株式会社ファイブスターズ アカデミー
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創業から三年後の2001年には、グーグルはすでに数百人規模の会社に成長していました。
ところが、途中入社してきたある経営幹部が管理職の働きに不満を抱き、開発部門では管理職という職制を廃止して、組織をフラット化しようと提案します。
名付けて「脱組織化」。
この人は元々学術の世界の人だったので、大学のような緩やかな体制を好んでいたようです。
グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、この提案を受け入れて管理職制度を廃止し、プロジェクト毎にやりたいエンジニアが集まるという体制に変えてしまいます。
それでどうなったかというと、業務には何の支障も生じませんでした。
それどころか、エンジニアたちは以前よりむしろ生き生きと働いているように見えました。
経営幹部がプロジェクトの進捗状況を知りたい時は、直接エンジニアに尋ねればそれで十分でした。
なんとグーグルは、管理職が必要ないことを証明してしまったのです。
ちょうどその頃、後に「伝説のコーチ」と呼ばれ、アップルのマーケティング担当副社長となるビル・キャンベル、本名ウィリアム・ヴィンセント・キャンベル・Jrが経営相談役としてグーグルにやってきます。
彼はしばらくの間特段何をするでもなく、ただ会社の中をブラブラと歩き回っては、経営陣や従業員の様子をつぶさに観察していました。
そして、ある日ラリー・ペイジにこう進言します。
「ここにはマネージャーを置かないとダメだ」
ラリーは答えに窮しました。
どのプロジェクトも問題なく進行しているのに、なぜ元に戻す必要があるのか。
双方とも主張を譲らず、議論は堂々巡りに陥ります。
そこで、エンジニアに直接聞いてみようということになり、廊下を歩いていたエンジニアを呼び止めました。
「マネージャーがほしいか?」
エンジニアの答えは「イエス」。
理由を尋ねると、「何かを学ばせてくれる人や、議論に決着をつけてくれる人が必要だから」。
何人かに聞いてみますが、皆答えはほぼ同じ。
口を揃えて、何かを学ばせてくれて、意思決定の助けになる管理職が必要だと言うのです。
それから一年後、グーグルは以前の管理職体制に戻してしまいました。
もしかしたら、私たちは管理職の役割を勘違いしているのかもしれません。
私がサラリーマンをしていた頃、管理職は日々の仕事を滞りなく回すため絶対に必要だと思っていました。
管理職は日々発生する様々な問題に対して、最適な対策を瞬時に指示しなければなりません。
毎日が「モグラ叩き」の連続で全く気が抜けませんでした。
でも、グーグルで実証されたように、管理職などいなくても仕事は十分回るのです。
さらには「部下育成」とは、的確な指示・命令を行うことで、できるだけ早く一人前に育て上げることだと思っていました。
しかし、部下が日々の仕事を回すために手順を覚えることは、果たして「学び」と言えるのでしょうか?
どちらかというと受験勉強のように、仕方なく覚えていることのようにも思えます。
本来「学ぶ」という行為には、「自ら進んで学習する」というニュアンスが含まれているはず。
指示・命令で、果たして部下の「学びの欲求」は満たされるのでしょうか?
私たちは、「育成」の本質について、もう一度原点に立ち返って考えてみる必要がありそうです。
実は、仕事を回すための指示・命令よりも、部下たちに議論させることの方が圧倒的に重要です。
議論をするには、自分の頭で考えなければなりません。
これが「育成」に繋がります。
ビル・キャンベルによれば、徹底的に議論することで、問題の8割については最適な結論を導き出すことができるそうです。
結論が出なかった残りの2割については、管理職が最終決断を下せばいいのだと。
これが、ビルの考える「育成」です。
グーグルの元会長であるエリック・シュミットらは、ビルへの敬意を込めて『1兆ドルコーチ』という本を上梓しました。
「1兆ドル」の意味は、ビルがコーチを務めたグーグルやアップルなどの企業の株式価値を全て合計すると、1兆ドルになるからだそうです。
その本の序文で、ペンシルベニア大学ウォートンスクール教授のアダム・グラントは、本質を突いた鋭い疑問を投げかけています。
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