株式会社ファイブスターズ アカデミー
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M(マネーサプライ)を増やしたのに、インフレにならなかった理由は何なのか?6年前に、私はあるエコノミストに、その理由を説明する仮説を提示し、意見を求めました。それは、「MV=PT」の左辺のV(貨幣速度)が下がってしまったことが理由ではないかと。その時はエコノミストに否定されてしまいましたが、後に吉川洋氏や若田部昌澄氏などの著書でも同様の検証がなされていて、私は大変うれしく思ったことを覚えています。V(貨幣速度)が下がるとはどういうことか、わかりやすく説明しましょう。今日ATMからおろした1万円がなくなるのは、何日後ですか?バブルの頃は、お金に羽が生えているのかと思うくらい、あっという間になくな…
今回はちょっとアカデミックな話になりますので、数学が嫌いな人は適当に読み飛ばしてください。今までお話した通り、景気をよくするためにはインフレを起こせばいいのですが、では具体的にどうすればインフレを起こせるのでしょう?今から6年ほど前に、私は「MV=PT」という「素朴な貨幣数量説」を基にこのブログでそのアイデアを説明しました。この式は、実物経済規模と貨幣経済規模は等しいことを表しています。右辺から説明しましょう。Pは物価です。Tは取引総数です。つまり、その年に取引された商品やサービスの価格をすべて調べ上げ、それがいくつ売れたかを掛け合わせれば、その国の実物経済の取引規模が分かります。次に左辺を見…
前回、チョー円高は、デフレを放置したことが原因だとお話ししました。今回は、デフレの悪影響についてお話ししましょう。まずは、インフレとデフレの違いから説明しますね。インフレとは物価が上がることです。一方デフレとは、逆に物価が下がることです。お互いよく似た現象のように思えますが、経済に与える影響は天と地ほども違います。インフレは、世の中の物価が上がることです。一般にインフレは景気のいい時に起こります。もしあなたが社長だとして、インフレの時に自分の会社の製品を値上げしないで据え置いたらどうなるでしょう。当然、社員の給料も上げられません。他の会社は、製品を値上げした分、社員の給料も上げています。ですの…
前回、チョー円高の謎を、小学校の算数で解き明かすと予告しました。では早速はじめましょう。あまりに簡単な計算ですので、電卓も要りません。今、1ドル100円という為替水準だったと仮定します。そして、日本でもアメリカでも、同じ品質のハンバーガーが同じ価格で売られていたとします。では問題です。日本でそのハンバーガーが100円のとき、アメリカではいくらでしょうか?これはカンタン、1ドルですよね。次にその後10年間、日本ではデフレが続き、アメリカではインフレが続いたとしましょう。日本では毎年1%ずつ物価が下がり続けたとします。ザックリ言って、100円の1%、すなわち1円ずつ値下がりします。1円が10年間続…
一時期は、1ドル70円と、とんでもないチョー円高が日本経済を苦しめていました。輸出産業がメインの日本にとっては、致命的な水準です。ある大学教授は、1ドル50円台までいくだろうと予想しています。どんなに景気が悪くなっても失業しない職業の人は、お気楽でいいなと思います。もし、本当に50円になったら、日本経済は壊滅状態になるでしょう。この教授の教え子は、ひとりも就職できないかもしれません。それでも給料がもらえる仕事はうらやましい限りですが、はたしてこういう職業が世の中のためになっているのか疑問です。それはさておき、なぜこんなにも円高が進むのでしょうか。日本の円が買われているということは、それだけ日本…
これまで日本の金融マーケットを、国債と株を両面から見てきましたが、両方ともきわめて異常な価格で取引されていることがお分かりいだたけましたでしょうか。日本国債は、日本が借金大魔王の国であるにも関わらずとんでもない高値で取引されていました。一方、日本株は、その会社の純資産総額を下回る株式総額で取引されていました。どちらも理論的には説明のつかない事態です。これは果たして、マーケットが間違えているのでしょうか?金融に携わる人で、「マーケットが間違えている」と断言できる人がいたらその人は大ウソつきです。なぜなら、現にそのマーケットが存在していることは否定のしようがないからです。でもご安心ください。マーケ…
前回、発行済み株式総数が1億株で、純資産は金庫に入っている100億だけという会社があったと仮定しました。そして、このとき株価は100円を割り込まないはずだと言いました。これをわかりやすく解説しましょう。今、仮に株価が100円を割り込んで、80円にまで値下がりしたとしましょう。そして、ある投資家が、この会社の株の買い占めを企んでいるとしましょう。ちなみに彼はこの会社を経営する気などなく、単なる財テクと考えています。さて彼は、いったいいくらの資金があれば買い占められるでしょうか。答えは簡単、80円×1億株=80億円ですよね。そして80億円で手に入れた会社をすぐに解散します。この会社はすでに彼のもの…
株価が適正かどうかを見る指標はいくつかありますが、今回はPBR(株価純資産倍率)に注目します。これは、簡単に言うと、株価の合計が、その会社の純資産の何倍まで買われているかということです。わかりやすい事例でお話ししますね。今、Aという会社があったとしましょう。計算を簡単にするために、上場の条件は一切無視して、とりあえず上場企業だとしましょう。ですので、株式がマーケットに流通しています。仕事はブローカー業務だとしましょう。ですので、工場などはありません。本社も賃貸ビルで、机などもすべてレンタルだとしましょう。社員は社長ひとりで、借金はゼロです。この会社の純資産は、金庫に納められている100億円の現…
前々回、国債の価格について、評論家が間違えているのか、それともマーケットが間違えているのか、という話をしました。株価について言うと、昨年の12月30日の日経平均は、8455円でした。年末の価格としては29年ぶりの安値だそうです。昨年の値動きを振り返ってみましょう。10,380円で始まり、もみ合いながらも上昇基調で、3月10日は10,434円でした。そして翌11日、あの震災が起こります。株価は一気に急落し、15日には8,605円をつけました。日本経済はまさに「お先真っ暗」の状態でした。しかし、震災で多くの建物が失われたということは、取りも直さず、今後多くの建築需要が見込めるということです。ですの…
与党も野党も、消費税率アップの大合唱です。首相は、ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップとまで言い切り、不退転の覚悟を明確にしました。大変不思議に思うのは、増税に政治生命を賭ける政治家はいても、景気をよくすることに賭ける政治家が一人もいないことです。景気がよくなれば、消費税率を上げなくても、税収は増えるはずです。なぜそれを目指さないのでしょうか。もしかしたら、当面の財政収支を改善することが最優先で、そのためには、どれだけ失業者や自殺者が出ても構わない、という判断なのでしょうか。消費税率アップでどれくらい税収が増えるか、過去のデータをもとに検証してみましょう。97年に橋本龍太郎内閣が、消費税率を3%…
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