株式会社ファイブスターズ アカデミー
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社会人になって数年が経った頃、当時の上司に銀座のバーに連れて行ってもらいました。随分と歴史のある店でした。なんでも銀座が焼け野原だった頃からやっていると言うので3人いるバーテンダーの中でもっとも若いという人と話してみると、なんと60をとうに過ぎていました。なぜかカウンターの立ち席が大人気で、そこが空くまでのつなぎとして椅子席で飲むという今思えば少し変わった店でした。それから結構な時が経ち、管理職になった私は近く結婚するという部下を連れて再び訪れました。そのとき、彼が注文したのが、この手ごろな値段のウィスキーでした。彼の奥さんになる人はキャビン・アテンダントでしたが、ロンドンのフライトの帰りには…
一見平和に見える日本ですが、ビジネスの世界では日々激しい戦闘が繰り広げられています。戦争のエッセンスは、ビジネスの世界に引き継がれ、今も脈々と息づいているのです。その証拠に、”拠点””戦略””戦術”など、戦争用語のなんと多いことか。太平洋戦争の、とりわけ指揮官に関する本を読んでいると、現在のビジネスシーンに共通するような実例がゴロゴロしていて、そのあまりの相似性に改めて驚かされます。「インパール作戦」と言えば、多大な戦死者を出した悪名高き作戦です。その指揮官だったのが牟田口廉也です。戦況が、誰の目にも圧倒的に不利なことが明白になった昭和19年3月。参謀本部のほぼ全員が反対していた、インパール作…
それほど多くのお酒を飲んでいるわけではないのであてにはならないのですが、ウィスキーというのは不思議な飲み物で、同じお酒なのにその日の体調によって隋分味が変わります。ある日はとてもおいしいと思って飲んでも、別の日にはきつすぎると感じることがあります。ところが、いつ飲んでもまったく変わらずに「おいしい」と思えるものもあります。私の場合、数少ないそのうちの一つがロイヤル・サルートです。かなり値段の張るウィスキーなので、もしかしたら「高いからうまいはず」というプラシーボ効果が働いているのかもしれません。ロイヤル・サルートというのは、そもそもはイギリス海軍が王室の特別行事のときに打ち鳴らす「王礼砲」を言…
思いこみというのはよくありますが、今回ばかりはとても驚きました。テレビで京都大学霊長類研究所の元所長、松沢哲郎の話を聞いていて、目から鱗が落ちました。ヒトは生物学上、「サル目(霊長目)」に分類されます。サル目は、さらに10以上の「科」に細かく分けられますが、ヒトは当然「ヒト科」の動物です。驚いたのはこの後です。ヒト科は、さらに「属」に分けられるのですが、その属が4つもあるのです。ヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属、オラウータン属。これらは総称して「類人猿」と言いますので、ヒトに近い動物であろうということはうすうす気づいていましたが、まさか「ヒト科」だったとは・・・。そういえば、動物行動学の本で、…
15年前に買ったポケット瓶が、いまだに封を切られることなく食器棚の一角に佇んでいます。その名はラフロイグ。ラフロイグの故郷であるアイラ島は、佐渡島と同じくらいの大きさですがここで造られるモルトは名酒ばかり。ウィスキーのロールスロイスと言われるラガヴーリンやボウモアも大変有名です。私は飲んだことがありませんが、幻の酒ポート・エレンもアイラ島にあります。なぜ幻かというと、現在は操業していないため倉庫に残ったストック分しか出回らないからです。アイラ島はまさにウィスキー造りで成り立っている島です。人口4000人に満たない小さな島ですが、ウィスキー産業が納める税金は年間で数百億円に上るそうです。そんなに…
19才の、ある春の日の出来事を、今でもはっきりと覚えています。その時私は、まるで金縛りにでもあったかのように、まったく身動きができなくなってしまったのです。きっかけは小さなFMラジオから流れてきた、まさに”慟哭”と呼ぶにふさわしいアルトサックスでした。フィル・ウッズの「ホェン・ウィ・ワー・ヤング」。怒りや、やり場のない悲しみが一塊になって私を直撃し、そして激しく揺さぶったのです。以来40年にわたり、この曲を聴き続けています。ウッズと親交のあったロバート・ケネディの死を悼んで録音されたものと知って、何か謎が解けたような気がしたのはずっと後のことでした。「好きな音楽は?」と聞かれて、はたと困ったこ…
「老兵は死なず、ただ消え行くのみ」新入社員の時、定年退職する人が挨拶でつぶやいた言葉が耳に残っています。あのダグラス・マッカーサーが、朝鮮動乱の最中に占領軍最高司令官の職を解かれた際、アメリカの議会で演説した時の名文句です。短い言葉の中に、軍人の意地と誇りがぎっしり詰まっているではありませんか。そういえば、カラオケが流行り出したのも新入社員の頃。まだカラオケ店などなく、なじみのスナックでウィスキーの水割りを飲みながらの熱唱でした。たまに上司に連れて行ってもらう、ちょっと高級な店の棚に並んでいたのがこのカティーサーク。鮮やかな山吹色のラベルに帆船が描かれたボトルは、初任給の身にとってはあこがれの…
昔、『ジョニ赤』や『ジョニ黒』といえば、高級洋酒の代名詞でした。現在でも、世界で最も売れているブレンデッド・ウィスキーです。ブレンデッド・ウィスキーというのは、その名の通り何種類かのウィスキーをブレンドしたものですが、モルト・ウィスキー同士を掛け合わせたものは、ヴァッテッド・ウィスキーと呼ばれます。プレンデッド・ウィスキーというのは、モルト・ウィスキーの他にグレーン・ウィスキーもブレンドしたものを言います。ここでちょっと、用語の説明をしましょう。モルト・ウィスキーというのは、大麦麦芽(いわゆるモルト)だけを原料として、単式蒸留釜で2回蒸留したものを言います。まれに『ブッシュミルズ』のように3回…
皆さんも聞いたことがあるかもしれません。植物に水をあげるとき「早く大きくなりなさい」とか、「きれいな花を咲かせてね」などと話しかけると、本当にその通りになるというお話しです。この説のルーツは、1966年2月のある寒い夜に遡ります。ニューヨークに、クリーブ・バクスターというウソ発見器の技師がいました。戦時中はCIAにも在籍していたというから、まさにその道のプロです。何でも、業界の研究の中には「バクスター領域」という専門用語まであるそうです。その日も、ニューヨークのタイムズスクエアにある彼のオフィスは、夜遅くまで明かりがついていました。翌日、警察学校でウソ発見器の授業をするための準備をしていたので…
随分前のことですが、高校時代の友人たちと蟹を食べに行った金沢のホテルのバーでメニューリストの中に、この奇妙な名前のウィスキーがあるのを知ってうれしくなりました。『ウシュクベー』というゲール語は、ウィスキーの語源になったと言われています。では、その意味はというとなんと「生命の水」です。どうです、飲みたくなりませんか?アメリカでも人気の高いお酒で、ニクソンが大統領に就任した時のパーティーでは公式スコッチとして選ばれたそうです。モルトの比率が高いので、”とんがった”感じを残しつつもそれでいて実に飲みやすい。つまり、絶妙なバランスに仕上がったブレンデッド・ウィスキーなのです。その前日も自宅で飲んだお酒…
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