株式会社ファイブスターズ アカデミー
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中央防災会議は「予知は困難」という声明を発表しただけで閉会となりましたが、本来目指すべきは政治家や官僚の責任が問われないようにすることではなく、地震による犠牲者を少しでも減らすことです。
調べてみると、大震法が審議された時も「予知は可能」と述べた学者はひとりもいませんでした。
彼らはただ単に、「願望」を述べたに過ぎませんでした。
ところが、願望が独り歩きしているうちに、いつしか「予知は可能」という認識に変わってしまったというのです。
純粋な学問であっても、一度でも政治が関与しそれに予算が絡むと、全くの別物になるという典型例です。
でも、本当に地震の予知は不可能なのでしょうか。
小沢は、『ネイチャー』に「地震予知は不可能」という論文が掲載された、東京大学名誉教授のロバート・ゲラーを取材しました。
冒頭、ゲラーはこう断言します。
「前兆現象はオカルトみたいなものです。確立した現象と認められたものはありません。予知が可能と言っている学者は全員『詐欺師』のようなものだと思って差し支えないでしょう」
なんと、地震予知は詐欺だと言うのです。
事実、アメリカでは80年代以降、地震予知の研究は全く行われなくなりました。
それなのに、ガラパゴスの日本では80年代以降もメイン研究として行われています。
しかも、国からの補助は年間70億円以上。
その理由は二つあります。
ひとつは、阪神淡路大震災が起きるまで、長い間「地震予知」が詐欺まがいであることがバレなかったこと。
もうひとつは、「地震予知」とお題目がつきさえすれば、湯水の如く研究費が湧いて出たことです。
それにしても、「30年以内の発生確率が70~80%」というのは、あまりにインパクトの強い数字のように思えます。
実は、この「インフレ数値」には裏事情がありました。
大災害が発生すると、行政側は必ず準備や対策がどうだったのか問われるので、危険性についは日頃から高めに見積もっておいた方が無難ではあります。
特に東日本大震災以降は、その傾向が強くなりました。
結果、南海トラフ地震の想定は最大マグニチュード9.1に引き上げられ、津波の高さは高知県黒潮町で34.4メートルと「超インフレ」の数値がズラリと並ぶことになったのです。
ところが、その一方で熊本、北海道、能登半島など、地震確率が極めて低いとされた地域で連続して巨大地震が発生し、多くの人が命を落としています。
「明日起きてもおかしくない」はずの東海地震が半世紀近く起きていない一方で、千年に一度の東日本大震災や能登半島地震が起きているのです。
それでもなお、「ここは1%未満」、「あそこは80%」などと発表することに一体何の意味があるのでしょう。
南海トラフ地震が起きた時の責任から逃れるためというのなら、発生確率が低いはずの地域の地震で命を落とした人々に対して、行政は責任を負わなくてもいいのでしょうか。
東海地震や南海トラフ地震の対策費として投じられた莫大な予算のうち、もし何割かでもこれらの地域の耐震対策費用に回されていたら、救えた命もあったのではないでしょうか。
先述した2012年12月の合同部会で、「低い数字が出ると市民の防災意識に悪影響が出る」と発言した委員は、能登半島地震の被災者を前にしても同じことが言えるのでしょうか。
現在の地震調査委員会を見ていると、官僚の責任逃れと、それに便乗した政治家の資金集めのために、地震学者がいいように利用されているように思えてなりません。
でも、利用される学者の側にも問題はあります。
そもそも、物理学や天文学などの自然科学の研究者は、世の中のためになると思って研究をしているわけではありません。
自然の理を知りたくて研究しているだけです。
地震学者もそうです。
そんな時、巨額の研究予算は、地震学者の目にはとても魅力的なものに見えました。
しかも、学術的には全く意味のない会合でも、参加すること自体が学者にとってはステータスになります。
だから、誰も委員になることを断わらないのです。
本当にこれでいいのでしょうか。
地震学者に対して少々失礼な言い方になるかもしれませんが、結構な金額の研究費を貰っているわけですから、もう少し人の役に立つ仕事をしてもバチは当たらないのではないでしょうか。
大地震は人の生死に直結する深刻な災害です。
今こそ地震調査委員会は、地震発生確率の極めて低いエリアで次々と悲劇が起こっている現実を直視し、その上で今一度「国民の命を守る」という原点に立ち返って委員会のあるべき姿を考えるべきです。
私には、地震調査委員会と国民の間には、とてつもなく巨大な断層が存在しているように思えてなりません。
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