株式会社ファイブスターズ アカデミー

まずはお気軽に
お問い合わせください。

03-6812-9618

5☆s 講師ブログ

円安でボロ儲け(1)

日経新聞は、2023年から「悪い円安」キャンペーンを展開しました。
これを見るだけで、この新聞社がいかに経済学の知識に乏しいかがわかります。
円安で儲けた企業はたくさんありますが、実は「国」もボロ儲けしています。

国民がインフレで苦しんでいる間に、日本政府は円安のおかげでとんでもない利益を叩き出していました。
さらに驚くのは、その儲けの大半を銀行にプレゼントしていることです。
「そんなバカな!」と思うかもしれませんが、これは厳然たる事実です。

詳しく説明する前に、まずは経済学の基礎のおさらいから始めましょう。
一口に「経済学」と言っても、「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」があります。
「マクロ経済学」では、円安は日本にとって有利であると教えています。

しかし、「ミクロ経済学」では必ずしもそうはなりません。
個別に見ていくと、円安が有利に働く企業と、不利に働く企業があるからです。
不利に働く企業にとっては、確かに「悪い円安」ではあります。

その代表は輸入業者。
海外から製品や原材料を輸入している企業にとっては、円安により輸入価格が上がってしまいます。
そうなると、値上がり分を販売価格に転嫁するしかありません。
これが、今回のインフレのメカニズムです。

典型的な例がエネルギー。
電気代はかなり高くなりましたよね。
こんな時、国が打つべき対策は極めて簡単です。
輸入価格の値上り分を、政府が業者に対して補助してやればいいだけです。

補助の話になると、必ず「財源はあるのか」という議論になりますが、心配は御無用。

財源は腐るほどあります。
円安によって政府はかなり儲かっているからです。

具体的に見ていきましょう。
輸出企業や海外で事業展開している企業は、円安により利益が増加しました。
そういう企業の多くは、大企業などの所謂「エクセレントカンパニー」と呼ばれる会社です。
エクセレントカンパニーが儲かれば、日本の法人税収は大幅に増えます。

実際にどのくらい増えたのかというと、2022年度の一般会計の税収は前年度より4兆円も増え、なんと71兆円を超えました。
もちろん史上最高額。

23年度はさらに増えて72兆円超。

内訳を見ると、増えたのは法人税と所得税です。
インフレになると消費税収も増えますが、その額は法人税や所得税に比べれば微々たるもの。
法人税と所得税の税収増により、日本政府は笑いが止まらないほどのボロ儲けをしたのです。

しかし、冷静に考えてみると、この儲けは予定より多く徴収してしまった税金、すなわち「取りすぎた税金」です。
だから、本来は国民に返すべきもの。
なのに、政府は一向に返そうとしません。

「取りすぎた税金」は他にもあります。
2024年10月の衆議院選挙で議席数を大幅に増やしたある野党が、「年収の壁」を103万円から178万円に引き上げることを提案しました。

すると、すかさず財務省が、そんなことをしたら税収が7.6兆円も減ってしまうと猛烈な反撃に出ました。
103万円というのは、基礎控除額48万円に、給与所得控除の最低額55万円をプラスした金額です。
これを超えてしまうと世帯主の扶養から外れ、所得税がかかってしまいます。

でも、累進課税という制度では、インフレになると必ず「所得税の取りすぎ問題」が発生します。
そのため、昭和の時代は基礎控除額を頻繁に見直していました。
今回の野党の提案というのは、1995年から29年間も据え置かれたままになっている基礎控除額を、時代に合わせて引き上げようというものです。

2024年の最低賃金は95年の1.73倍ですので、基礎控除額を同じだけ引き上げると、給与所得控除の最低額との合計は178万円になります。
実に筋の通った理屈ですよね。

財務省は税収が減ると猛反論しますが、昭和の見直しの時にはそんな話は一切出ていませんでした。
当たり前です。
取りすぎた税金を返すだけなのですから。

なぜ今回だけ、財務省はマスメディアを使って「7.6兆円の税収減」を大々的に喧伝したのでしょう。
おかしな話です。

 

 

初めての方へ研修を探す講師紹介よくある質問会社案内お知らせお問い合わせサイトのご利用について個人情報保護方針

© FiveStars Academy Co., Ltd. All right reserved.