株式会社ファイブスターズ アカデミー

まずはお気軽に
お問い合わせください。

03-6812-9618

5☆s 講師ブログ

AIにはできない職業(3)

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、分析報告書や計画書などの文章執筆に関わる仕事について、生成AIが与える具体的な影響を調査しました。
すると、ChatGPTを使用することで所要時間は平均40%も減少し、アウトプットの質も18%向上するという結果が出ました。

マッキンゼーの報告では、生成AIにより世界全体で670兆円以上の経済効果がもたらされると予想されています。
日本のGDPが約600兆円ですから、とんでもない経済効果です。

でも、手放しで喜んでいる場合ではありません。
なぜなら、生産性が向上するということは、とりもなおさず労働者の数が少なくて済むことを意味します。
つまり、失業者が生まれるということです。
失業者を出さずに、うまく共存することはできないのでしょうか?

実は、生成AIを導入することで成果が上がっているケースがあります。

コールセンターのカスタマーサービスは、すでに生成AIの導入がかなり進んでいる職業ですが、単純にシステムに回答させるだけの仕組みにしてしまうと、相手の感情を考慮しない無機質なものになってしまう傾向があるそうです。

そこで、プロンプトの冒頭に、「熟練のカスタマーサポートとして回答すること」と入力しておくと、プログラムが勝手に「お力になれそうです!」といった具合に、相手の感情に働きかけるフレーズを自ら学習して付け加えるようになるといいます。

このシステムを導入したことで、カスタマーサポートの生産性は平均14%も向上しました。
特に、スキルの低い労働者の1時間あたりの解決率は、なんと35%もアップしました。

この職業は離職率が高いことで有名ですが、システムを導入することにより離職者を9%近く減少させることができました。
今後、カスタマーハラスメントに対する法律が整備されれば、離職率をもっと低く抑えることが可能になるでしょう。

他に、ソフトウェア開発の仕事も、カスタマーサポートと同様に生成AIの導入が進んでいる職業ですが、こちらの方も好ましい結果が出ているとのこと。

以上より、これらの職業は生成AIによる「労働補完型」の典型例と言えましょう。
ただし、これはあくまで現時点の話。
今後生成AIの精度が飛躍的に進化していくと、これらの職業でも失業者が生まれるようになるでしょう。

そもそも、生成AIがどんなに進化したとしても、人間でなければ絶対にできないという職業なんて、この世に存在するのでしょうか?

生成AIをディスる人たちは、よく「AIは創造性を持たない」と言いますが、この問題については研究者の間でも意見が分かれています。
認知科学者のマーガレット・ボーデンは、創造性を以下の三種類に分類しました。

①組合せ的創造性  
②探索的創造性    
③革新的創造性   

①と②に関しては、生成AIは間違いなく持っているといわれています。
それを証明する驚くべき実験がありますので紹介しましょう。

ディープラーニングは、意味のある画像を段階的に分析して、最終的に数値の並びに変換する人工知能です。
簡単に言うと、「画像→乱数」という流れです。

それでは、逆に最終の乱数が並んでいるだけのデータを遡って、画像に戻すことはできるのでしょうか。
つまり、先ほどとは逆の「乱数→画像」という流れです。
でも、たとえ画像が出力されたとしても、それは意味のあるものでなければなりません。

そこで新たに「判断」を加え、「乱数→画像→判断」という流れにする必要があります。
この時、画像が意味のあるものかどうかは、別のAIに判断させることにしましょう。
このように乱数を画像に戻す人工知能と、画像を判断する人工知能を逆向きに組み合わせて、二つをセットで作動させることを「敵対的生成ネットワーク(GAN)」といいます。

東京大学の池谷祐二の研究室で行われた実験は、ネズミの脳波を記録して、そのデータ数値を人工知能に入力してみるというもの。
結果、次々と画像が出力されてきました。
未知の生物や未来的な乗り物や、奇妙奇天烈な物体などの絵が猛烈なスピードで出力されたのです。
中には、人間が描いたとしか思えない幻想的な風景画もありました。

これはネズミが凄いのか、それともAIが凄いのか?
もちろん、AIです。
なぜなら、もしネズミが凄いならAIなしでも絵が描けたはずだからです。
AIが、ネズミの脳波から絵に関するものをピックアップして具現化したのです。

AIが、相当高度な創作活動を行うことができるのは間違いありません。
ただし、生成AIが③の「革新的創造性」を持っているかどうかは今のところわかっていません。
「革新的創造性」とは、既存のアイデアや知識の枠を飛び越えて、新たなルールを定義する創造性のことですが、どちらかというと現在のAIには欠けているのではないかという意見の方が多いようです。

でも、だからと言って人間がAIより優れているという結論にはなりません。

なぜなら、人類が生み出した過去の創造性のほとんどは、①と②の創造性であり、③の創造性を発揮した事例など、人類の長い歴史の中でも数えるほどしかないからです。

そもそも、全く新しいアイデアといっても、それは結局のところ過去のデータの組み合わせから生まれたものです。
京都産業大学教授の奥田次郎は、「過去を思い出している時と、未来を考えている時の脳の活動は驚くほど似ている」と言います。
どういうことでしょう?

初めての方へ研修を探す講師紹介よくある質問会社案内お知らせお問い合わせサイトのご利用について個人情報保護方針

© FiveStars Academy Co., Ltd. All right reserved.