株式会社ファイブスターズ アカデミー
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周りから“誇大妄想狂”と陰口を叩かれたピーター・マッキーは、1890年自ら興したウィスキー・メーカーの社名に、かつて生家の隣にあった酒場の名前をつけてしまいます。その名は『ホワイト・ホース』。宿屋も兼ねていた『ホワイト・ホース・セラー(白馬亭)』の創業は1742年と言いますから、この時から遡ること150年前。なぜ、そんな大昔の店の名前をつけたのでしょう。それは、スコットランド人にとって、『白馬亭』は自由と独立の象徴でもあったからです。『父を超える』(2016年10月)の回で、1745年のジャコバイトの反乱について触れました。このジャコバイト軍がエジンバラに進攻した際、定宿にしたのがこの『白馬亭…
電通の新入社員の自殺に伴う労働基準監督署の調査が、マスメディアで盛んに取り上げられていた頃、あるサイトへの匿名の投稿がネットで話題を呼びました。題して「定時退社を導入するとどうなるか」この人の会社では、1年前から完全定時退社の体制を徹底したそうです。もちろん仕事の持ち帰りや休日出勤も禁止です。一方、当然のことながら人員が増員配置されるわけもなく、クライアントの締め切りも変わりません。結果として、仕事量を減らさざるを得なくなりました。まず最初に現れた変化は、企画案の数が減少したことでした。以前はA案、B案、C案と3つ作成していたのに、1つか2つしか作らなくなりました。上司も残業になることがわかっ…
ダイエットをしているはずなのに、目の前にスナック菓子があるとついつい手が出てしまう・・・。そんなあなたは、はっきり言って出世できませんよ。ウォルター・ミッシェルが、スタンフォード大学で行った『マシュマロ実験』がそれを示しています。まず、幼稚園児を、机と椅子しかない部屋に通します。机の上には皿があり、マシュマロが一個だけ載っています。そして、連れて来た大人はこう言って部屋を出て行きます。「私はちょっと用がある。マシュマロは君にあげるけど、私が戻ってくるまでの15分間、食べるのを我慢できたらマシュマロをもう一つ君にあげる。でも、待てずに食べてしまったら二つ目はなしだよ」残された子供たちの様子は、隠…
メーカーにとって、製品の不具合によるリコールはとても深刻な問題です。何百回テストを繰り返しても、想定外の不具合が起きる可能性をゼロにすることはできません。しかし、最近問題となっている企業不祥事は、明らかに違法であることを認識しながら手を染めてしまうケースです。特に東芝のように、決算に直接影響する数字が正しくないという事態は、きわめて重大な問題を引き起こします。かつての山一證券ほどではないにしても、決算数字が信用できないというのは、資本主義社会の根幹を揺るがすことに繋がります。投資家に正しい数字が開示されないと、株式市場そのものの信頼性が損なわれるからです。めったに動かない証券取引等監視委員会が…
「俺のソロのバックでピアノを弾くな!」やっとのことでヘロイン中毒から立ち直り、精力的にレコーディングをこなしていたマイルス・デイヴィスの嗄れ声が響き渡ると、スタジオ内の空気が凍り付きました。マイルスの視線の先にいたのは、モダン・ジャズ史上最も難解なピアニスト、セロニアス・モンク。こうして1954年12月24日、歴史に残る名曲、Fのブルース『バグス・グルーヴ』は録音されたのでした。後にマイルスは、この時の様子を批評家のナット・ヘントフにこう語っています。「モンクの演奏スタイルやモンクが書いたオリジナル曲は好きだった。しかし、オレのバックで演奏されるのには我慢できなかった。邪魔なだけだからだ」この…
上司があまりに寒いダジャレを言うので耐えられない、という声を聞いたことがあります。そのうち、職場でつまらないオヤジギャグを連発する人は、「ギャグハラ」として訴えられるかも。私も気をつけなければ・・・。かつて、30本のジョーク集を読ませて、それらに点数をつけさせるという心理学の実験がありました。ただし、調べたのはジョークの面白度ではありません。すべてのジョークの評価はすでに定まっていて、被験者がどれくらいユーモアのセンスがあるかどうかを調べたのです。具体的に言うと、それぞれのジョークに「どれくらい面白いか点数をつける」という作業をした後で、最後に「あなたのユーモア理解度は、同年代の中でどれくらい…
今年は穏やかに暮らしたいと思っていたのに、新年早々我慢ならない出来事がありました。朝日新聞の第1面に、「経済成長は不要である」という趣旨の記事が載ったというのです。早速WEBで全文を読みましたが、記事を書いた論説委員の、経済学に関する知識があまりにお粗末なことに唖然としました。記事のポイントを抜き出すとこうなります。「私たちは、経済成長を当たり前のものと考えているがそうではない。給料が増えることを前提に人生設計するのも間違いだ。ゼロ成長は悪ではない。日本にはミシュランの三つ星店がたくさんあるし、宅配便のおかげで生鮮品も簡単に手に入る。温水洗浄便座の普及によりトイレも快適だ」実に的はずれな駄文の…
企業の不祥事が後を絶ちません。それも上層部まで関与する不祥事です。株主からのプレッシャーもあるのでしょうが、業績をよく見せたいがために売上数字を操作したり、おかしな経理処理に手を貸したり、あるいは検査結果を改竄したり・・・。部長とか課長とかいっても、所詮はサラリーマン。「長いものには巻かれろ」というのは、みんなやってる処世術です。青臭い正義感を振りかざして、上司から煙たがられでもしたら、間違いなく人事に影響します。かくして企業の不祥事は、終わることなく延々と続くのでした。「汝、何の為に其処に在り也」ある高校の校長の言葉です。私が入学するずっと前、母校の校長が生徒に向けて問いかけました。それから…
今年のノーベル賞に関する最大のサプライズは、ボブ・ディランの文学賞授章でした。シンガー・ソング・ライターの「詞」を、文学として扱っていいものかと世間では議論が沸き起こりましたが、私は特に問題だとは思いません。なぜなら日本でも、現代詩文庫の中に『友部正人詩集』があるくらいですから。でも、「詞」ではなく、純粋に「詩」としてそのクオリティを評価したとき、果たして何らかの賞に値するかとなると、少なからぬ疑問が残ることも事実です。振り返ると、ボブ・ディランの登場は極めて衝撃的でした。『風に吹かれて』や『戦争の親玉』という「反戦」の象徴を引っさげて現れると、瞬く間に若者たちのヒーローに崇め奉られます。日本…
様々な天然の木材を組み合わせては、それらの色合いや模様の違いを利用して、絵画や図柄を表現する木画技術を「木象嵌(もくぞうがん)」と言います。内山春雄はもともと木象嵌師ですが、今ではバードカービング作者という肩書きの方が有名です。バードカービングというのは、デコイのような木彫りの鳥を彫ることです。ある時彼は、ダーウィン展を開催しようとした博物館が、ちょっとした悩みを抱えていることを知ります。ガラパゴス諸島に生息するダーウィンフィンチという鳥は、もともとは一つの種だったのですが、それぞれが暮らす島の環境に合わせて、嘴が様々に変化していきました。まさに、生物進化の多様性のお手本を示すような鳥です。こ…
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