株式会社ファイブスターズ アカデミー
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経営者は、なぜ高い賃金を提示できないのでしょう?
それは、賃金を上げるためには商品価格を上げなければならないからです。
経営者は考えます。
値上げをすれば客離れが起こり、商品が売れなくなるかもしれない。
それは困る。
値上げはできない。
やむを得ない。
低い賃金のままで提示しよう。
でも、この値上げをすれば客離れが起こるというメカニズムは、経営者が勝手に思い込んでいることですよね。
本当にそうでしょうか。
記者はこのメカニズムを検証したのでしょうか。
値上げした会社が、みんな潰れてしまったというエビデンスは見つかっているのでしょうか。
また、値上げ以外に経営の無駄を省くなど、経営者が他に打つべき手はなかったのでしょうか。
実例を見てみましょう。
人手不足が最も深刻だといわれる零細の運送業者のケースで、敢えて中堅の企業に吸収合併されることで、従業員の雇用を守ると同時に給与アップを実現させたという例はいくつもあります。
会社がそのまま存続することが、必ずしも善ではないのです。
そもそも、経営効率の悪い会社が倒産すれば、従業員はより経営効率の良い会社に転職していきます。
その結果、日本全体で見た時の労働生産性は確実に上がります。
厳しい言い方かもしれませんが、非効率的な経営で低い賃金しか払えない会社がマーケットから退場することは、日本経済全体にとってはプラスに働くのです。
この記者に限らず、経済記事を書く記者の多くが、ミクロ経済とマクロ経済の違いを理解していません。
しっかり勉強してから記事を書くべきです。
ただし、下請業者の場合はちょっと事情が異なります。
値上げしたくても、元請けが価格交渉に応じないケースがあるからです。
このことを問題視した厚生労働省は、下請業者から大量に情報を集めた上で、価格交渉に応じない元請会社の社名の公表に踏み切りました。
これにより、ハウスメーカーなど3社の名前が世の中に晒されることになりました。
また、国土交通省の地方運輸局では、通称「トラックGメン」と呼ばれる職員が、運送業者の値上げ交渉に応じない荷主たちを抜き打ちで訪問し、下請け運送業者の厳しい現状を丁寧に説明した上で、値上げ交渉に応じるよう説得して回っています。
記者は、このような人たちの苦労を取材したのでしょうか。
人手不足を短絡的に政府のせいにするのでなく、その背景をもっと掘り下げてから記事を書くべきでした。
目にした事実や、人から聞いた話をそのまま記事にするのなら、小学生でもできることです。
経済学の知識がない記者は、経済記事を書いてはいけません。
考えてもみて下さい。
科学雑誌に、科学知識のない記者が人から聞いた幽霊の話を書くでしょうか。
なぜ、新聞だけが治外法権なのでしょう。
経済学の知識がない記者というのは、例えるなら運転免許の筆記試験に合格できない人のようなものです。
筆記試験に合格していない人は車を運転できません。
なのに、日本の新聞社では大勢の無免許記者が経済記事を書いています。
だから、「戦後最悪の経済状態」などという的外れな記事が世の中に出回るのです。
新聞記者は、「耳学問」に基づいて記事を書くのではなく、チキンと経済学の勉強をしてから書くべきです。
運転免許の筆記試験を、「耳学問」の勉強だけで通った人はいませんよ。
でも、もっと深刻な問題は他にあります。
それは、その間違った記事が、日本の世論を間違った方向に誘導しているという事実です。
これは、ある意味「犯罪」といってもいいのではないでしょうか。
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