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村上 徹

日本の年金は世界最高額

TV番組のドキュメンタリーなどを見ていると、年金生活の老人がよく取り上げられています。そして、いつもその結論は、年金額はスズメの涙ほどでありとても満足な生活ができないという、日本の年金制度の貧困さを訴えるものです。本当でしょうか。本当に日本の年金制度は外国と比べて貧弱なのでしょうか。ここに一冊の本があります。原田泰・鈴木準著「人口減少社会は怖くない」(日本評論社)です。この本には、2002~3年時点における、先進各国のモデル年金額の比較表が掲載されています。でも、ちょっと待ってください!そもそも各国の物価水準が異なるので、単純に比較はできませんよね。ご安心ください。経済学では、購買力平価という…

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もはや高齢化社会ではない!?

「高齢化社会」とよく耳にしますが、実は日本は高齢化社会ではありません。ちょっと難しい話になりますが、学術的な定義から見てみましょう。国連の定義では、65歳以上人口が全体の7%を占めると「高齢化社会」といいます。一方、人口学の定義では、14%を占めると「高齢社会」となり、「化」がとれるそうです。現在の日本は19%に達していますので、もはや高齢「化」どころの騒ぎではありません。あえて言うならば「超」高齢社会です。19%という老人の多さも問題なのですが、日本の場合もっと深刻な問題は別なところにあります。それは、高齢化の進むスピードが異常に早いということです。65歳以上人口の占める割合が、7%から14…

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人口爆発

日本の人口推移を、西暦0年から折れ線グラフにしたものがあります。広井良典氏の「遺伝子の技術、遺伝子の思想」(中公新書)に掲載されているのですが、これを見ると大変驚かされます。というのは、戦国時代の西暦1500年くらいまではグラフはほぼ横ばいで、1000万人を少し超えたくらいです。しかし、その後の500年間で日本の人口は急増し、1億3000万人近くに達するのです。特に明治以降の人口増は著しく、グラフがほぼ垂直に立っている状態なのです。まさに人口爆発といってもいいでしょう。日本は、明治以降目覚しい経済発展を成し遂げましたが、それを支えた一因として、人口がどんどん増えたことによって労働力が豊富に提供…

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平均寿命が延びた原因 partⅡ

前回、日本の平均寿命の延びは、新たな抗生物質の発見と関係があると話しました。では、なぜ日本だけがその恩恵に預かれたのでしょうか。それは、非常によく整備された国民皆保険制度のおかげです。現在、先進国の中で平均寿命が短いのはアメリカですが、これは健康保険制度の不備によるものだと、クルーグマンも指摘しています。この改革を訴えていたのはヒラリー・クリントンでしたが、オバマ大統領に敗れたことで改革はまた先の話になってしまいました。つまり、日本はいち早く国民皆保険制度を実現し、しかも次々に発見される抗生物質を健康保険の適用対象としたおかげで、乳幼児の死亡率が激減したのです。このことが、日本を世界の長寿国に…

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平均寿命はなぜ延びた?

前回から公的年金の問題にスポットを当てていますが、今回は平均寿命の話をしたいと思います。平成19年(2007年)の日本の平均寿命は、なんと男性79.19歳、女性85.99歳です。もちろん世界一の長寿国ですが、日本は昔からこんなに長生きの国だったわけではありません。戦国時代の平均寿命は、おそらく20歳代だったと言われています。記録によれば、明治24年(1891年)でも、男性42.8歳、女性44.3歳。平均寿命が50歳を超えたのはなんと戦後のことなのです。その後日本の平均寿命は急激に延びていきます。その原因は何でしょうか?私見ですが、原因は二つあると思います。まず一つ目は医学の進歩です。それまで平…

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公的年金の真の問題

昨年からメディアは、社会保険庁の怠慢による「消えた年金」の問題で持ちきりです。たしかに、公的年金に対する信頼性が揺らぐというのは、社会不安を引き起こすほどの大問題です。ですので、この「消えた年金」問題については時間がかかっても完全に解明すべきです。しかし、この問題がすべて解明されて、正当な年金額に修正されればそれで解決する問題でしょうか。私は、まったくそう思いません。真の問題は、財源の問題なのです。たとえ正当な年金額に修正されたとしても、問題はそれを支払うだけの財源があるかどうかです。不思議なことに、社会保険庁はこの財源問題には詳しく触れようとしません。おそらく実態を発表してしまうと、今よりも…

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景気の気

メディアの報道を見ていると、世界経済は暗黒の時代に突入したかのようです。本当に景気は悲劇的な状況なのでしょうか。そもそも景気とは何かを考えて見ましょう。景気がいいというのは、端的に言えば「お金が世の中をぐるぐる回るスピードが早い」ということです。景気がいいか悪いかを示す指標はたくさんあります。企業の利益や、消費動向、さらには生産活動が活発かどうかを先行して判断するものなど・・・しかし、これらの指標は、お金がどれだけのスピードで回ったかの結果でしかないのです。では、そのスピードを決めるものは何でしょう?それは、人々のマインドです。人々のマインドが明るければ、財布のヒモはゆるくなります。暗ければ、…

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国が失業者を雇用する

昨年末、メーカーによる派遣社員の大規模な解雇が問題になりました。九州のある市では、解雇された人の受け皿として、臨時職員として採用することを決定しました。経済学的に見ると、これはきわめて正しい経済政策です。雇用を守るとはこういうことを言うのです。政府は経済団体に対して、雇用を守るように要請していますが、基本的に難しい問題です。資本主義社会である以上、雇用の決定は企業の自主判断に任されるからです。それに対して国が介入するというのは、どうしても無理があります。むしろ問題視すべきは、「非正規雇用」という制度を堂々と認めてしまった小泉内閣の判断ではないでしょうか。さて、原点に立ち返って考えてみましょう。…

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外国人頼みからの脱却

昨年秋、日経平均は大暴落しました。理由は、アメリカ発の金融危機と言われましたが、株価がこれほど下がったのは、外国人投資家が一斉に資金を引き上げて手仕舞いしたからです。日本の株式市場は、外国人投資家で持っているといっても過言ではありませんでした。なにせ、日本で株を買っている投資家の6割以上が外国人だったからです。この6割の人たちが一斉にいなくなったと想像してみてください。それだけで、秋の大暴落は説明がつきますよね。私は、週末の日経新聞に掲載される「投資主体別売買動向」を必ずチェックしていましたが、外国人投資家の売りが止まらず、本当に絶望的な気分になったものです。しかし、年末あたりから風向きが変わ…

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高額所得者は給付金を辞退してはならない

昨年来、政府の打ち出した経済対策の目玉である「定額給付金」については悪評ばかりが目立ちます。報道機関が実施しているアンケート調査でも、大半の国民が「効果なし」と切り捨てています。すでにこのブログでもお話しましたが、この「ばら撒き」は実に効果的な経済対策なのです。というより、このような危機的状況のときには、「ばら撒き」がもっとも有効な経済対策となるのです。では、どこがまちがっていたために、これほど批判されるのでしょうか。まず、この政策が「経済対策」なのか、「弱者救済対策」なのかを曖昧にしてしまったことです。この政策は純粋に経済対策です。決して弱者救済ではありません。なぜなら、これっぽっちの金額で…

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