株式会社ファイブスターズ アカデミー
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AIの急速な進化は、私たちの仕事にどのような変化をもたらすのでしょう?
日本のAI研究の第一人者・東京大学大学院教授の松尾豊は、ホワイトカラー層の仕事がAIに取って代わられるのではないかと予想しています。
かつての松尾は、AIが仕事を奪うことはないという立場でしたが、ChatGPTの出現で考えを変えたそうです。
特に専門的な知識が必要な弁護士や税理士、大学教員などは真っ先に失業する可能性があります。
一方、「将来AIが仕事を奪う」という立場だったコンサルタントの鈴木貴博は、逆に「なくなるのは職業ではなく業務の方だ」という考えに変わりました。
鈴木は、AIはあくまで人間業務のサポートに徹するだろうというのです。
でも、GAFAMをはじめとするIT関連企業のリストラの嵐を目の当たりにすると、なかなか楽観的にはなれませんよね。
たとえ、AIが人間をサポートする方向になったとしても、タタキ台となる原稿の作成をすべてAIに頼むようでは、「あなた」というビジネスパーソンが存在する意味がなくなります。
パソコンに質問を入力することさえできれば、その席に座っているのは別に「あなた」でなくてもよいことになります。
かつての日本企業は、採用の際に「協調性」を最も重視していましたが、協調性ならAIの方が圧倒的に優れています。
口答えすることもなく、しかも労働基準法に縛られないので、24時間365日働くことが可能です。
その上、人間よりもはるかに優秀。
そうなると、「あなた」がそこにいる意味は一体何でしょう?
その答えは私にもわかりません。
でも、ヒントらしきものなら見つけました。
AIが作成した模範解答を見ていて、ひとつ気づいたことがあるのです。
それは、答えがとにかく「総花的」なことです。
ネット上の情報を「漏れなく、ダブりなく」上手に網羅すれば、こんな答えになるのでしょう。
でも、複数提示された答えの項目の中で、どれに注力したらいいのかさっぱりわかりません。
これ以上ないほど無味乾燥で、1ミリも「熱意」が感じられないのです。
一橋大学名誉教授で経済学者の野口悠紀雄は、対話型AIとやりとりすると「ものすごく頭がよいバカ」と話しているような気分になると表現しています。
また、大阪大学准教授の内藤智之は、キーワードを入力すると瞬時に絵画を生成してくれる生成型AIについて、「芸術作品」と入力すると誰かの100点ではなく、全員の80点を狙った作品が出てくると指摘しています。
つまり、決して落第点ではありませんが、まあまあ合格水準という程度のものしかアウトプットされないというのです。
だから、その絵画を見て「上手だな」という感想は抱きますが、感動することは決してありません。
もしかしたら、人間とAIの決定的な違いはここにあるのではないでしょうか。
でも、人間にしかできないこととは一体何でしょう?
豆腐業界に革命を起こした相模屋食料の社長・鳥越淳司は、ある若者からこんな質問を受けたことがあります。
「将来起業を考えているが、どんな業界がいいかアドバイスしてほしい」
AIならば、それなりの成長が見込める有望業種を見繕ってリストをアウトプットするでしょう。
ところが、鳥越の答えは若者の予想をはるかに超えるものでした。
「業界も業種も、なんでもいいと思いますよ」
そして、こう続けます。
「いろんな選択肢があると思っているでしょう?
いや、選択肢ってないんですよ。
むしろ、昨日たまたま見つけた事業でいいから『これをやる!』と決めて、全力を注いでみたほうがいい」
儲かるかどうかとか、将来性とかはどうでもいいことなのです。
鳥越は、必要なのは「この場所で生きていく」という人生を懸ける「覚悟」なのだと言うのです。
四六時中生き残る方法を考え、必要とあらば髪を振り乱して必死に取り組む「覚悟」。
それさえあれば、どんな業界でもそこそこ生きていけるのだと。
つまり、AIが提供する有望業種リストなどは全く意味がないものなのです。
鳥越淳司は、その「覚悟」を身をもって体現したひとりです。
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