株式会社ファイブスターズ アカデミー

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村上 徹

「了解」と「待て」(2)

1942年6月、アメリカ軍が占領するミッドウェー島の攻略を目指した日本海軍の空母機動部隊は、「赤城」、「加賀」、「蒼龍」、「飛龍」の主力空母4隻を擁する精鋭部隊。 迎え撃つアメリカ軍の戦力は、空母機動部隊と島内の基地航空部隊。 両軍の戦力から見て、誰もが日本海軍の圧勝を予想していました。 ところが、南雲忠一中将の指揮ミスが予想外の結果をもたらします。 そもそも、山本五十六元帥からの命令自体が、やや曖昧なものでした。 その命令とは、「ミッドウェー島の攻略」と「米空母機動部隊の壊滅」。 つまり、2つの命令が優先順位がはっきりしないまま伝えられていたのです。 南雲はまず、偵察機…

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「了解」と「待て」(1)

マネージャーに必要とされる能力のひとつに、「リーダーシップ」があります。 一般に「リーダーシップ」というと、組織の先頭に立って素早く的確な判断を下し、メンバーを鼓舞しながら、組織を成功に導く人物像を思い描いてしまいがち。 早い話が、軍事組織の指揮官のイメージです。 ところが、意外にも軍事組織が理想とするリーダー像は全く逆で、一方的に命令を下すだけの指揮官は最低なのだそうです。 まず、軍事組織における「リーダーシップ」と「マネジメント」の言葉の定義からみてみましょう。 「リーダーシップ」は「統率(Lead)」、「マネジメント」は「指揮(Conduct)」と表現するそうです。 …

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病気の意味

この年になると、病気で入院したり手術する友人の話をよく聞きます。 私自身も医師から塩分制限を言い渡されて、食事には結構不自由しています。 大盛りラーメンを腹いっぱい食べられたらどんなに幸せでしょう。 今となっては叶わぬ夢です。 日野原重明は、言わずと知れた聖路加国際病院の元院長。 105歳で亡くなる直前まで、元気に医療や執筆活動をしていたことでも有名です。 また、京都帝国大学医学部に、現役で合格した秀才でもあります。 如何にもエリート医師街道まっしぐらというイメージがありますが、実はスタート時点で大きな挫折を味わっていました。 大学入学後間もなく結核を患い、療養生活を余儀な…

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六花亭

どこの会社でも、よほど景気が悪くない限り、前年を上回る「売上数字」の目標を立てます。 みんな、少しでも会社を大きくしたいからです。 中には、「売上数字」の達成ノルマがいつの間にか絶対化してしまい、コンプライアンスに抵触しかねない事態が発生している会社もあります。 ところが、従業員が1,300名を超える大企業であるにも関わらず、「売上数字」の目標を一切設定せず、規模の拡大も目指さないという会社があります。 帯広に本社を置く六花亭製菓は、1933年創業の老舗。 この会社には、「売上数字」に代わる明確な目標があります。 それは「客数を増やすこと」です。 この目標を全従業員に徹底…

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悲運のヒバリ

十分な実力があるにもかかわらず、なぜか売れない悲運のジャズ・ミュージシャンは枚挙に暇がありませんが、特にピアニストに多いような気がします。 エルモ・ホープが、やっとのことでブルーノートからデビューを果たしたのは1953年。 幼なじみのバド・パウエルが、デビュー作にして代表作の『ジ・アメイジング・バド・パウエル』を最初に吹き込んだのが1949年8月ですから、あまりにも遅咲きなピアニスト人生でした。 派手さに欠けるスタイルが「没個性」と評価されたのか、世間の注目を集めることもなく、最期はこの時代のお約束の麻薬の過剰摂取で43歳の生涯を閉じました。 その点フィニアス・ニューボーンJr…

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狂暴な番犬

サミュエル・ウィルバーフォース主教が長い演説の締めくくりに、討論相手に対する決定的な質問を発したとたん、会場は爆笑と拍手喝采に包まれました。 と同時に、熱心なキリスト教信者たちは、忌々しい進化論者に対して完全に勝利したことを確信したのです。 時は1860年6月30日。 チャールズ・ダーウィンの『種の起源』が刊行された翌年のことです。 人間はサルから進化したというダーウィンの主張は、キリスト教信者たちにとって、絶対に認めることのできない「邪教」そのものでした。 この日、オックスフォードの博物館で行われた、イギリス科学振興協会主催の会合は異常なまでの人気を呼び、詰めかけたキリスト…

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社畜の列

台風や地震で電車がストップすると、運転の再開を待つサラリーマンが駅前に長蛇の列を作ります。 ネットでは「社畜」と揶揄されていますが、私たちは「雨が降ろうが槍が降ろうが出社しろ!」と、教えられた世代です。 だから、万難を排して出社するのは当たり前だと思っていました。 でも、最近はこんな疑問を感じるのです。 「万難を排して会社に行って、一体何をするの?」 昔は、とにかく会社に行くことが重要でした。 その日に終わらせなければならない仕事などなくても、とにかく会社に行かなければならなかったのです。 ところが、最近はテレワークを導入する会社が増え、仕事はどこでもできる時代になりつつ…

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タワマンと貧民窟(2)

法人税と所得税の減税によって、大企業と富裕層が蓄えた富は一体いくらになっているのでしょう。 その前に参考として、一般庶民の給料がどのくらいか見てみましょう。 給料はアベノミクス以降、徐々にではありますが増えてはいます。 2018年の国税庁の民間給与実態調査によると、給与の平均は432万円(男性531万円、女性287万円)です。 非正規だけを見ると男性229万円、女性150万円。 随分低いですよね。 でも、この人たちも社会保障財源の確保という名目で、消費税負担を強いられているのです。 これでは貯蓄どころではありません。 では、いよいよ本題に入ります。 富裕層は、どの…

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タワマンと貧民窟(1)

元国税庁の調査官だった大村大次郎が、消費税について面白い分析をしています。 消費税が導入されたのは1989年ですが、その直後に法人税と所得税が引き下げられています。 また、消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年の直後にも、法人税と所得税が相次いで下げられています。 この時、法人税減税の恩恵を受けたのは大企業であり、所得税減税の恩恵を受けたのは高額所得者、いわゆる富裕層でした。 どのくらい恩恵を受けたのでしょう? それは、法人税と所得税の税収がどのくらい減ったかを見ればわかります。 では、30年前と現在を比較してみましょう。 法人税収は1989年には19兆円でした…

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臨終の言葉

胃がん患者は、末期になると体がやせ細るそうです。 日々細くなっていく自分の手足を見ていると、どうしても心までやせ細ってしまう人が多いといいます。 しかし、稀にではありますが例外もあります。 ホスピス医の柏木哲夫には、ひとつ気がかりなことがありました。 54歳の、肝臓がんの女性患者のことです。 黄疸が出てから急に衰弱が進んだため、自分自身の体の変化を受け止めかねているのではないかと懸念していたのです。 ところが、ある日の回診で「いかがですか?」と声をかけると、予想もしない言葉が返ってきます。 「先生、お世話になっています。おかげさまで順調に弱っております」 悪戯っぽい…

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