株式会社ファイブスターズ アカデミー
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以前、カフェイン(トリメチルキサンチン)で頭が良くなるという話をしました。いや、正確に言うと、頭が良くなるというよりは、頭の回転にブレーキをかけているブレーキそのものの働きを悪くするため、脳の暴走に歯止めがかからないのでしたね。また、もし頭がよくなる薬が開発されたら、脳の記憶のメカニズムに最初に関与するアデニル酸シクラーゼに関係するものであろうとも書きました。さて今回のお話は、残念ながらその薬が開発されたという朗報ではありません。アメリカでとったアンケートのお話です。ネイチャーという権威ある科学雑誌を定期購読している研究者に対して、「あなたが頭をよくするために飲んでいる薬は?」と質問をしてみま…
カナリヤのうち、鳴くのはオスだけです。つまり、あれはメスを呼ぶ求愛の歌なのです。カナリヤの脳の中で、歌をコントロールしている領域というのは、オスの場合、メスの4倍くらい大きいそうです。ノッテボームは、メスのその脳にテストステロンという男性ホルモンを注射してみました。すると、なんということでしょう!メスが歌を歌い始めたではありませんか!そうです、歌を忘れたカナリヤへの正しい治療法は、脳にテストステロンを注射することだったのです。ま、そんなことはどうでもいいですよね。さて、本題である、脳の細胞が生まれ変わる話しに戻しましょう。カナリヤの寿命は平均10年くらいだそうですが、毎年さえずる歌は違うのです…
長い間、人間の脳細胞は、新しく生まれることはないと信じられていました。脳細胞は、生まれたときにたくさん作られますが、あとは死滅していくだけなのです。毎日、何万という脳細胞が死んでいくって、聞いたことありませんか?でも、心配することはありません。たとえて言えば、生まれたときに、たくさん電気コードの配線をつないでおいて後は電気の通りが悪い配線を切っていくようなものです。ということで、生き残るのは、電気の通りのよい、優秀な配線だけということになります。しかし最近になって、脳細胞は新しく生まれることはないという、脳科学の前提が崩れました。脳細胞は新しく生まれていたのです。この脳科学界の常識が覆されるま…
タバコを吸うと、頭がすっきりするというのは本当です。そのメカニズムはこうです。タバコを吸うと、ニコチン性のアセチルコリンが発生します。これがアセチルコリンのレセプター(受容体)にすっぽりはまってしまいます。アセチルコリンは頭の働きを高める物質ですので、一時的に頭の回転はよくなります。だから、頭がすっきりした感じがするのです。アルツハイマー病患者がタバコを吸うと改善することがあるというのは、この効果によるものです。『タバコは百害あって一利なし』と言われますが、これはウソです。正確に言うと『千害あって、一利あり』くらいでしょうか。しかし、この一利もちょっと怪しいのです。タバコによってニコチン性アセ…
うつ状態の人は、ガンになりやすいという人がいます。なんとなく説得力がありそうですが、医学的にはよくわかっていません。というのは、関係あるという報告と、関係ないという報告が混在しているからです。現在のところ、「どちらとも言えない」が正解です。ただし、うつ状態の人が喫煙するとガンになりやすいという報告があります。フィンランドの研究ですが、抑うつ状態でない人たちで比べると、ダハコを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人の3.4倍でした。しかし、抑うつ状態の人の場合は、タバコを吸う人の肺がん発生率は吸わない人の19.7倍でした。ただ、原因はよくわかっていません。おそらく、抑うつ状態に伴う脳内伝達物質の変化…
愛煙家にはとてもショツキングな話です。タバコを吸うと頭が悪くなるという調査結果が発表されました。調査したのはテルアビブ大学のマーク・ワイザーという人です。18~21才の2万人以上の軍人を対象に、喫煙とIQの関係を調べたのです。その結果は、タバコを吸わない人の平均が101だったのに対してタバコを吸う人は94と、なんと7ポイントも低かったのです。しかもですよ。1日1箱吸う人は90と、もっと低いではありませんか!原因は2つ考えられるそうです。一つ目は、一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合することにより脳が酸欠状態になり、一過性の障害が起こること。二つ目は、アセトアルデヒドが脳内のアセチルコリンやド…
前回、ヒトの脳として機能しているのは、前頭連合野だとお話ししました。物事を論理的に考えたり、理性的に考えたりするのは、ここの働きです。しかし、現代人はここの働きが鈍っているのかもしれません。前回、動物園のライオンは何の工夫をしなくてもエサに困らないので、前頭前野の働きが鈍くなっているとも言いました。ヒトの場合、朝から晩までテレビを見続けると、前頭連合野の働きが鈍ることがわかっています。たしかに、今のテレビは面白いですよね。どんな話題でも、いかにも興味を引くように私たちに提示してくれます。そして、解説についても、本当にわかりやすく懇切丁寧にしてくれます。テレビでは、中学生が理解できるかどうかが目…
さて、爬虫類の脳(ワニの脳)、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてお話してきました。今回はいよいよ最後の、新哺乳類の脳、いわゆるヒトの脳についてです。具体的には、大脳皮質、とくに理性をつかさどる前頭連合野などを指します。旧哺乳類の脳で、ようやく感情が生まれるのでしたね。ネズミの母親は自分の赤ちゃんに愛情を感じるので、食べたりしないという話をしました。でも他人のネズミの赤ちゃんには愛情を感じないので食べてしまうのです。新哺乳類の脳(ヒトの脳)になって、ようやく他人の赤ちゃんも殺さなくなります。おそらく感情に加えて、前頭連合野がつかさどる理性が働くからなのでしょう。もし前頭連合野の働きが鈍くなったらど…
前回は、爬虫類の脳(ワニの脳)についてお話しました。今回は、旧哺乳類の脳(ウマの脳)についてです。具体的には、大脳辺縁系を指します。爬虫類の脳には感情はありませんでしたが、旧哺乳類の脳になって初めて感情が生まれます。大脳辺縁系という部分は、感情をつかさどっているのです。ワニの赤ちゃんは、生まれるとすぐ、母親に食べられないために走って逃げるのでしたね。でも、ネズミの赤ちゃんは逃げ出しません。なぜなら、ネズミの母親はわが子に愛情という感情を持つので、子供を食べたりしないからです。良かったですね。でも、これはこの愛情はわが子に対してだけです。集団でネズミを飼うと、母ネズミはわが子は食べませんが、他人…
マクリーンという学者は、人間の脳は3つの脳から成り立っているという説を唱えました。これは三位一体説というものです。①爬虫類の脳(ワニの脳)②旧哺乳類の脳(ウマの脳)③新哺乳類の脳(ヒトの脳)今回は①について説明しましょう。具体的には、大脳基底核や脳幹を指します。別名「ワニの脳」とも言われ、もっとも原始的な脳です。動物は、自分の縄張りに侵入した敵に対して、威嚇するか戦うか逃げるかの選択をします。以前、「3つのF」として説明しましたよね。たとえばこんな場面を想像してみてください。あなたが、夏の暑い日に必死で外回りをして帰ってきたら、あなたのデスクには同僚が座っていてゲラゲラ笑いながら誰かと電話して…
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