株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

フランケンシュタイン

フランケンシュタインとは、あの顔に継ぎ接ぎがあるモンスターの名前だとばかり思っていました。そうではなく、墓を掘り起こしては数々の死体を繋ぎ合わせてこの怪物を作った、いわば生みの親である科学好きの大学生の名前だそうです。では、この怪物の名前はというと、それがわからないのです。そもそも小説では、名前が与えられていません。18才のメアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィンが、スイスのレマン湖の畔で、うち続く長雨の退屈しのぎにこの物語を創作したのは、今から約200年前。原作には、怪物の名前どころか、顔に継ぎ接ぎがあったとも書かれていません。つまり、その後作られた映画やアニメが、この怪物のイメージを決定づ…

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危険なセリフ

ある保険会社の調査ですが、『社会人1・2年生のやる気を奪う危険なセリフ』というアンケート結果が発表されました。一位は「この仕事、向いてないんじゃない?」です。確かにこれは凹みますよね。しかし、どんな仕事でも、最初から向いている人なんてそうそういるものじゃありません。そう言ってる上司や先輩だって、長く続けているうちに仕事に慣れたのではありませんか?二位が「ゆとり世代だなぁ」。これは日本の教育制度の問題であり、新人クンに責任はありません。いわば、○年生まれだからダメと言われているようなもので、ちょっとかわいそうな気がします。以下、「やる気ある?」、「常識でしょ」、「私が若い頃は・・・」と続きます。…

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エピジェネティクス

今回は、お詫びから始まります。2009年7月のブログで、「獲得形質は遺伝しない」と書きましたが、実は誤りでした。まず、「獲得形質の遺伝」から説明します。例えば、あまりのメタボ体型に嫌気が差し、一念発起してジムに通い、あのCMのようなムキムキのマッチョマンになったとします。しかし、その後あなたに子供ができても、その子までマッチョになるとは限りません。つまり、マッチョな体は遺伝ではなく、後天的に獲得した形質なので、遺伝はしないと考えられてきました。これを主張した科学者は、何代にも渡りネズミの尻尾を切り落としましたが、そのネズミから尻尾の短い仔ネズミが生まれてくることはありませんでした。そのため、獲…

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万有引力

ニュートンが、木からリンゴが落ちるのを見て、地球に引力があることを発見したという話は、半分本当ですが半分はウソです。「万有」という言葉が表しているように、すべてのものは、引力を持っています。すなわち、地球は引力を持っていますが、リンゴの方も引力を持っているということです。ですので、正確に言うとこうなります。地球とリンゴは、お互いの引力に引き寄せられて近づき、最後には衝突してしまった。詳しい数値は後で示しますが、まず万有引力について説明しましょう。ニュートンが1687年に「プリンキピア」の第3編、命題4、定理3で論証したのは以下のことです。2つの物体の間に働く引力は、それぞれの物体の質量の積に比…

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成功している生物

もし、知性を持った宇宙人が地球を発見し、もっとも成功している生命体を探したら・・・。福岡伸一の答えは、意外にもヒトではありませんでした。ちなみに、ここで言う「成功」とは、進化のプロセスにおいてもっとも効率よく増殖し、より多くの子孫を残すこと。生物学的に言うと「自己複製に成功している生物」ということです。ヒトは個体数約69億、平均体重50キロとして、その存在量は約3.45億トン。かなり繁栄しています。ところが、もっと繁栄している生物がいるのです。存在量でヒトを圧倒しているだけでなく、なんとその存在量を毎年毎年新たに生み出しているのです。さらに驚くのは、ヒトを奴隷化して自分の世話をさせ、その褒美に…

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智に働けば

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。お馴染みの、夏目漱石の『草枕』の一節です。この世が住みにくいかどうかは別として、なるほどと思うところは多いにあります。会議などの席であまりに理論だてて発言すると、それは理屈だなどと反論を受けることがあります。しかし、情に訴えるといっても、あまりに感情移入し過ぎると、今度は歯止めがきかなくなり、収拾がつかなくなることもあります。また、こちらとしては筋を通したつもりでも、意地っぱりだとか、頑固者などと陰口を叩かれたりもします。ですので、漱石の言わんとするところは実によくわかります。ところが、森本哲郎が知り合いの…

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ソニー・ロリンズ

題名は忘れてしまいましたが、倉橋由美子の小説に、「毎日ジャズ喫茶に通っているうちに、『モリタート』のアドリブまですっかり覚えてしまった」という一節がありました。それくらい、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』は、空前の大ヒットを記録したアルバムです。当時のジャズ喫茶で、このアルバムがリクエストされなかった日は、一日たりともなかったと言っても過言ではないでしょう。しかし、私はあまり好きではありませんでした。明るすぎるのです。このアルバムの代表作である『モリタート』といい、『セント・トーマス』といい、まるで太陽が燦々と降り注ぐカリブ海の砂浜で、陽気においしいカクテルでも飲んでいるかのよう…

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ルイス親方

最近、世間ではリーダーシップ論について、ずいぶんと喧しい議論が湧き起こっています。リーダーというと、力強くメンバーを牽引していく姿を思い浮かべてしまいますが、本当にそうでしょうか?今回紹介する人物は、チリのコピアポ鉱山の現場監督ルイス・アルベルト・ウルスア、みんなからは「ルイス親方」の愛称で親しまれていた人物です。2010年8月5日、鉱山の落盤事故により、地下700mの避難所に33人の男たちが生き埋めになったことが報道されました。しかし、このニュースが世界中の人々の耳目を集めたのは、その18日後のことです。地表からドリルで穴を開けて調べたところ、なんと全員の生存が確認されたのです。この間、絶望…

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免疫の意味論

自己とは何か?長年、哲学が探し求めていたテーマに、完璧な答えを提示したのは、意外にも「免疫学」でした。多田富男の『免疫の意味論』は、科学者だけでなく文系の人間にも大きな衝撃を与えた書です。特に強烈だったのが、「キメラ」の話でした。キメラと聞いて、その語源となったキマイラを連想した人は、間違いなく文系人間です。キマイラとは、頭がライオンで胴体がヤギ、そして尻尾が毒蛇というギリシャ神話に登場する想像上の動物です。しかし、生物学では想像上の動物ではなく現実のものです。とは言っても、異なる種類の動物の一部分を組み合わせることなんて本当にできるのでしょうか。できます。具体的な例で説明しましょう。まず、ニ…

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サラリーマンの「生きざま」

20代の頃、毎日のように“業務として”連れて行かれた酒の席で、上司が熱く語る先輩達の武勇伝の締めくくりは、いつも決まって「サラリーマンの生きざま」という文句でした。感心したような表情を装いながらも、私は内心辟易していました。なぜなら、その多くは長時間労働の話だったり、朝まで上司の酒に付き合った話だったり、あるいは寝る間を惜しんで資格試験の勉強をした話だったからです。「生きざま」なんて言葉を聞くと、ついつい幕末の志士達を連想してしまう私にとって、それらはあまりにスケールの小さな話に思えてしかたありませんでした。しかし、すぐに私の考えが誤りであることに気付きます。サラリーマンの武勇伝なんて、所詮そ…

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