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5☆s 講師ブログ

ひと晩寝て考えなさい(3)

ドイツの有機化学者アウグスト・ケクレは、ベンゼンの構造解明に取り組んでいました。
ベンゼンが、6つの炭素原子と6つの水素原子から構成されていることはわかっています。
ただ、どのように結合しているのか、その構造がどうしてもわからないのです。

そんなある日、ケクレは不思議な夢を見ます。
目の前で小さな原子をくっつけた大きな原子が飛び回り、それが輪のように連なったのです。
やがて、輪は尻尾をくわえた一匹のヘビとなって回転し始めました。

その時ケクレは閃きます。
「そうだ!ベンゼンは環状になっている」

これが、「ベンゼン環」の構造を解き明かすきっかけとなりました。
輪がヒントとなり、亀の甲羅のような六角形の三辺がそれぞれ二重結合になっている、複雑なベンゼン環の構造が解明されたのです。

実業の世界でも似たような話があります。
発明家のエリアス・ハウは、ミシンの縫い針の構造をどうしたらいいかわからず悩んでいました。
手縫い用の縫い針は、尖った方とは反対側の「頭」の方に糸を通す穴があります。
でも、その構造はミシンには使えません。

そんなある夜、ハウは未開の土地に迷い込む夢を見ました。
気がつくと、槍を持った大勢の先住民に取り囲まれているではありませんか。
絶体絶命。

その時、ハウはあることに気づきます。

彼らの持っている槍の、先端部分に穴が開いていたのです。
夢から覚めたハウは、早速針の「頭」ではなく「先端」の方に穴を開けてみました。

すると、今度はうまくいきました。

まさに、夢のおかげでミシンは完成したのです。

もっと複雑な夢もあります。
1903年、ケンブリッジ大学で生理学の研究をしていたT・R・エリオットは、猫の腸管平滑筋にアドレナリンをかけると、交感神経を興奮させた時と同じ反応が見られることを発見しました。

翌年、交感神経の末端からアドレナリンが放出されているという仮説を英国生理学会で発表しますが、残念ながら注目を集めることはできませんでした。
なぜなら、神経の末端から化学物質が出ているなどと考える研究者は、当時ほとんどいなかったからです。

それから30年あまり経ち、それを証明したのがドイツ人薬理学者のオットー・レーヴィ。
レーヴィはエリオットから実験結果を直接聞いていましたが、どんな実験をすれば証明できるのか皆目見当がつきませんでした。

ある日レーヴィは、ごく微量の分泌物質を検出する方法を夢に見ます。
目覚めると、すぐにその方法をメモに書き留めました。
すっかり安心したレーヴィは再び眠りにつきますが、翌朝メモを読み返してみると全くもって判読不能。

レーヴィがどれほど落胆したか想像に余りあります。

ところが、奇跡は再び起きました。

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