株式会社ファイブスターズ アカデミー
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新しいプロジェクトが発足したり、新しい組織目標を立てたりすると、まるで評論家のようにその問題点をあげつらう人が出てきます。
しかも、その指摘がただ単に不満を並べ立てるだけの野党発言とは違い、意外と的を射ていることもあって「つべこべ言わずにやれ!」と一喝するわけにもいきません。
チーム全員が「右向け右」と命令に従ってくれたら、リーダーはどんなに楽でしょう。
この厄介な「問題指摘マン」をどう扱ったらいいのか悩みますよね。
トヨタでは「問題指摘マン」が現れると、すぐにホワイトボードを持っていきミーティングを始めるそうです。
まず、その人の話をよく聞いて、指摘する問題点を全てホワイトボードに書き出します。
次に、問題点の一つひとつについて一緒に打開策を考えます。
トヨタでは、問題点を指摘する部下は、物事を真剣に考えている人だと捉えています。
確かに、普段から問題意識を持っていないと、問題点の指摘などできませんよね。
「右向け右」の命令に素直に従う部下は扱いやすい人ですが、途中で障害にぶつかるとすぐに上司に指示を求める人でもあります。
普段問題意識を持っていない人間は、自分の頭で解決策を考えることができません。
逆に問題指摘マンは、日頃から何が問題なのかを常に考えている人です。
自分の頭で考える癖がついているので、ホワイトボードの前で議論するうちに、突然対策を思いついたりします。
重要なのは、問題点を指摘することではありません。
その対策を考えることです。
トヨタの口癖にこんなのがあります。
「診断士になるな。治療士になれ」
問題点を指摘するだけの人は、単なる「診断士」に過ぎません。
つまり、「診断士」はあくまで第一段階であり、第二段階が「治療士」なのです。
問題指摘マンは第一段階をクリアしただけですが、それは極めて重要なことでもあります。
第一段階で正しく問題を診断できていないと、第二段階の治療法には着手できません。
つまり、問題指摘マンは治療士に成長する可能性を秘めた人材ということです。
トヨタでは、ホワイトボード・ミーティングでトコトン話し合った後、問題指摘マンをリーダーや、サポート役に任命することが多いそうです。
問題指摘マンは、決して面倒な存在ではありません。
あなたの右腕として活躍してくれる可能性を持った「リーダー候補」です。
トヨタが恐れるもっとも危険な状態とは、組織の誰一人として問題を認識していないことです。
だから、トヨタのリーダーは、部下に対して常に「何か問題はないか?」と問いかけます。
問われた部下は、問題点を探し続けなければなりません。
これが業務の「カイゼン」に繋がります。
「何も問題ありません」と答える部下こそ大問題なのです。
「ハイ、ハイ」と言うことを聞くイエスマンに囲まれていると、確かにリーダーは楽です。
でも、それはただ単にルーティンを回しているに過ぎません。
決して改善や進歩は生まれません。
気がついた時には世の中の変化に取り残されて、組織の衰退が止まらなくなっています。
問題指摘マンとか、リーダーに異論を唱える面倒な人こそが、組織にとっては貴重な存在なのです。
組織を活性化してくれる可能性のある人材なのです。
あなたのチームに問題指摘マンはいますか?
もし、いないならそれこそ大問題ですよ。
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