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村上 徹

赤ちゃんも人の心を読む?

前回、誤信念課題については、4歳未満の子供は正解できないと話しました。なぜでしょう?それは、サリーに心があることを理解できないからです。そうなのです!人に心があるということを理解するには、結構高い知性が必要なのです。この課題は、4歳児から正解者が出始め、12歳でほとんど全員が正解できるようになります。でも、12歳になっても正解できない子供がいます。それは自閉症の子供です。自閉症の子供にとって、人に心があることを理解するのは困難なことなのです。この年齢に関しては大変よく知られた事実ですが、2005年に衝撃的な論文が出ました。クリスティン・オオニシとレネー・バイラジョンによれば、なんと生後15カ月…

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心の理論

発達心理学の世界では大変有名な「心の理論」についてご紹介します。この理論の定義づけ等をしたのは、バロン=コーエンですが、最初に問題提起したのは、プレマックという学者です。それは非常にセンセーショナルなテーマの論文でした。曰く、「サルは人間の心が読める」。いかがですか?心理学界あげて、話題騒然となったのは無理もありません。サルが心を読めるかどうかは後でお話しするとして、まず心の理論について説明しましょう。最もわかりやすいのが、「サリーとアンの誤信念課題」です。次の問題を解いてみて下さい。今、私たちは、テレビの画面を見ています。画面には、部屋の中でボール遊びをしているサリーという女の子がいます。サ…

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9.11のテロで

2013年7月6日のプログ「ソロモンアッシュの同調実験」の回で、人は他人の意見に、ついつい合わせてしまうということをお話しました。そうです。同時に2枚の紙をみせますが、片方の紙には、長さの違う線が3本引かれています。もう片方の紙には、1本だけ線が引かれていますが、それは3本の線のうちのまん中の長さの線と同じ長さです。そして、3本の線のうち同じ長さの線はどれかと聞くのですがそこに何人かのサクラがいて彼らが揃って間違った線を指さすと、ついつい同調してしまうという実験でした。この傾向は、アメリカより日本の方が強く表れるのではないかと思われていました。なぜなら、一般に日本の方が「集団主義的」であると考…

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地球にロープを巻きつける

前回予告したとおり、2008年1月14日の回で、こんな問題を出しました。ぜひ挑戦してみて下さい。【問題】地球の一周は約4万kmだそうですが、今、赤道上にロープを巻き付けるとしましょう。最初ゆとりをもたせるために、地上1mのところに浮かして回します。その後、ロープを引っ張って地上にぴったりつけるとすると、どのくらいロープを引っ張ればいいでしょう?次に、ピンポン玉にひもを巻きつけるとしましょう。地球と同様、最初は1m離して巻きつけます。その後どのくらい引っ張ればいいでしょう?どのくらい引っ張るか正確な数値を求めよ、と言われると困ってしまいますので、引っ張る長さはどちらが長いか、という三択問題にしま…

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伝説のプレゼン

(今回は、予告とは違う内容です。ご了承ください)2020年の東京オリンピックの誘致が決まった要因は、素晴らしいプレゼンだったと、マス・メディアがさかんに取り上げています。日本中が歓喜に沸く前日、私はたまたま馬場康夫氏の本を見つけ買いました。そこに、1974年12月のあるプレゼンの話が書かれています。ディズニーランドを誘致しようとした男たちの話です。当時、デイズニーランドの誘致には三井グループだけではなく、三菱も手を挙げていたそうです。しかも、すでに表敬訪問を済ませるなど、三井より一歩リードしていました。それを逆転するべく、帝国ホテルの一室でウォルト・ディズニーの幹部一行を前にそのプレゼンは始ま…

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極端の回避

今ある大衆食堂が困っています。かつ丼のメニューで、「上」1000円と、「並」700円の2種類があるのですが、安い方の「並」しか注文がないのです。どうしたら、より利益の出る「上」の注文を増やすことができるのでしょうか。答えはカンタン!「特上」1800円のメニューを新たに追加し、3種類にすることです。人間は、値段の違う3種類のメニューを見せられると、真ん中を選ぶ傾向があるのです。このことを実験で最初に証明したのは、トゥベルスキーです。まず、カメラを買いたい106人にカメラを選ばせます。彼らを第1グループとしましょう。カメラはAとBの2種類です。Aは170ドル(約1万7000円)の手頃なもので、Bは…

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スポットライト効果

メリッサ・ベイトソンという女性の心理学者が、イギリスのある会社のドリンク販売コーナーで一風変わった実験をしました。このコーナーにはコーヒー、紅茶、ミルクが置いてあります。そして、目の高さに小さな花の写真と、それぞれの飲み物の値段が張り出してあります。社員は好きな飲み物をセルフで飲み、代金は自分で料金箱に入れるという方式です。もちろん監視があるわけではありませんので、払わなくても捕まることはありません。彼女は、ミルクの売り上げについて、10週間にわたり調べました。毎週ほぼ同じ量のミルクが飲まれていましたが、箱の中の金額はかなり違っていました。1週目は、8週目の約7倍の金額が入っていました。奇妙な…

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ウソを見抜く心理学(3)

前回は、刑事のテクニックをご紹介しましたが、今回は検事です。元東京地検特捜部・副部長の若狭勝氏の書いた「嘘の見抜き方」(新潮社)からご紹介します。まず怪しいのは、質問には直接答えず、逆に質問で返すパターンです。例えば「オレを疑っているのか?」とか、「オレの言うことが信じられないのか?」という反問です。地方自治体の会議では、市長など行政のトップには反問権が与えられていないそうです。また、明らかに聞こえているはずなのに聞き返してくるというのは、時間稼ぎの可能性があります。しぐさでは、不自然な笑いがあげられます。不自然というのは、一瞬だけの笑顔とか、逆に数秒続く長い笑顔です。この、「感情の持続時間」…

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ウソを見抜く心理学(2)

前回は、心理学の知見をお話しました。今回は、刑事のお話をしましょう。北芝健氏です。氏は元警視庁の刑事です。彼の「落としの技術」(双葉社)によると、以下のようなしぐさの変化が現れるそうです。まず、緊張感が走るため、呼吸が浅くなったり早くなったりします。また、声帯が固くなるため、声のトーンが高くなることもあるそうです。しかし、時にはそれらをすべてクリアーするような、「ベテランの容疑者」?もいるそうです。ところが、そのベテランでも、滑舌が悪くなったため刑事にウソを見破られました。視線がどちらの方向を向くかも観察ポイントです。私の研修では、実際に脳科学の実験に参加してもらいながら体験します。具体的には…

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ウソを見抜く心理学(1)

私は10年前に「『売る力』の法則」(PHP研究所)という本を上梓しましたが、その中に「しぐさで見抜く」という一章を設けました。人間のちょっとしたしぐさが、どのような心理状態を表しているのかという研究や知見は結構存在します。それらを丹念に集めて、ひとつの章として構成したわけです。今回は、ウソをついたときのしぐさについて、最近の研究なども含めてお話したいと思います。まず、ウソをつくと、わずかではありますが体に緊張感が走ります。生理学的に言うと、交感神経が優位となります。すると、ごく若干ではありますが、体がこわばったり発汗したりします。ウソ発見器というのは、微量の電流を流して、手のひらの発汗作用を感…

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