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村上 徹

「右脳を鍛える」は不可能?

心理学の話題ではありませんが、脳の話が出たので今回は脳科学についてちょっと・・・。書店に行くと、「右脳を鍛える」というような題名の本がズラリと並んでいます。ところが、脳科学者の中で、このような本を信じている人はまずいません。なぜなら、右脳だけ鍛えることは難しいからです。脳は構造的に、脳梁という「橋」で右脳と左脳が結ばれています。そして、一方の脳の情報は、「橋」を渡って反対側の脳にも連係されています。ですので、片方の脳だけ鍛えることは、事実上不可能です。私の考えを言うと、題名に「脳」とついている書物の95%くらいは、非科学的なものだといっていいでしょう。「右脳の活性化」と言う話に対しても、もう少…

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キメラの顔

心理学の実験に使うもので、キメラの顔という不思議な顔のイラストがあります。私の研修でも内容によっては、このイラストを使います。悲しそうな顔と、うれしそうな顔をタテに真っ二つにして、それぞれを逆に張り合わせたものです。これをタテに並べたものを一瞬だけ見せて、どちらが幸せそうか質問します。理屈で考えると、どちらにも悲しそうな要素と嬉しそうな要素が含まれているわけですから、確率は1/2、つまり大勢の人に実施すれば半々に分かれると思いますよね。ところが実際は、右顔面が嬉しそうな顔の方を選ぶ人が圧倒的に多いのです。つまり、私たちは、相手の感情を読もうとするとき、その人の右顔面を見て判断しているということ…

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プロポーズは左耳に

プロポーズでOKをもらいやすいのは、BGMのかかっている場所で、相手の左耳に囁いたときです。なぜかについて、科学的にご説明しましょう。まず、BGMというのは、冷静な判断を狂わせる効果があります。あなたは、BGMのかかっていないデパートにはいったことはありますか?ないですよね。なぜかというと、BGMがかかっていないと売り上げが落ちるからです。音楽を処理するのは、右脳です。一方、左脳は論理をつかさどったり、計算をする脳です。そして、左脳は右耳と、右脳は左耳とつながっています、脳溢血などで後遺症が残った場合、左脳で障害が発生した人が、反対側の右半身が不随となるケースがあることは聞いたことがあるでしょ…

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左側通行

小学校の時「人は右、車は左」と教えられました。これは、日本の場合、車が左側を走るので、人は右側通行した方が安全という発想です。でも、本当のところ、人間工学的にはどっちなんでしょう。先日、東京駅の地下道を歩いていた時、気になって観察してみました。なんと、ほとんどの人が、左側通行しているではありませんか。でも、向こうから歩いてくる人も左側通行なので、結局スムーズに行き来ができています。空間心理学者の調査では、道幅が狭くなるほど左側通行は増えます。なぜでしょう?答えはカンタン!心臓が左側にあるからです。右側通行すると、心臓のある左側が未知の空間にさらされて無防備になってしまいます。一方、左側通行なら…

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アンダーマイニング

同じ仕事をするなら給料の高い会社がいいに決まってる!誰だってそう思いますよね。ところが、心理学の実験では必ずしもそうではないのです。バソコンの画面上でマウスを動かして対象をクリックするという単純作業をするのに、3つのグループに分けます。Aグループ ⇒ 5ドルの報酬Bグルーブ ⇒ 50セントの報酬Cグループ ⇒ 報酬なしさあ、どのグループが一番頑張ったでしょうか?なんと、報酬のもらえないCグループでした。これが人間心理の不思議なところ。人は金のみで仕事しているわけではないのですね。他の実験では、面白いパズルを解けたら1ドルあげるグループといくつ解けても何もあげないグループを比較しました。この実験…

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初頭効果

合コンのときの自己紹介で、やたら自虐ネタを連発して笑いを取ろうとする人がいます。これって、効果あるのでしょうか?実は、まったくの逆効果なんです。今、部長がみんなの前で、新任の課長を紹介するケースを考えてみましょう。紹介の仕方は、AとBの二通りです。A「彼は、元気がよくて、明るくて、リーダーシップがとれる。また頑固なところがあり、独断的だ」B「彼は、独断的で、頑固なところがあり、りーダーシップが取れる。また元気がよくて、明るい」どうですか?AとBの、どちらがイメージよかったですか?実験では圧倒的にAでした。人は最初に聞かされた内容で、すでにある程度イメージを作ってしまうのです。心理学では、「初頭…

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認知的不協和

アメリカの自動車メーカーが、どんな人が車の広告を見ているのか調査しました。事前の予想では、これから車を買おうと思っている人が最もよく見ているのでは、ということでした。ところが、結果は驚くべきものでした。最も広告を見ているのは、最近車を買ったばかりの人だったのです。なぜでしょう?もう買ってしまったのだから、広告見たってしょうがないはずなのに・・・これは認知的不協和という現象です。フェスティンガーという心理学者の理論です。車を買った人は、少しばかり後悔しているのです。つまり、高い買い物をしてしまったのではないか、他にもっと安くていい車があったのではないかと。そこで、広告を見て「ああ、やっぱり自分の…

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ピグマリオン効果

あなたの所属に新人が配属されました。一緒に仕事をし始めたのですが、「打てば響く」という感じではなくて、ちょっと頼りない気もします。ウーン、これはどうやって育てていけばいいものか?今回は、時節柄いかにもありそうな問題について考えてみましょう。さて、答えはズバリ、「期待している」というメッセージを発信し続けることです。これはピグマリオン効果と言って、心理学では結構名の知れた理論です。ある小学校で、権威ある学者が名簿を見ながら、何の根拠もなしに「この子は天才だ」、「この子は絶対に伸びる」などと、ランダムに担任の先生に吹き込みます。すると不思議なことに、一年後に本当にその子たちの成績が驚くほど伸びたの…

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誤前提提示

ずいぶん前のことですが、デパートのスーツ売り場をブラブラ冷やかしていた時のことです。もちろん、高価なので買う気などありませんでした。すると、近づいてきた販売員がこう言ったのです。「ダブルをお探しですか? シングルですか?」その時私は、ダブルのスーツなど一着も持っていないことに気付きました。「そういえばダブルなんて持ってないな」「分かりました。こちらがダブルのコーナーなのですが、明るい色がお好きですか? それともダーク系ですか?」「えっ?色? うーん、持ってるのはドブネズミ色ばかりだから、明るい色のスーツなんて着たことないよ」「わかりました。いかがでしょう。この辺りが明るい色の品ぞろえとなってお…

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ブーメラン効果

カリギュラ効果とよく似たものに、ブーメラン効果があります。人は、説得されるとついつい反発してしまうというものです。子供の頃、親から「勉強しなさい」と言われるほど、する気がなくなったという経験はありませんか。これがブーメラン効果です。人はそもそも、自分で自由に物事を決定したいという気持ちを持っています。それがうまくいかないと、心理的リアクタンスと言って反発心が生まれるのです。衣料品店で店員さんに熱心に勧められると、かえって買う気がなくなることがあります。また、店員さんにつきまとわれると、自由なヒヤカシができないので、今はあえてアプローチしないのが一般的です。押してもダメなら引いてみな、という歌が…

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