株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

デューク・ジョーダン

帰ろうかと真剣に悩んでいました。今から10年以上前の、ある会議の最中のことです。「自分が正当に評価されていない」という不満が、突然ふつふつと沸いてきました。そして、過去の数々の理不尽な出来事が次々に思い出され、私の周りで渦を巻き始めました。会議の後、軽いパーティーが予定されていたのですが、そんなものはキャンセルしてこのまま帰ってしまおうかと本気で考えました。怒りで熱くなった頭には、結構魅力的な提案に思えたのです。パーティー開始まで会場設営の都合とかで少し時間があったので半ば帰る気持ちでビルの1階に降りました。すると、CDショップがあります。このまま帰ってしまっていいものかという後ろめたい気持ち…

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オールド・パー

高級ウィスキーとしてなじみ深いお酒ですが、日本ではパーじいさんのことはイギリスほど知られてはいません。ブランド名のモデルになったトーマス・パーは、なんと152歳まで生きた人物です。ただ、戸籍が今ほどしっかりしていない1483年の生まれと言いますから、この年齢も真偽のほどはたしかではありません。しかし、かつての「きんさん・ぎんさん」のように当時のイギリスで、パーじいさんのことを知らない人は一人もいませんでした。驚くべきことに、当時の国王チャールズⅠ世がぜひ会いたいということで、ロンドンに招かれます。150マイルも離れた田舎町から、数週間かけて馬車でやってきたパーじいさんは、国王から長寿の秘訣を聞…

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乃木将軍

乃木希典と言えば、あの203高地の戦いで有名な名大将です。日露戦争における海軍の戦いのクライマックスが、バルチック艦隊との「日本海決戦」とするならば、陸軍のそれは、間違いなく壮絶な203高地の攻防です。旅順要塞を制圧せよとの命を受け、乃木将軍は堂々と正面突破を図ります。しかし、3回にも及ぶ総攻撃はことごとく失敗し、甚大な被害を出してしまいます。軍の上層部では、将軍更迭論まで出ていたそうです。そもそも、なぜこのような命令が下ったかというと、原因は海軍にありました。要塞が守る港には、旅順艦隊が停泊していました。バルチック艦隊には及びませんが、アジアに睨みを利かす旅順艦隊は日本海軍にとって相当な脅威…

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ザ・グレンリベット

「うちの会社は、言いたいことも言えない雰囲気なんです」よく聞く話です。いつの時代も、自分の考えを堂々と主張するのは勇気がいるものです。ザ・グレンリベットは、イギリスではもっとも古いウィスキーです。ただし、この「もっとも古い」という形容詞については、少しばかり説明が必要です。そもそもウィスキーの歴史とは、密造の歴史でもあります。見つかって税金をとられてはいけないということで、ウィスキーづくりは人里離れた山奥で行なわれました。しかし、そこでは麦芽を燻すときに燃やす材料がありません。そこでやむなく、堆積していたピート(泥炭)を使うようになったのです。これがウィスキーの、あの独特の香りのもととなりまし…

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野口英世と森鴎外

理研がSTAP細胞の発表をした時、世界中が驚きと賞賛を持って歓迎しましたが、わずか1カ月後には、事態は一気に暗転してしまいました。本当にSTAP細胞が存在するのかどうかは、今後の厳密な科学的検証により明らかにされることと思います。このとき私が思ったのは、野口英世のことでした。野口英世と言えば、世間では、千円札にも載っている言わずと知れた大科学者と思われていますが、実はまったく違います。野口が活躍したロックフェラー大学に留学した、福岡伸一の本で私は真実を知りました。この大学には、なぜか野口に関する記録はほとんど残されていません。まるで、野口が在籍していたこと自体を、必死に隠しているかのように・・…

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グランツ

グランツというウィスキーは珍しい三角柱のボトルです。三角柱と聞いて、グレンフィディックを思い浮かべた人はかなりのウィスキー通。実は、この2つのウィスキーは同じところで作られています。ウィリアム・グラント&サンズ社といいますから、グラント氏とその息子達の家族経営であることがわかります。グラント氏が苦労して自分の蒸留所を持ったとき、8人の息子と2人の娘、そしてひとりの石工が協力したそうです。ところが、用意した資金はすべて蒸留所の建設費に消えてしまいました。グレンフィディックは御存じの通り12年ものです。つまり、彼らが精魂込めて作った酒が売れてお金が入ってくるのはなんと12年先。気の遠くなるような話…

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ビーター・リンチ

従業員が何万人もいる、大会社に勤めていた頃の話です。「今日はやけに飛ばすなぁ、人でも轢いたら大変だぞ」そんなことを考えながらバスに乗っていました。不意に、かつて読んだ本の、あるフレーズが気になり出しました。「バスに轢かれる・・」何だっけ?なかなか思い出せません。記憶を辿っていくうちに、ついに思い出しました。ピーター・リンチです。アメリカにフィデリテイという投資信託No.1の証券会社があります。80年代に、この会社のマゼランファンドが、非常に高いパフォーマンスで一躍有名になりました。そのファンドを運営していたのが、今や伝説となったピーター・リンチその人です。すでにこのファンドは解散してしまいまし…

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ティーチャーズ

てっきり、「先生」が作ったものだと思っていました。ティーチャーズという名のブレンデッド・ウィスキーです。酒屋では、1000円以下で売られている安いお酒です。このウィスキーの創業者は、ウィリアム・ティーチャーという人です。もちろん先生ではありません。それどころか幼くして父親を亡くしたため、9歳の時には母親と同じ紡績工場で働かざるを得ませんでした。つまり、名前とは裏腹に学校にはほとんど行っていないのです。11歳で仕立屋の見習いになった時、そこの親方夫婦が偉かったのです。親方は、学問の大切さを知っていました。作業場の片隅で、親方の奥さんが子供たちのために本を朗読してくれました。後に彼は酒場を開いたの…

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本田選手走ってます

ミランの10番、本田圭祐選手の話題でもちきりです。日本のメディアは極めて好意的に報じていますが、イタリアではどうなのでしょう。イタリアでは、スポーツ紙が出場全選手の点数評価をしています。そのうち有力3紙の評価はほぼ同じでした。まず、初めて出場したサッスオーロ戦では、揃って最高点をつけていました。ところが、次のリーグ戦のベローナとの戦いでは、そろって最低点。心配していた「知名度のないミランの10番」への酷評が始まったかに思われました。評価の低い理由は簡単です。前半早々に訪れたデ・シーリョからの絶好のクロスに対して、まるで中学生のようなトラップミスをしたことです。これには、目の肥えたミラニスタなら…

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ミランの10番

そのプレースタイルの変わりようは、まるで別人のようでした。ACミランに移籍した本田選手のことです。下位に低迷していると言っても、そこは腐っても鯛。サッカーファンなら誰もが知っている名門チームの10番です。いいプレーをすれば、世界中から絶賛を浴びますが、そうでなければ徹底的に叩かれます。本田はメンタル面ではワールドクラスの選手ですが、彼の最大の欠点は運動量の少なさです。90分間ピッチをテクテク歩き続ける姿を、私たちは何回も見せられました。北京オリンピックの予選や、昨年のワールドカップ予選の中東開催のゲームです。これだけ走らないのに交代させられない選手というのは、ラモス以来でしょう。それにしても不…

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