株式会社ファイブスターズ アカデミー
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私が若手社員だった頃を振り返ると、上司からほめられた記憶がありません。 とにかく叱られてばかりいました。 当時は、「叱る」ことこそが指導であり、教育そのものだったのです。 でも、そもそも学習に関していうと、「ほめる」ことと「叱る」ことの、どちらがより効果的なのでしょうか。 専門的な研究では、とっくの昔に答えが出ています。 心理学では「ほめる」ことを「強化」、「叱る」ことを「弱化」と言います。 例えばネズミの迷路実験で、二股の分かれ道で常に右側の通路を選ぶようにネズミに学習させる場面を考えてみましょう。 まずは「強化」、つまり「ほめる」方です。 右側を選ぶと、そこには報酬とし…
パソコンの普及に伴い、お客様に対してだけでなく、社内会議のプレゼンテーションの場面でも、必ずと言っていいほどパワーポイントが使われるようになりました。 出回り始めた頃は、物珍しさだけで注目を集めていましたが、スーパー・プレゼンテーションと呼ばれる「TED」がEテレで紹介されると、今度はプレゼンターの演技力?にも注目が集まるようになります。 その結果、スクリーンの前をやたら歩き回る、所謂「TED病」が蔓延しました。 また、マイケル・サンデルのように様々な視点を提示するだけで、いつまで待っても結論が出てこないという重症のプレゼンターもいました。 コンサルタントの秋山進は、『会社の悪口の…
私がまだ若手社員だった頃の話です。 転勤で職場が変わったのを機に、自分の仕事が終わったら、残業せずにさっさと帰宅するようにしました。 居残りしている先輩たちは、特に急ぎの仕事を抱えているわけでもなく、課長がまだ帰らないので仕方なく残っているように見えたからです。 ところが、3日目には上司に呼び出され、別室でミッチリ説教されます。 上司は開口一番こう言いました。 「お前はサラリーマンを何だと思ってるんだ!」 当時、このような会社は珍しくありませんでした。 というより、ほとんどの会社がこんな雰囲気だったのではないでしょうか。 いや、正確に言うと当時だけでなく、「働き方改革」…
私たち中高年世代の中には、AIの能力を過小評価している人が多いような気がしてなりません。 酒の席で決まって聞かれるのは「所詮は機械だから」とか、「人間だったらこういうことができるのに」という発言です。 このように、AIを甘く見ている人たちに共通する点が2つあります。 1つ目は、事務職などデスクワークが中心のホワイトカラーか、ナレッジワーカー(弁護士や税理士といった知識により付加価値を生み出す専門職)であること。 2つ目は、AIに関する本を一冊も読んだことがないことです。 メーカーの製造現場を知っている人ならば、ロボットの進化を目の当たりにしていますので、それにAIが加わっ…
イチローは、日米通算4,257本の安打を放つという前人未踏の大記録を打ち立てましたが、その引退記者会見で「監督は絶対無理ですよ。“絶対”がつきます。人望がない。本当に」と発言して話題になりました。 多くの人は、「これだけの記録を作った人だから、監督だってやれるはずだ」と言いますが、私はそうは思いません。 なぜなら、ビジネスの現場では、プレイヤーとしてきわめて有能だった人が、管理職に昇格したとたんに、チームが機能しなくなるケースが山ほどあるからです。 つまり、「自分自身が動く能力」と、「人を動かす能力」というのは、そもそも全く別物だと思うのです。 その証拠に、名球会入りするようなトッ…
マイルスとブレイキー、そしてシルヴァーの試みは遂に54年2月に結実します。 今も語り継がれる歴史的名演、『バードランドの夜』です。 ブレイキーとシルヴァーの他は、ベースにカーリー・ラッセル、アルト・サックスには売り出し中のルー・ドナルドソン。 MCはもちろん、身長120cmちょっとの「バードランド」専属の名物司会者ピー・ウィー・マーケット。 そして、マイルスの代わりにトランペットを手に登場したのは、そのマーケットに甲高い声で「ニュー・トランペット・センセーション!」と、最大限の賛辞をもって紹介されたクリフォード・ブラウン。 この茶目っ気たっぷりの司会者は、わざとミュージシャン…
「ここは私にとって神聖な場所だ。私の前で麻薬の取引は許さない」 ドイツ生まれの小柄なユダヤ人が、眦(まなじり)を決して雲突くような黒人に対峙します。 見るからに凶暴そうな麻薬の売人が、録音スタジオにまで訪ねた相手はマイルス・デイヴィス。 そして、必死の形相で売人の前に立ちはだかった男こそ、ブルーノートの創業者アルフレッド・ライオンその人です。 マイルスが麻薬に溺れ、仕事にもあぶれていた1952年のことでした。 マイルスがイースト・セントルイスの実家の一室に12日間も閉じこもり、禁断症状との壮絶な戦いに勝利するのはこの一年後。 当時、どん底にあったこの天才トランペッターに…
部下にとって耳の痛いことを、相手の気持ちに配慮しながら、上手に指摘するにはどうしたらいいのでしょう? 学習理論では、これを「フィードバック」と言いますが、立教大学の中原淳教授の著書『実践!フィードバック』に、そのコツが詳しく紹介されています。 それによると、フィードバックの際、まず“SBI”を伝えることが重要なのだそうです。 “SBI”と言ってもソフトバンクの子会社ではありませんよ。 まず“S”ですが、これはシチュエーションのこと。 つまり最初に、状況がどうだったかを伝えるのです。 なぜなら別の状況になれば、正解が違ってくる場合もあるからです。 次に“B”ですが、これ…
その昔、私が若手社員だった頃、まるで日課のように上司から叱られていました。 いや、正確に言うと「叱られる」ではなく、「怒られる」です。 時には大声で「怒鳴られる」ことや、「ゲンコツを食らう」ことさえありました。 怒る側は、部下の気持ちに配慮することなく、ただ感情の赴くままに振る舞っていれば良かった時代の話です。 もしも、あの当時「パワハラ」なる概念が存在していたら、もう少し平和なサラリーマン人生を送れたのではないかと回想する今日この頃です。 ところが、ビジネス環境は一変しました。 最近では、新入社員に遅刻を注意したら、「課長、それってパワハラですよね」と反撃された例まである…
ハリガネムシという、かなり込み入った生き残り戦略を駆使する寄生虫がいます。 もともとは水生生物なので川や沼で暮らしていますが、生まれた赤ちゃん、つまり卵から孵化した幼生は、呆気なくカゲロウやユスリカなどの昆虫に食べられてしまいます。 でも、それで一巻の終わりというわけではなく、その昆虫の腸の中でしぶとく生き続け、じっとその時を待つのです。 やがて、カゲロウやユスリカは羽化して大空に飛び立ちますが、カマキリやカマドウマなどの陸上で生息する昆虫に捕まって食べられてしまいます。 実は、ハリガネムシはこの時を待っていたのです。 ハリガネムシの最終的な宿主は、カゲロウやユスリカなどの小さな…
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