株式会社ファイブスターズ アカデミー
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前回は『ルパン』での太宰の撮影秘話をお話ししましたが、『ルパン』と言えばやっぱり坂口安吾。自宅では、作業服と昔の大工の前垂れを合体させたような、「安吾服」なる奇妙な創作服の大きなポケットに常にサントリーの角瓶を忍ばせていたそうです。しかし、『ルパン』ではもっぱらジンと卵黄とレモン、そして少々の砂糖を加えたゴールデンフィズというカクテルを好みました。開高健と山口瞳は、もともとサントリーの前身である寿屋の宣伝部員。ですので、ウィスキー好きなのは当たり前。「『人間』らしく やりたいナ トリスを飲んで 『人間』らしくやりたいナ 『人間』なんだからナ」このコピーで一躍名をあげた開高が最も愛したのは、スコ…
黒井千次の『時間』を最後に、小説は読まないという主義を貫いて、もう40年近くになりますが、今回は作家とウィスキーの関係について考えてみたいと思います。なぜそんな気になったかと言うと、三鍋昌春のこんな文章を目にしたからです。「ウィスキーとは基本的に舞台装置で飲む酒ではない。飲み手の知性を引き出し、自我に向かっていざなってくれる酒である。誰と一緒かとか料理の相性はどうかといった外面ではなく、飲み手自身の心の内面との対話に導く」深いですね。ちなみに三鍋は作家ではなく、某洋酒メーカーの部長です。ウィスキーの前では、誰でも自然に文学的センスが磨かれるのかもしれません。作家の酒癖については、矢島裕紀彦の著…
ウォール街をはじめとする支配階級の利権の番犬、ヒラリー。片や何をするかわからない狂犬、トランプ。アメリカは、富裕層が支配する閉塞感に満ちた社会体制をこのまま維持する者を選ぶのか、それとも体制をぶっこわしてくれそうな狂暴な破壊者を選ぶのかという、究極の選択を迫られたわけです。クリントンが勝てば、生活は相変わらず苦しいままで、必死で稼いだお金はウォール街に横取りされるだけ。一方、トランブが勝てば、アメリカで最も危険な男の手に核のボタンを委ねることになります。究極の選択は、狂犬の勝利で終わりました。当初は泡沫候補と見られていたトランプを、モンスターにまで育ててしまったのは一体何だったのでしょうか。そ…
Jリーグチェアマンの村井満のユニークな発想の原点は、かつて勤務していたリクルートにありました。彼はリクルートの本質を、「変化」であると断言します。あなたの会社の本質は何ですか?間違っても「変化」ではありませんよね。変化しているのは、会社を取り巻く環境の方です。環境が激変しているにも関わらず、伝統的なビジネスモデルを踏襲している企業はヤマほどあります。いや正確に言うと、社長が退任するまでの何年間かだけ、伝統的なビジネスモデルが維持できればそれでよいのです。そこには、10年後や20年後といった長期の視点は欠落しています。なぜなら、その時には「自分はもういない」からです。企業が変わらなければならない…
Jリーグチェアマンの村井満が、「PDCAの真ん中にMを置け」と主張しています。つまり、「PDCA」ではなく、「PD“M”CA」だと言うのです。PDCAは、どこの会社でも金科玉条の如く祭壇に祀られていますが、「真ん中にMを置く」とは一体どういうことでしょう?Mとは「ミス」のことだそうです。すなわち、最初からミスのないPDCAは大した成果をもたらさないということです。これはかなり意外な発想です。一般には、ミスを犯さないために綿密なP(計画)が立てられます。そして、D(実行)の最中も常にC(評価)を行って、A(改善)という微修正を繰り返します。すべては、ミスを最小限に抑えるためにPDCAを回すのです…
男性の平均寿命は80.2歳、女性は86.6歳だそうです。その長い人生の中で、ピークというのは一体何歳頃なのでしょうか?判断力などの総合的な能力は、経験が豊富なほど有利なため、中高年の方が高いように思います。しかし、情熱とかエネルギーといったものは、若いときのそれには到底及びません。それからもう一つ、若いときにピークを迎えるのが、「感性」というものではないかと私は思うのです。長編の落語を聴いていて、ふとそんなことを考えました。怪談『真景累ヶ淵』。全編97章からなる超大作です。六代目三遊亭圓生の噺を、8話目の『聖天山』までYouTubeで聴きました。8時間以上かかりましたが、あっという間に引き込ま…
以前、ブルーノートの70周年を記念して結成された、ザ・ブルーノート・セブンというグループのアルバムを聴いていた時、テナーサックス奏者がラヴィ・コルトレーンという人だということに気がつきました。もしかしたらと思ってライナーノーツを読んだら、案の定あのジャズの巨人ジョン・コルトレーンの息子。ところが、驚いたことに彼がサックスを手にしたのは、なんと二十歳を過ぎてからなのだそうです。何でも父親の『ソウル・トレーン』を聴いて感化されたのがきっかけとのこと。ということは、それまであの名アルバムを一度も聴いていなかったことになります。いくら早世したとはいえ、あれほど偉大な父親でさえ、息子にとっては大して存在…
脳の側頭葉に、笑顔にだけ反応する特殊な細胞があることを発見したのは、京都大学霊長類研究所の所長を務めた久保田競です。彼はそれを『笑顔細胞』と名付けました。なぜ、そんな細胞があるのでしょう?その謎を解き明かすためには、まずサルの話から始めなければなりません。大変不思議なことですが、サルは生まれて初めてヘビを見ても必ず逃げます。生まれて初めてクモを見ても必ず逃げます。変だと思いませんか?なぜなら、「ヘビは危険だ!」、「クモは危険だ!」と学習していないのですよ。それなのに、なぜそれらが危険な生き物だとわかるのでしょうか。実はサルの脳の中の、好き嫌いを決める「扁桃核」という神経核に、ヘビにだけ反応する…
先日、何気なく聞いていたラジオで、うつ病を克服した人の話が紹介されていました。なんとなくではありますが、日本の職場でメンタル不全が多発する原因のひとつが分かったような気がしました。バリバリの企業戦士だったその人は、ある日突然「うつ」を発症してしまいます。今でも原因が何だったのか、よくわかっていません。「うつ」とはそういうものです。特にショッキングな出来事がなくても、ある日ふとしたはずみで発症してしまうことがあるのです。この企業戦士もとりあえず仕事を休み、治療に専念する事にしました。ところが、いつまで経っても改善の兆しが見えないまま、ただ時間だけが過ぎていきました。そんなある日、日曜大工が得意だ…
以前、IT企業の管理職研修をしていたとき、こんな悩みを聞きました。「そもそも私は、クオリティの高いプログラムを、人より早く作る能力があったのでマネージャーに登用されました。別に、部下をマネジメントする能力が優れていたから登用された訳ではないんです。でも、いざマネージャーになってみると、そっちの能力の方がはるかに重要なんですよね」今、多くの職場で、専門能力が高いという理由で管理職に登用されるケースが増えています。しかし、専門能力が高いということは、管理職登用にあたり最優先に考えなければならない能力なのでしょうか。例えば、極めて優秀な営業マンを営業マネージャーに登用した場合を考えてみましょう。優秀…
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