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村上 徹

海外で売っている国は先細り

水野和夫氏の「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」(日本経済新聞出版社)の中に大変興味深いデータが載っていました。日本のように経常収支が黒字の国はおしなべて低成長だということです。具体的にはスイス、ドイツ、オランダなどです。一方、アメリカ、スペイン、ニュージーランド、オーストラリア、英国などの経常収支が赤字の国は成長率が高いのです。赤字ということは、他国から製品をどんどん輸入してでも消費したいということです。人々の消費意欲が旺盛なので、たぶん国内で製造された製品もバンバン売れているのでしょう。ということは、企業も新工場を建てたりと、設備投資意欲が旺盛のはずです。このように、消費や設備投…

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国内で売れないから海外で売っている

経常収支黒字とは、簡単に言うと貿易黒字ということです。つまり、商品を海外で売りまくって儲けたということです。これだけ聞くと「いいこと」のように思いますが、実は国内で売れないから海外で売っているという側面もあるのです。もし、国内で商品がバンバン売れていたらどうなるでしょう。まず、人々は消費に遣うお金が多くなるので、貯蓄にはそれほど回せません。一方、企業にとっては、商品がバンバン売れるので新たに工場を建てようとします。つまり、設備投資の資金ニーズが生まれます。こうなると、「貯蓄超過」などという事態は起こりようもないはずです。おわかりいただけましたでしょうか?「貯蓄超過」によるISバランスの崩れとい…

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国の借金が増える原因は・・・・

前回、貯蓄超過という、ISバランスが崩れたケースをお話しました。経済学の公式によれば、「民間貯蓄超過」の額は、「財政赤字」と「経常収支黒字」を足したものになります。どういうことか解説しますね。まず、「財政赤字」からです。国としては、企業が設備投資をしないのであればますます景気は悪くなりますから、設備投資の動きを国が創らざるを得ません。つまり、公共事業などの財政出動に踏み切らざるを得なくなるのです。簡単に言うと、「投資」という資金需要を企業が担うか、それとも国が担うかということです。ただ、国としても公共事業を起す財源がなければ、国債を発行して資金を集めざるを得ません。一方銀行にとっては、貯蓄がダ…

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ISバランス

前回の、「貿易黒字は喜ばしいことか?」 という問いかけを少し検討してみましょう。マクロ経済学のテキストの最初の1ページに書いてあることですが、「ISバランス」について解説しますね。一般に、私たちが銀行に預けた預金には、利息がついて戻ってきます。銀行では、預かったお金を金庫にしまっておくだけでは利息が生まれませんから、それを運用しようとします。その運用とは、今までは企業に貸し付けることが中心でした。企業は、借りたお金に利子をつけて返済してくれるので、それで預金者への利息の支払いができるのです。ところが、バブル崩壊後ちょっと困ったことが起こりました。企業の借金があまりに膨らんでしまったため、なんと…

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輸出立国ニッポンは本当に正しいことか?

中国は今、安い人件費を売りに、安価な工業製品を大量に輸出しています。そして、日本の工場の多くは中国に移転してしまい、いわゆる“空洞化”の問題が持ち上がっています。もはや日本の労働者は、ハンダづけなどの誰でもできるような単純労働をしていては勝ち目がない時代に入ったのです。日本の産業に求められているのは、もっとクリエイティブな仕事です。そういう意味で、日本の製造業は大健闘しています。トヨタのカンバン方式に代表されるような効率性の工夫など、他国の工場では見られないキメ細かさです。また、このデフレ期を生き残るためにコストダウンにも徹底して取り組みました。省エネなども世界のトップクラスです。商品開発力で…

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経済学者と政治との関係

今回の株式暴落における政治の無為無策の中でも、唯一明るい話題は内閣府特命大臣の渡辺喜美氏の見識の高さがわかったことでした。正直言って、あれほど日本経済に対して的確な認識を持っている人は舛添要一氏以来でしょう。おそらく、日頃から経済のことについて相当勉強していると思います。ただ残念なのは、経済についてこれほど高い見識をもった人が、経済に直接関係する部門を担当していないということです。一方で直接担当している大臣が「日本は経済一流国ではない」と発言して物議をかもしました。もちろんこの発言の真意もわからないではないのですが、大臣であるならば「ではどういう方策をとって一流国に返り咲くのか」という具体的な…

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政府は不安を解消したのか?

人々の不安心理という感情が、経済の足を引っ張っている典型的なケースを私たちは目撃しました。昨年暮れから日本の株価市場が暴落を続けたことです。これこそ不安心理の極端なケースです。狼狽売りとかパニック売りと言っていいくらいの状況でした。これらの行動のもとになっているのは『論理』ではなく『感情』です。そして、この騒動で私たちが学習したことがもう一つあります。それは、この事態に対して日本の政治家たちが全く無力だったことです。テレビで報道される首相や官房長官のコメントを見ると、およそ経済学の知識というものはほぼゼロと言っても過言ではないでしょう。投資家というのは、不安の真っただ中にいる状況では、政治に期…

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日本は「不安症候群」?

今の日本を考えてみると、たとえ財政出動や減税によって所得が増えたとしても、人々はその多くを貯蓄に回す傾向にあるのではないでしょうか。なぜ、人々は消費しないのでしょうか?なぜ、あえて貯蓄に回して、自ら景気を悪くするような行動に出るのでしょうか?それは人々が将来に対して『不安』を感じているからです。その気持ちもわからないではないですが、少し冷静に考えてみましょう。世界中で最も多くの個人金融資産を持っている国は日本です。人類史上最高の個人金融資産を持っている国も日本です。これでもなお、貯蓄に励まなければならないのはなぜでしょう。人々は、いくら貯めても将来に『不安』を感じている限りは貯蓄をやめません。…

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あなたはいくら貯蓄しますか?

財政出動でまず最初に給料を受け取る人の人々の所得が増えれば、それが何倍の経済効果をもたらすかを表す数値が、以前お話した「乗数効果」というものでした。その時「乗数効果の値は、限界貯蓄性向の逆数である」と紹介しました。その意味を解説しましょう。限界貯蓄性向から解説します。もし今、臨時ボーナスとして10万円を手にしたら、あなたはそのうちのいくらを貯金しますか?第一のケースとして、5万円貯蓄する場合を考えてみましょう。このとき、限界貯蓄性向は0.5=5/10です。この逆数となると、10/5ですからイコール2ということになります。すなわち乗数効果は2です。日本全体で手にした臨時ボーナスの総額が100億円…

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行動ファイナンス理論

シリーズにわたり行動ファイナンスの問題事例について解説してきました。本来、この学問では「エルスバーグの壷」や「ベイズの定理」から入って、プロスペクト理論や価値関数といった理論を解説するのが筋なのですが、ちょっと専門的すぎて面白くないので興味本位の入門編の問題事例から入ってみました。行動ファイナンス理論をキチンと勉強したい方には、入門編として真壁昭夫著「最強のファイナンス理論」(講談社現代新書)をお勧めします。わかっていただきたいのは、『人間の行動なんて理屈に合わないことばかりだ』ということです。今までの経済学は、人々の経済行動のもとになっているのが『感情』であるということに、あまりに無頓着だっ…

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