株式会社ファイブスターズ アカデミー
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マスメディアは、円安で日本の国力が弱まったと大騒ぎしています。
もし、本当なら大変なことなので早速検証してみましょう。
以前NHKの番組で、ノーベル経済学者のスティグリッツと対談していた日本の若手経済学者が、円安を「円が弱い」と表現しました。
するとスティグリッツが、間髪を入れずその表現は間違いであると注意しました。
もしかしたら、「円が弱い=国力が弱い」という連想ゲームなのかも。
そもそも「国力」とは何のことをいうのでしょう?
「国力」の定義を曖昧にしたままで、弱いとか強いとか議論しても意味がありません。
まずは、「国力」の定義を考えてみましょう。
一般に「国力」とは、GDPの大きさだと思われています。
でも、各国のGDPを比較する時、気をつけなければならない点がひとつあります。
それは、それぞれの国の通貨が異なるということです。
そのため、一旦各国の通貨をドルに換算した上で、ドルベースでGDPを比較しなければなりません。
でも、為替相場が変動すると、その国の生産力は変わっていなくても、ドル換算後のGDPは変化してしまいます。
つまり円安になると、日本のGDPは変わらなくても、ドル換算後のGDPが低下してしまうのです。
おそらく、「円安=国力低下」という主張は、このドルベースで見た時の日本円の価値の低下を指しているのでしょう。
でも、円の価値が下がることは、本当に日本の国力低下を意味するのでしょうか?
今、この考え方が正しいと仮定してみましょう。
すると、ある不都合な事態が生じます。
バブルがピークを迎えていた1990年の為替相場は、1ドル=160円でした。
しかし、バブルが崩壊した途端に、あっという間に円高が進み1ドル=80円になります。
「円安=国力低下」ということは、裏を返すと「円高=国力上昇」ということです。
つまり、バブルが崩壊したことで、日本の国力は2倍になった計算になります。
デフレに突入し、不景気のどん底だったあの頃の日本が、歴史上最高の国力を誇っていたことになってしまうのです。
思い出してください。
多くの企業がリストラに踏み切ったため街には失業者が溢れかえり、新卒者は就職先がないため非正規雇用を選択せざるを得なかったあの頃のことを。
あの頃の日本が、歴史上最高の国力を誇っていたと言われて、納得する人が一体何人いるでしょう。
「円安=国力低下」という主張が、いかにバカげた妄想であるかよくわかりますよね。
でも、この時なぜ一気に1ドル=80円まで円高が進んだのでしょう?
その理由は、日銀が金融を過剰に引き締めたことにあります。
世に言う、「平成の鬼平によるバブル退治」です。
そもそもバブルは、日銀が金融を過剰に緩和したことにより起きました。
その反省から日銀は、今度は逆に思いきり引き締めるという、実に短絡的な考えに走ったのです。
もちろん、これは経済学的に完全な間違いです。
実は、バブルが発生した背景にも円安が関係していました。
順を追って説明しましょう。
バブルが発生する前、ドル円レートは1ドル=240円というかなりの円安水準にありました。
そのおかげで、日本の輸出産業はボロ儲け状態。
この円安レートに怒り狂ったのが、自動車や家電などの日本製品の輸出攻勢により、自国産業がすっかり窮乏化したアメリカです。
1985年9月、アメリカはニューヨークのプラザホテルに先進5カ国の財務相や中央銀行総裁を集め、為替レートを円高に誘導するべく、各国が協調して為替介入することを決めます。
あの有名な「プラザ合意」です。
日本は窮地に追い込まれました。
これ以上、アメリカを怒らせるわけにはいきません。
しかし、かといって急激な円高になると、それまで輸出で潤っていた日本の大企業が軒並み潰れてしまう可能性があります。
そこで、政府からの要請もあり、日銀は市場に供給するマネタリーベースを増やすという「金融緩和策」を取ることにしました。
金融緩和は円安をもたらします。
つまり、各国が協調してドル安を目指す中、日本だけはこっそり円安ドル高の誘導へと舵を切っていたわけです。
ただ、マーケットに供給するお金の量を増やす場合、注意しなければならないことがあります。
それは、インフレ率が跳ね上がるかもしれないということです。
なので、日銀は物価動向に細心の注意を払いながら金融緩和を続けました。
しかし、不思議なことに高インフレにはなりませんでした。
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