株式会社ファイブスターズ アカデミー
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2024年7月末から8月初旬にかけて、為替相場は激しく乱高下しました。
今回はその理由と、併せて為替レート決定のメカニズムについて解説します。
コロナ禍がようやく明けた頃、アメリカで困った事態が起きます。
コロナ対策で過剰なバラ撒きを行った反動で、急激な高インフレに見舞われたのです。
FRBはインフレを抑制するため、強烈な金融引き締めを行わざるを得ませんでした。
その影響で、ドル円レートは1ドル=160円という極端な円安に振れます。
この時何が起こっていたかについては追って解説しますが、この極端な円安は日本にも多大な影響を及ぼしました。
原油や小麦といった輸入品の価格が高騰したのです。
おかげで日本もインフレになりました。
日銀は金融緩和を継続するか、それとも引き締めに転じるかの岐路に立たされます。
しかし、時間が経過するにつれ、インフレ率は2%近くに落ち着き始めました。
なので、日銀の方針転換は緩やかなものになるだろうと、誰もが予想していた2024年7月31日。
日銀総裁の記者会見が、マーケットに大波乱を巻き起こします。
国債買入の減額の発表だけだろうという市場予想に反し、日銀は政策金利を0.25%上げることも発表しました。
その上、日銀総裁と記者との質疑応答が火に油を注ぎます。
上限と考えられていた上げ幅の0.5%について、「壁として特に意識しない」と回答したのです。
さらには、今後も金利を上げ続ける予定と受け取られかねない発言をします。
当然、マーケットは、今後金利は段階的に引き上げられ、しかも大幅な引き上げもあり得ると判断しました。
その直後のことです。
アメリカの雇用統計で、失業率が大幅に悪化したことが発表されたのです。
当然、FRBは9月に大幅な利下げをし(実際9月18日に0.5%の値下げを発表)、そしてその後も段階的に利下げをしていくだろうと誰もが考えました。
一度整理しますね。
簡単に言うと、これから日本は金利を上げ続け、アメリカは逆に下げ続けるだろうという構図が出来上がったのです。
そうなると、日米の金利差は急速に縮まります。
マーケットは激しく動揺しました。
1ドル160円だったドル円レートは、数日のうちになんと143円まで上昇します。
過去に経験したことのない急激な円高です。
この背景には「円キャリー・トレード」という取引があるのですが、それについて説明する前に、そもそもドル円レートはどうやって決まるかについてお話ししましょう。
ドル円レートは、長い目で見れば、日本とアメリカの貨幣供給量(マネタリーベース)によって決まります。
この原理を最初に見つけたのは、投資家のジョージ・ソロス。
2国間のマネタリーベースの比率と、為替レートをグラフにした「ソロス・チャート」は、発表当時大きな反響を呼びました。
両者の間に、あまりに明確な相関関係が見られたからです。
複雑怪奇と思われていた為替レートが、こんな単純な要素で決まってしまうなんて。
ところが、経済学者たちはこの説を徹底的に無視しました。
理由は、ソロスが経済学者ではなかったからです。
愚かなことに、学術の世界が実業の世界を否定したのです。
でも、現在では学者もこの相関関係を認めざるを得なくなり、いくつかの修正モデルが発表されています。
それにしても、どうしてマネタリーベースで為替レートが決まってしまうのでしょう?
この原理について、元日銀副総裁の岩田規久男が、子どもでも分かるような単純化した例話で説明してくれています。
今、日本国内のマネタリーベースが100円で、アメリカが1ドルだと仮定します。
随分と乱暴な仮定ですが、我慢して聞いて下さいね。
この時のドル円レートは、当然「1ドル100円」になります。
次に、日本が追加でもう100円供給したとします。
日本200円に対してアメリカ1ドル。
当然、「1ドル200円」になりますよね。
お分かりいただけましたか?
日本がマネタリーベースを増す、つまり市場に供給する貨幣の量を増やせば、ドル円レートは円安に動くのです。
この原理に従い、円高を是正する目的で、マネタリーベースを大幅に増やした政策がアベノミクスです。
円安は「近隣国窮乏化政策」とも言われるくらいなので、日本の交易条件は大幅に改善しました。
そのおかげで日本の景気は劇的に回復し、失業者も一気に減少しました。
マネタリーベースの他に、日米の金利差を使ってドル円レートを説明する方法もありますが、結局は同じことです。
というのは、金利を上げればマネタリーベースは縮小し、金利を下げればマネタリーベースは拡大するからです。
なぜかというと、金利が高くなればお金を借りる人が減るため、結果的に世の中に流通する貨幣の総量は減ります。
逆に金利が低くなれば、お金を借りる人が増えるので世の中の貨幣量は増えます。
ねっ、同じことでしょ。
でも、アベノミクスの場合はちょっと違っていました。
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