株式会社ファイブスターズ アカデミー

まずはお気軽に
お問い合わせください。

03-6812-9618

村上 徹

気分は「インフレOK !」(その2)

前回に続き、シェイファー、ダイヤモンド、トヴェルスキーらの実験をご紹介しましょう。【問題1】少しの利益を上げている会社があります。しかし、その地域は不況で深刻な失業が発生しています。この会社で働きたいという人は大勢いるので、この会社は賃金を7%カットする予定です。ちなみにインフレはありません。このケースで「受け入れられる」と回答した人はわずか38%だったのに対し、「不公正である」と回答した人は62%もいました。【問題2】上記と同様の状況ですが、インフレ率は12%です。この会社は、5%しか昇給しない予定です。ちょっと冷静になって考えると、問題1と状況は同じであることがわかりますよね。なぜなら、実…

続きを読む

気分は「インフレOK !」

このブログでは、もう耳にタコができるほど「インフレは悪ではない」と繰り返してきましたが、この行動ファイナンス理論ではすでに実証されているのです。シェイファー、ダイヤモンド、トヴェルスキーらの実験をご紹介しましょう。【問題】AとBは同じ大学を1年違いで卒業し、二人とも同じような会社に入った。Aは1年目の給与が3万ドル(この間インフレなし)で、2年目は2%昇給した(600ドル)。Bは1年目3万ドルだが、インフレ率は4%、2年目は5%昇給した(1500ドル)。さて、質問です。①2年目になったとき経済的条件がいいのは?②2年目になったとき幸せなのは?①については、冷静に計算するとAが有利なのはわかりま…

続きを読む

なんと株価までも・・・

株を購入している人は、その株価動向が気になるところです。中間決算や、M&Aの記事があるとついつい目が行ってしまいます。しかし、株価の動きが天気に左右されるとしたらどうでしょう?そう言えば昔から、「晴天効果」などと言って、晴れの日には株価が上がるということが言われていました。本当でしょうか?加藤英明氏の「天気と株価の不思議な関係」(東洋経済新報社)によると、過去40年間の日経平均株価指数をもとにした株式日次収益率と、午後3時までの雲量との関係を分析したところ、まちがいなく晴天効果が認められました。ただ、90年代にはこの効果が減少しました。理由は二つあり、ひとつは80年代後半に日経平均先物取引がシ…

続きを読む

年末ジャンボはなぜ当たらないのか

昨年の年末ジャンボ宝くじはお買いになりましたか?私は一度も買ったことがないのですが、会社が新橋にあるため毎日烏森口のあの売り場の前を通っていると、ついつい「買おうかな」という気持ちになってしまいます。しかし、昨年は、年末の週刊東洋経済(07年12月15日号)が行動ファイナンスの特集をしてくれたおかげで買わずにすみました。年末ジャンボ宝くじの1等は2億円です。では、その1等が当たる確率を計算してみましょう。あなたは、東京ドームに野球観戦に行ったと仮定しましょう。45000人の満員の観客の中から、抽選でひとりに2億円が当たる抽選会をやっていました。どうですか?当たる気がしますか?あまりしませんよね…

続きを読む

感覚はあてにならない

いままでの経済学では、消費者は常に合理的な判断をすると仮定されていました。しかし本当でしょうか?自分の行動を振り返っても、結構衝動買いをしています。このブログも最初の頃は、小売店の陳列方法により売り上げが変わることを書いていました。2002年にダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞して以来、経済学においても「行動ファイナンス理論」が幅を利かせるようになり、このような消費者心理にもスポットが当たるようになりました。この研究は頭の体操みたいなものですので、ご一緒に楽しんでみませんか?まず、最初は土方薫氏の「やわらかく考える金融工学」(PHP研究所)からです。【問題1】地球の一周は約4万kmだ…

続きを読む

2008年はインフレが日本を救う!!

 原油価格の高騰により、モノの値段が上がって大変だと連日メディアが報じています。 このブログを通じて何回も主張してきましたが、「インフレは悪」ではありません。 むしろモノの値段が下がることが悪なのです。                原油価格の高騰を期に、日本の物価が上昇に転じればすべてがうまくいくのです。              まず、あれほど上がらなかったサラリーマンの給料が上がり始めます。 また、小売店は、身を削っての価格競争にひと段落つけることができます。 過酷な労働を強いられているトラックやバスの運転手も、輸送費用の値上げが顧客に容認してもらえるなら一息つけるはずです。  バブル崩…

続きを読む

日本の株を買っているのは外国人だけ

2007年は皆さんにとってどのような年だったのでしょうか。経済という側面から見ると、アメリカのサブプライムローンの問題により株価は大幅に下がりました。一方で原油価格の高騰に伴いモノの値段が上がり始めるという、あまり良くない年だったかもしれません。さて、このサブプライムローンの問題と株価下落の関係ですが、私にはまったく理解できないことがあります。たしかにサブプライムローン問題によって、世界的にメジャーな銀行が多くの損失を出しました。そして、当然のことながら、これらの銀行が本拠を置くアメリカやヨーロッパの主要株価指数は大きく下落しました。   しかし、銀行の損失という点では最も被害の少なかったはず…

続きを読む

サプライズ人事の中身

前回、経済学と、現実の経済政策運営があまりにかけ離れていることを指摘しました。しかし、この話は経済学だけではありません。たとえば法学はどうでしょう?法務大臣は法律のことをご存知なのでしょうか?小泉内閣時代に、法律とはまったく無縁の、看護師出身の女性が法務大臣に起用されたことがありました。たしかにこれはサプライズでした。なにせ、法律のことをまったくご存知ないのですから。思えば小泉内閣は、カネにまつわるスキャンダルとは無縁でした。その理由は、十分な“身体検査”をした上で、問題のない人だけを国務大臣に起用していたからです。いわゆる消去法で候補者を絞っていった結果が、このような『素人』大臣の起用となっ…

続きを読む

経済学を知らない政治家たち

いくら選挙で国民から選ばれたとは言え、経済のことをまったく知らない政治家が、経済政策を担当するのはあまりに無謀ではないのでしょうか。小泉内閣時代にこんなことがありました。あまりに景気が低迷するので、巷では減税を望む声が日増しに強くなっていた時です。「爺」と呼ばれる年配の財務大臣がこんな趣旨の発言をしました。「国の予算は赤字で大変なのだから、もしも今年減税を実施するなら、減税となった分は来年と再来年に増税したらどうか」私はこの発言を聞いたとき、愕然としました。財務大臣ともあろう人が、『リカード・バローの中立命題』をご存知ないとは・・・・ これは、マクロ経済学のテキストの最初の1ページに書いてある…

続きを読む

海外旅行する老人に気をつけろ!

国の借金が増えているという問題を、世代間の問題として捉えている評論家もいます。すなわち、借金がかさむと、その利払いで苦しむのは税金を負担している現役世代の人たちだという論理です。この指摘のどこがまちがいかはもうお分かりですね。そうです。富が移転するのは、現役世代から老年世代に対してではありません。国債を持っていない人から国債を持っている人に対してです。例え老年世代が、国債で運用されている預貯金をたくさん持っていたとしても、亡くなってしまえばその資産は現役世代に相続されます。結局、相続という形で資産は日本国内に留まるわけです。ただ唯一問題となるとすれば、次のようなケースのときです。日本の老人たち…

続きを読む

初めての方へ研修を探す講師紹介よくある質問会社案内お知らせお問い合わせサイトのご利用について個人情報保護方針

© FiveStars Academy Co., Ltd. All right reserved.