株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

千害あって一利あり

タバコを吸うと、頭がすっきりするというのは本当です。そのメカニズムはこうです。タバコを吸うと、ニコチン性のアセチルコリンが発生します。これがアセチルコリンのレセプター(受容体)にすっぽりはまってしまいます。アセチルコリンは頭の働きを高める物質ですので、一時的に頭の回転はよくなります。だから、頭がすっきりした感じがするのです。アルツハイマー病患者がタバコを吸うと改善することがあるというのは、この効果によるものです。『タバコは百害あって一利なし』と言われますが、これはウソです。正確に言うと『千害あって、一利あり』くらいでしょうか。しかし、この一利もちょっと怪しいのです。タバコによってニコチン性アセ…

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うつ気味の人は禁煙を

うつ状態の人は、ガンになりやすいという人がいます。なんとなく説得力がありそうですが、医学的にはよくわかっていません。というのは、関係あるという報告と、関係ないという報告が混在しているからです。現在のところ、「どちらとも言えない」が正解です。ただし、うつ状態の人が喫煙するとガンになりやすいという報告があります。フィンランドの研究ですが、抑うつ状態でない人たちで比べると、ダハコを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人の3.4倍でした。しかし、抑うつ状態の人の場合は、タバコを吸う人の肺がん発生率は吸わない人の19.7倍でした。ただ、原因はよくわかっていません。おそらく、抑うつ状態に伴う脳内伝達物質の変化…

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タバコで頭が悪くなる!?

愛煙家にはとてもショツキングな話です。タバコを吸うと頭が悪くなるという調査結果が発表されました。調査したのはテルアビブ大学のマーク・ワイザーという人です。18~21才の2万人以上の軍人を対象に、喫煙とIQの関係を調べたのです。その結果は、タバコを吸わない人の平均が101だったのに対してタバコを吸う人は94と、なんと7ポイントも低かったのです。しかもですよ。1日1箱吸う人は90と、もっと低いではありませんか!原因は2つ考えられるそうです。一つ目は、一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合することにより脳が酸欠状態になり、一過性の障害が起こること。二つ目は、アセトアルデヒドが脳内のアセチルコリンやド…

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テレビを見て・・・

前回、ヒトの脳として機能しているのは、前頭連合野だとお話ししました。物事を論理的に考えたり、理性的に考えたりするのは、ここの働きです。しかし、現代人はここの働きが鈍っているのかもしれません。前回、動物園のライオンは何の工夫をしなくてもエサに困らないので、前頭前野の働きが鈍くなっているとも言いました。ヒトの場合、朝から晩までテレビを見続けると、前頭連合野の働きが鈍ることがわかっています。たしかに、今のテレビは面白いですよね。どんな話題でも、いかにも興味を引くように私たちに提示してくれます。そして、解説についても、本当にわかりやすく懇切丁寧にしてくれます。テレビでは、中学生が理解できるかどうかが目…

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三位一体説(3)

さて、爬虫類の脳(ワニの脳)、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてお話してきました。今回はいよいよ最後の、新哺乳類の脳、いわゆるヒトの脳についてです。具体的には、大脳皮質、とくに理性をつかさどる前頭連合野などを指します。旧哺乳類の脳で、ようやく感情が生まれるのでしたね。ネズミの母親は自分の赤ちゃんに愛情を感じるので、食べたりしないという話をしました。でも他人のネズミの赤ちゃんには愛情を感じないので食べてしまうのです。新哺乳類の脳(ヒトの脳)になって、ようやく他人の赤ちゃんも殺さなくなります。おそらく感情に加えて、前頭連合野がつかさどる理性が働くからなのでしょう。もし前頭連合野の働きが鈍くなったらど…

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三位一体説(2)

前回は、爬虫類の脳(ワニの脳)についてお話しました。今回は、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてです。具体的には、大脳辺縁系を指します。爬虫類の脳には感情はありませんでしたが、旧哺乳類の脳になって初めて感情が生まれます。大脳辺縁系という部分は、感情をつかさどっているのです。ワニの赤ちゃんは、生まれるとすぐ、母親に食べられないために走って逃げるのでしたね。でも、ネズミの赤ちゃんは逃げ出しません。なぜなら、ネズミの母親はわが子に愛情という感情を持つので、子供を食べたりしないからです。良かったですね。でも、これはこの愛情はわが子に対してだけです。集団でネズミを飼うと、母ネズミはわが子は食べませんが、他人…

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三位一体説(1)

マクリーンという学者は、人間の脳は3つの脳から成り立っているという説を唱えました。これは三位一体説というものです。①爬虫類の脳(ワニの脳)②旧哺乳類の脳(ウマの脳)③新哺乳類の脳(ヒトの脳)今回は①について説明しましょう。具体的には、大脳基底核や脳幹を指します。別名「ワニの脳」とも言われ、もっとも原始的な脳です。動物は、自分の縄張りに侵入した敵に対して、威嚇するか戦うか逃げるかの選択をします。以前、「3つのF」として説明しましたよね。たとえばこんな場面を想像してみてください。あなたが、夏の暑い日に必死で外回りをして帰ってきたら、あなたのデスクには同僚が座っていてゲラゲラ笑いながら誰かと電話して…

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FOXP2

前回、自閉症は遺伝病であると話しました。そして、転座をおこしている遺伝子は、もともと7番染色体にあるFOXP2でした。さて、以前、人類はいつ言葉を手に入れたかというブログで、今から2~10万年前のネアンデルタール人が初めて言葉らしい言葉を話したと言いました。もうひとつ、分子遺伝学からのアプローチを紹介しましょう。イギリスにK.E.という家系の一族がいました。この一族の半分は難読症という言語障害で、残りの半分は正常です。ということは、この言語障害は遺伝によるものとわかりますよね。そこで詳しく調べたところ、FOXP2が原因遺伝子であることがわかったのです。今の科学はとても進歩していて、特定の遺伝子…

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自閉症

前回、12歳になっても人の心がわからない人がいるという話をしました。それは、自閉症の患者です。自閉児は、電車の中でも他の乗客の迷惑などお構いなしに騒いだりします。これは、他人に心があるということが理解できないからです。自閉児に、「その辺の景色を描いてみて」というと、背景は詳しく描きますがそこにいる人の顔については、何も描かないことが多いそうです。つまり、人に対して関心がないのです。具体的には、相手に注意が集中せずに、目を見ないで首のまわりを見ています。でも最近思うことがあります。電車に乗ると、シルバーシートに若者が座っていること結構多いですよね。そして、老人が目の前の吊革につかまっているのに、…

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誤信念課題

KYは、「空気読めない」ですが、これがひどくなると、「人の気持ちの読めない奴」なんてことになります。実は、人の気持ちを読むってことは、大変高度な脳の働きなのです。心理学で大変有名な実験を紹介します。サリーとアンの誤信念課題というものです。今、子供たちがテレビの映像を見ています。そこには、部屋の中でクマのぬいぐるみで遊ぶ、サリーという女の子が映っています。やがてサリーはぬいぐるみをおもちゃ箱に入れて、部屋を出ていきます。すると、今度はアンという女の子が入ってきます。アンは箱の中のぬいぐるみを取り出して、タンスに隠して部屋を出ていきます。またサリーが戻ってきました。彼女はまたぬいぐるみで遊ぼうとし…

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