株式会社ファイブスターズ アカデミー
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アベノミクスの場合はちょっと違いました。金利がほぼゼロ水準だったため、これ以上金利を下げられなかったのです。そこで、日銀が国債を大量に直接買い入れることで、市場に供給するマネタリーベースを増やす方法をとりました。 これが「異次元の金融緩和」です。 でも、マネタリーベースや金利水準だけで、為替の動きが100%説明できるわけではありません。説明がつくのは大体7割くらい。 残りの3割は、投資銀行やヘッジファンドといった、所謂「投機筋」の動きが関係してきます。彼らは、常に市場の動きを先読みすることで利益を上げます。だから、実際に金利が動く前に資金を動かします。 投機筋の資金は株式市場にも投入されてい…
2024年7月末から8月初旬にかけて、為替相場は激しく乱高下しました。今回はその理由と、併せて為替レート決定のメカニズムについて解説します。 コロナ禍がようやく明けた頃、アメリカで困った事態が起きます。コロナ対策で過剰なバラ撒きを行った反動で、急激な高インフレに見舞われたのです。FRBはインフレを抑制するため、強烈な金融引き締めを行わざるを得ませんでした。その影響で、ドル円レートは1ドル=160円という極端な円安に振れます。 この時何が起こっていたかについては追って解説しますが、この極端な円安は日本にも多大な影響を及ぼしました。原油や小麦といった輸入品の価格が高騰したのです。 おかげで日本も…
経営者は、なぜ高い賃金を提示できないのでしょう?それは、賃金を上げるためには商品価格を上げなければならないからです。 経営者は考えます。値上げをすれば客離れが起こり、商品が売れなくなるかもしれない。それは困る。 値上げはできない。やむを得ない。低い賃金のままで提示しよう。 でも、この値上げをすれば客離れが起こるというメカニズムは、経営者が勝手に思い込んでいることですよね。本当にそうでしょうか。 記者はこのメカニズムを検証したのでしょうか。値上げした会社が、みんな潰れてしまったというエビデンスは見つかっているのでしょうか。また、値上げ以外に経営の無駄を省くなど、経営者が他に打つべき手はなかった…
今年6月、アメリカ財務省は日本を為替操作の「監視リスト」に追加しました。日本のマスメディアが真っ先に思い浮かべたのは、1ドル=160円の時に財務省が行った介入を、アメリカ当局が「為替操作」と見なしたのではないかということです。 翌7月、日経新聞がアメリカのイエレン財務長官にインタヴューを行いました。おそらく日経は、財務省の為替介入は問題であると、イエレンの口から言わせたかったのでしょう。ところが、アメリカの疑念は全く別のところにありました。 アメリカが疑っていたのは、日本政府が長い時間をかけて円安に誘導していたのではないかということです。 つまり、1ドル=160円に至ったこと自体が、日本政府…
「フィリップス曲線」が意味するところは、インフレ率と失業率にはトレードオフの関係、すなわち「負の相関関係」があるということです。簡単に言うと、インフレ率が高くなれば失業率は下がり、逆にインフレ率が低くなれば失業率は高くなります。 だから、世界の中央銀行は過度なインフレにならないように注意するだけでなく、インフレ率があまりに低くなりすぎないよう、つまり失業率が高くなりすぎないよう気をつけながら金融政策を行っているのです。要するに、インフレ率と失業率がちょうどよくバランスする点を目指しているということです。 そのバランスする点のことを、「目標インフレ率」といいます。現在、日本を含めアメリカやヨー…
不思議なことに高インフレにはなりませんでしたが、株価と地価は上がっていました。これが日本のバブルの特徴です。日本のバブルは、物価が上がるという形ではなく、株価と地価だけが上がるという形で現れていたのです。 ところが、日銀はこれを放置しました。 なぜ放置したのでしょう。その理由は日銀の使命にあります。 日銀は、日銀の使命とは「物価」を安定させることだけと思っていました。だから、「株価」と「地価」がどうなろうと「物価」さえ安定していれば、日銀の知ったことではないというのが日銀のスタンスでした。 物価が安定していたため、日銀は金融緩和策を継続しました。 これが「第一の失敗」です。 日銀は、正しいこ…
マスメディアは、円安で日本の国力が弱まったと大騒ぎしています。もし、本当なら大変なことなので早速検証してみましょう。 以前NHKの番組で、ノーベル経済学者のスティグリッツと対談していた日本の若手経済学者が、円安を「円が弱い」と表現しました。するとスティグリッツが、間髪を入れずその表現は間違いであると注意しました。もしかしたら、「円が弱い=国力が弱い」という連想ゲームなのかも。 そもそも「国力」とは何のことをいうのでしょう?「国力」の定義を曖昧にしたままで、弱いとか強いとか議論しても意味がありません。まずは、「国力」の定義を考えてみましょう。一般に「国力」とは、GDPの大きさだと思われています…
実は、アメリカ軍が日本語を廃止しようとしていたことが、近年になって明らかになりました。 厚木基地に、コーンパイプを咥えたマッカーサーが降りたってから3日後の1945年9月2日。全権代表の外務大臣・重光葵(まもる)は、東京湾に停泊する戦艦ミズーリ号の艦上で降伏文章にサインしました。 ところがその夜、GHQの東京移転に関する打合せをしていた横浜終戦連絡事務局長・鈴木九萬(ただかつ)は、リチャード・J・マーシャル参謀次長から驚くべき情報を聞かされます。 翌3日の朝10時をもって、日本国民に宛てた「布告」が発布される予定だというのです。布告には「円表示B型軍票」、俗称「B円」と呼ばれるアメリカ軍発行…
指揮官の財務長官クレッシンガムは泥沼の中で落馬し、馬の蹄に踏みつけられすでに虫の息。すかさず、スコットランド兵の斧がその首を襲います。 パニックになったイングランド軍は、混乱の極致に陥りました。死者の数は歩兵約5千、騎士百人以上、ウェールズの長弓兵約3百。大兵力を誇る重装備の正規軍が、兵士の数で劣る軽装備の民衆兵に、完膚なきまでに叩きのめされたわけです。 これが、「スターリングブリッジの戦い」が長く語り継がれている理由です。この戦果を見て、スコットランド貴族の中から、次々とウォレス側に寝返る者が現れます。 とりわけ大きかったのは、ベイリオル派と仲が悪かった後のスコットランド国王ロバー…
戦闘態勢が整ったウォレス軍とは対照的に、イングランド軍は大混乱に陥っていました。というのは、エドワード1世がフランス国王フィリップ4世と、ガスゴーニュで戦っている真っ最中だったからです。 あまりの混乱状態だったため、何をどう間違ったのか指揮官が二人並び立つ事態が出現してしまいます。実戦経験豊富なスコットランド総督サリー伯ジョン・ド・ワレンの方はまだわかるのですが、不可解なのは戦闘の経験がなく、ただ単に苛烈で残忍な性格だけが取り柄の財務長官ヒュー・ド・クレッシンガム。しかもこの男は、ひとりでは馬に乗れないほどの肥満体でした。軍隊の指揮官として相応しくないのは誰の目にも明らか。 でも、そんな状況…
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