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5☆s 講師ブログ

悪魔の代弁者(2)

ハーディは、あるIT企業の衝撃的な事例を紹介してくれています。
この企業で中核的な仕事に従事する者には、ある特殊な能力が必須だということが判明しました。

それは持って生まれた脳の特徴のようなもので、学歴などとは一切関係なく、勉強で身につくものではないそうです。
もちろん、IT知識とは何の関係もありません。
さらに、別の研究により人口の6%ほどの人間がその特徴を持っていることもわかりました。

するとこの企業は、なんとその特徴をテストする仕組みを自社で開発し、それを使った採用活動を展開し始めたというのです。

あなたの会社はどうですか?
各ポジション毎に、「価値を生む能力」が一体何なのか解明されていますか?
そして、その能力を測定する仕組みは開発されていますか?

さらに、ハーディはもうひとつ、日本企業の最近の変化で気づいたことがあると言います。
それは、ミーティング中に頻繁に使われる単語が二つあることです。
その単語とは「適材適所」と「人財戦略」。

これまで多くの会社は「ゼネラリスト」を育成すると称して、様々な仕事を経験させてきました。
個々の従業員の能力を五角形とか六角形のクモの巣グラフで表した時に、全体的にバランスが取れるように育成してきたのです。

これが、日本企業でスペシャリストが育たない原因です。
B-to-Cを前提に、規格品の大量生産を目指していた時代はそれでよかったのです。
バランスのとれた、協調性に富んだ人材を育成することが正しい「人財戦略」とされ、「価値を生む能力」など議論される機会さえありませんでした。

でも、これからはバランサーの役割はAIが担うでしょう。
従来の人事部の考え方は、根本から変えなければなりません。

これからの人事部は大変です。
社内の各ポジション毎に「価値を生む能力」を解明し、その能力を定量的に数値で明示しなければならなくなるからです。
もちろん、その能力を測定するシステムも開発しなければなりません。

各ポジションに必要な能力を持った人材を「適材適所」で配置する。
これがこれからの正しい「人財戦略」です。
そう考えると、今後企業が発展するかどうかを決めるのは人事部であるとも言えます。

でも、あまりに壮大なテーマすぎて、どこから手をつけたらいいのか皆目見当がつきません。
ハーディは、まず変えなければならないのは日本人の「意識」だと言います。

イギリス人とディスカッションしていると、必ずと言っていいほど異論が提示されるそうです。
全員が「そうですね」と頷くような場面は絶対にありません。
たまに全員が同じ意見に傾いたりすると、決まって「でも、こういう考え方はどうかな」という反対意見が出てきます。

もちろん、本当に反対しているわけではありません。
これは、敢えて反対の立場を取ってみることで、議論を深めようとする“devil’s advocate”という手法だそうです。
無理やり日本語に訳すと、「悪魔の代弁者」。

ただ間違えてはいけないのは、単に反対意見を述べればいいというわけではないことです。
大切なのは、そこに耳を傾けるべき新しい視点があるかどうかです。
つまり、その反対意見が、「価値のある」意見かどうかが重要なのです。
欧米人でも、価値のない反対論を捲し立てる人は大勢います。

先述した「価値を生む能力」という概念は結構漠然としていますが、もしかしたら案外こんなところにヒントが隠されているのかもしれません。
まずは、いつもの打ち合わせや会議で、あなたが「悪魔の代弁者」を演じることから始めてみてはどうでしょう。

 

 

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