株式会社ファイブスターズ アカデミー
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クルーグマンは非常に優れた経済学者ですので、「流動性のワナ」に陥った状況においては、公共事業などの財政政策は効果が薄く、金融緩和政策がもっとも効果的であることを見事に説明しています。
この話はやや専門的になりますので、苦手な人は読み飛ばしてください。
マクロ経済学を学んだ人なら誰でも知っている、IS-LM曲線でお話しします。
流動性のワナというのは、LM曲線がほぼ水平になってしまった状況です。
このとき財政出動を実施しても、LM曲線に交差しているIS曲線が一時的に右にシフトするだけですので、利子率の上昇も起こらずやがてIS曲線は元の位置に戻ってしまいます。
そこで、金融緩和政策によりLM曲線全体を上方シフトさせようというのが、彼の主張する 「インフレを引き起こすべし」 という趣旨でした。
私は、初めてこの論文を読んだとき、まさに目からウロコが落ちる思いでした。
しかも、クルーグマンだけではありません。
世界の経済学者の主張に耳を傾けてみると、ベン・バーナンキ、アダム・ポーゼン、アラン・ブラインダー、ジョセフ・スティグリッツ、といった有名人たちはすべて 「インフレターゲット論」 を支持していました。
前回、インフレターゲットを採用していないのは日本とアメリカだけと言いましたが、なぜアメリカはインフレターゲット政策を採用しなかったのでしょうか。
それには明確な理由があります。
当時のアメリカにはアラン・グリーンスパン(当時のFRB議長)という”神様”がいたからです。彼の天才的な政策のおかげで、アメリカはかつてないほどの経済成長をしていました。
その後、日本のデフレ不況はますます深刻になり、結局金融当局も量的緩和に踏み切らざるを得なくなったことは、改めて言うまでもありません。
確かに、経済政策や金融政策を決定するということは、とてもむずかしい作業です。
このブログのように、終わってしまったことを後から論評するのは簡単です。
当時の担当者たちは、必死の思いで暗中模索していたというのが実情でしょう。
だからこそ、大切なことは、物事の本質を見抜く力だと思うのです。
その時々の政策判断が正しかったかどうか、あるいはまた、その時々の経済学者の誰の主張が正しかったのかについては、いずれ歴史によって判定が下されます。
歴史というのは、しかるべき時が来れば、冷徹に真実を告げるものなのです。
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