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5☆s 講師ブログ

マインドセット(2)

なぜ、現代人は昨日の夜に何を食べたかも覚えていないのでしょう。
それは、狩猟採集時代は食料のことを記憶していないと命に関わる事態になりかねませんでしたが、飢餓とは無縁の現代ではそうではないからです。

年をとると人の名前が覚えられないとか、記憶力が低下すると嘆く人がいますがそれは間違いです。
なぜなら、それらを覚えていないのは、生存にとって大して重要な情報ではないからです。

年をとっても覚えていることこそが、生存にとって重要な情報です。
ただし、子どもの脳だけは例外で、「エピソード記憶」よりも「意味記憶」の方が適しています。
ポケモンのキャラクターをたくさん覚えられるのはそのおかげです。
年をとると覚えられなくなるのは、ゲームのキャラクターなど人生においては大して重要な情報ではないからです。

どうです?
少しは安心できましたか。

最近は記憶の研究が急速に進んでいますが、なんとウソの記憶を作り出すこともできるそうです。
ノーベル賞受賞後、脳の研究に取り組んでいる利根川進らのグループらは、光に反応するたんぱく質の遺伝子をマウスに組み込み、光をトリガーにして経験していない記憶を蘇らせることに成功しました。

でも、そんな面倒くさいことをしなくても、ウソの記憶を作り上げることは難しいことではありません。
お馴染みの「マインドコントロール」ですよ。
極端な睡眠不足などの極限状態に追い込めば、特定のマインドセットを作り上げることは簡単にできます。
かつては、これを利用していた新興宗教もありましたよね。

それにしても、年をとるとなぜこんなにも記憶力が弱くなるのでしょう?
何か、記憶力を鍛えるいい方法はないのでしょうか?

実は、記憶に関して驚異的な能力を発揮する人たちがいます。
今のところ世界でたった62人しか確認されていませんが、「ハイパーサイメシア(超記憶症候群)」と呼ばれる人たちです。
この人たちは、自分に関するエピソード記憶だけは鮮明に覚えています。

そのメカニズムは不明ですが、残念ながら学校で勉強したことに関してその記憶力が発揮されることはないそうです。
何だか、「自己チュー」の究極版みたいな話ですよね。

また、特定の物事に対してだけ、驚異的な記憶力を発揮する人たちもいます。
「サヴァン症候群」です。

映画『レインマン』で、ダスティン・ホフマンが演じたことで有名になりましたよね。
モデルになったキム・ピークという人物は、読破した1万冊以上の本を一字一句記憶していました。
それに比べると、私たちは忘れることが得意です。
大得意といってもいいくらいです。

読んだ本の内容をそのまま記憶するなんてことは絶対にできませんが、その代わり適当に要約した上で、すでに脳の中にあった記憶と勝手に結びつけて編集し、その作り替えたものを記憶することができます。

つまり、「何を記憶するか」は「何を忘れるか」ということでもあるのです。
「何を忘れないか」を選択することは、とりも直さず「何を忘れるか」を選択することに他なりません。

そして、その選択には、その人の生き方が色濃く反映されています。
私たちはこれまでの人生で、生き延びるために必要なものを選択して記憶し、それ以外は忘れてきました。
その人の記憶を明らかにすることは、その人の生き方を明らかにすることです。

そう考えると、モノ覚えの悪さは決して恥ずべきことではありません。
なぜなら、モノ覚えの悪さは、自分の人生において不要な記憶を捨ててきた歴史なのですから。

時々、昔あった出来事の、実に細かい部分まで鮮明に記憶している人を見かけます。
今までは、随分記憶力のいい人だなと感心していましたが、本当にそうでしょうか?
もしかしたら、記憶の選択を誤り、覚えておくべきことを捨ててしまい、どうでもいいことの方を覚えているだけの人かもしれません。

そう考えると、自分の記憶力の悪さはとりあえず棚に上げて、明日から胸を張って生きていけそうな気がしてきました。

ところで、人間の脳は10%しか使われていないという説がありますが、これは明らかに間違いです。

 

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