株式会社ファイブスターズ アカデミー
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ミシガン大学心理学教授のリチャード・E・ニスベットの著書『木を見る西洋人 森を見る東洋人』 (村本由紀子訳)には、東洋人と西洋人の違いに関する様々な研究が紹介されています。
ただし、ここで言う東洋人とは東アジアの人々のこと。
違いはたくさんありますが、まずはコミュニケーション・スタイルから。
西洋人の場合、自分の考えを相手に伝えるための「発信機であれ」と教えられます。
だから話し手にはその場の空気に関係なく、聞き手が理解できる言葉を発する責任があります。
一方、アジア人の方はよい「受信機であれ」と教えられます。
話の内容を理解する責任は、あくまで聞き手の側にあるというのです。
この違いは何となく頷けますよね。
では、モノの認知に関してはどうでしょう?
違いがあるのでしょうか。
認知心理学者の今井むつみと、ディードレー・ゲントナーはとても興味深い研究をしています。
被験者は、子供から大人までの様々な年齢層のアメリカ人と日本人。
まず、「この『ダックス』を見てください」と言って、被験者に「コルク製のピラミッド」を見せます。
これにより、被験者はこの「コルク製のピラミッド」が「ダックス」という名前の物体であることを理解します。
続いて2つのトレイが提示されます。
片方のトレイには「コルクとは材質が異なるが形はピラミッド」、もう片方には「材質は同じコルクだが形がピラミッドとは異なるもの」が載せられています。
そして、「ダックス」が載せられているトレイはどちらかと問われます。
つまり、被験者は「形」で判断するか、あるいは「材質」で判断するかを迫られるわけです。
アメリカ人の場合、2/3以上の人が「コルクとは異なる材質のピラミッド」を選びました。
つまり、「形」を基準にしたのです。
ところが、ピラミッドを選んだ日本人は1/3にも達しませんでした。
多くの日本人は、「材質は同じコルクでも形が異なるもの」の方を選んだのです。
まとめると、アメリカ人は「形で判断する」傾向があり、日本人は「材質で判断する」傾向があるということになります。
これは、被験者の年齢には全く関係なかったそうです。
以上より、アメリカ人は「物体」を対象物と認識する傾向があり、日本人は形ではなく「実体」を認識する傾向があると言えます。
面白い研究ですよね。
でも、この結果をもって、日本人は「うわべ」ではなく「本質」を見抜いているという結論を導き出すのは早計です。
発達心理学者リャンファン・チウは、アメリカ人と中国人の子どもの違いを研究しました。
チウの実験はこうです。
まず、イラストを見せます。
イラストの中央下側にウシが、その左上には①ニワトリ、右上には②牧草が描かれています。
そして被験者には、「ウシは①のニワトリの仲間か、②の牧草の仲間か」という質問が投げかけられます。
どちらも動物であると考えれば①のニワトリです。
一方、ウシは牧草を食べると考えれば②の牧草になります。
アメリカ人の子どもは①のニワトリと答え、中国人の子どもは②の牧草と答える傾向がありました。
つまり、アメリカ人は「分類学上のカテゴリー」を重視し、中国人は「関係性」を重視したのです。
東アジア人が「関係性」を重視するというのは、ビジネスの進め方にも影響があることは容易に想像がつきます。
それについては後で触れることにして、次に文化心理学者の増田貴彦がミシガン大学に在学していた時に行った実験を紹介しましょう。
被験者に水槽で魚が泳ぐカラー・アニメーションを見せるのですが、アニメには大小5匹の魚の他に、水草や石、泡などが登場します。
魚のうち一匹または複数は、明るい色で動きが早いのでかなり目立つ存在です。
8種類の映像を20秒間×2回見せた後、被験者に記憶を再生してもらいます。
アメリカ人(ミシガン大の学生)と日本人(京都大の学生)を比較したところ、目立つ魚に関しては回答に差はありませんでした。
ところが、水や石、泡、水草、動きの鈍い魚といった所謂背景的な要素に関しては、日本人の回答数はアメリカ人よりも6割以上多かったそうです。
これは一体どう解釈したらいいのでしょう。
増田は「アジア人は世界を広角レンズで見ているが、アメリカ人はトンネルのような視野しか持っていない」と結論づけていますが、これはちょっと言い過ぎのような気がします。
でも、この本の題名である『木を見る西洋人 森を見る東洋人』というメタファーを裏づける結果にはなっていますよね。
この結果を、ニスベットはこんな風に解釈しています。
「東アジア人は世界は変化に満ちており、行ったり来たりするものと捉えている」
なるほど。
何となく仏教的な考え方が影響しているような気がしないでもありませんが、いよいよ本題であるビジネスに関する違いについて見てみましょう。
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