとします。普通に解釈すると、部下がミスをしたことが原因で「怒り」という感情が引き起こされたと考えますよね。ところがアドラー心理学は、その「目的は?」と問いかけるのです。「いやいや、目的なんかないよ。ただ単に部下がミスをしたから怒ったんだ」とあなたは答えます。しかし、その答えは間違っています。あなたには何らかの目的があったはずなのです。例えば、部下を完全にコントロールできていなかったから…
後にアメリカ心理学会の会長を務めたマーティン・セリグマンが、まだ若手の研究者だった頃、手がけていた実験について予想もしなかった反論を受けました。その時の研究のテーマは、「人はどんな時、無気力になるか」でした。しかし、人体実験に踏み切るだけの勇気がなかったので、実験対象はもっぱら犬でした。まず、音や電気ショックなどの不快な刺激を与えます。その刺激は、犬がどんなことを試みようと止むことはなく、その代わり何もしなくても唐突に止んだりします。つまり、自分ではコントロールできない不快刺激というわけです。一度この条件づけをされた犬は無気力になってしまい、次に自分で刺激をコントロールできる仕掛けに入れられて…
「他部署で“優秀”と評価された若手でも、この部署に来ると必ずしもそうではないんです」ある行政機関の管理職の言葉です。一般にビジネスの世界で“優秀”と言われる人は、利害関係者の調整能力に優れた実務家です。たとえば、あるプロジェクトが立ち上がると、いち早く関係者の間を立ち回り、実現の可能性が高い完成形のイメージ作りをします。また、関係者の間で利害が対立しそうな問題があると、全員の妥協が得られそうな最大公約数を探ります。そしてそこを“落としどころ”と定め、微調整を繰り返しながら交渉していきます。短期間で一定の形に仕上げるので、一見するとどんな部署でも重宝がられる“優秀”ビジネスパーソンに見えますが、…
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