株式会社ファイブスターズ アカデミー
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民主党が圧勝した2009年8月30日の衆議院総選挙の際、社団法人経済研究センターがまとめた調査では、テレビを主な情報源としていた人の56.6%が、比例区で民主党に投票したと答えています。
一方、自民党に投票した人はたったの15.6%。
ということは、テレビから情報を得ていた人の大半が、民主党を支持していたことになります。
新聞から情報を得ていた人についても、民主党支持48.2%、自民党支持20.6%とテレビとほぼ同じ傾向。
ところが、唯一例外がありました。
それはインターネットです。
ネットを情報源としていた人は、民主党28.6%、自民党34.5%と完全に逆転しています。
情報源をテレビや新聞にするか、あるいはインターネットにするかで、これほどはっきり支持政党が分かれてしまうというのは実に興味深いことです。
これを見る限り、マスメディアの報道は政治的に偏向しているのではないかという疑念が拭えません。
もしかしたら、他の先進国の人々のマスメディアへの信頼度が極端に低いのは、報道の内容が偏っているのではと疑っているからではないでしょうか。
でも、本当にマスメディアがフェイクニュースだとか、政治的に偏った報道などするものでしょうか?
2022年9月、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の国葬義において、菅義偉前首相が弔辞を読み上げました。
翌日のワイドショーで、司会者が「心がこもっていた」と感想を述べたところ、それに反発したコメンテーターがすかさずこう切り返します。
「演出側の人間としてテレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風に作りますよ。政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ。当然、これ電通が入ってますからね」
メディア史に残る超弩級の爆弾発言です。
ところがその後、電通は全く関与していなかったことが判明し、翌日の放送で謝罪に追い込まれました。
このコメンテーターはテレビ局に勤務する社員で、長年ワイドショーのディレクターを務めた大ベテラン。
記者経験がないとはいえ、事実でないことを軽々しく口にして、公共の電波で全国に流してしまった事実は極めて重大です。
この人の場合、ウラ取りをしていないことを発言して、翌日の放送で謝罪する場面が過去に何度もありました。
明らかに、放送法第4条第1項の③「報道は事実をまげないですること」に違反しています。
でも、それよりもっと問題なのは、「政治的意図がにおわないように」テレビ番組を制作していることを、自ら告白してしまったことです。
要するに、テレビ番組には「政治的意図」が巧妙に隠されているという事実を、制作に携わっている本人が暴露してしまったわけです。
これは明らかに、放送法第4条第1項の②「政治的に公平であること」に違反しています。
当初、テレビ局側はこの発言をスルーしていましたが、ある参議院議員が国政の場で追及するとネットで発信したため、慌てて10日間の出勤停止処分に踏み切りました。
でも、処分理由は電通の関与が事実でなかったという点だけで、巧妙な政治的演出の方に関してはお咎めなしでした。
ちなみに、放送法第4条に違反した場合の罰則は「50万円以下の罰金」と定められています。
10日間の出勤停止という処分は、2021年の東京オリンピックで、このテレビ局のスポーツ局員が打ち上げの宴会を催し、そのうちのひとりが誤って2階から転落して大ケガを負った事件で、参加した6人の社員が受けた処分と同じです。
正確には、この時は上司が減給処分を受けていますので、これよりも厳しい処分でした。
でも、コロナ禍で宴会することは別に違法ではありません。
このことから、放送法第4条がいかに有名無実化しているかがわかります。
でも、どこからを偏向報道とするか、その具体的な基準を設けるのは非常に難しいように思えます。
そう考えると、放送法で取り締まること自体不可能なことではないでしょうか。
しかも、放送は新聞と違ってその場限りのものです。
放送作家でタレントの高田文夫は、「放送」という漢字は「送りっ放し」と書くという名言を吐きました。
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