株式会社ファイブスターズ アカデミー

ケンブリッジ大学と、アメリカ・スタンフォード大学の共同実験で丸裸にされたのは利用者の性格でしたが、監視カメラが普及したことにより私たちの行動が人の目に晒されるもことも多くなりました。

それを嫌がる人もいますが、監視カメラの設置が最も進んでいる中国では、監視カメラの設置を歓迎する人が多いそうです。
なぜでしょう？

それは、そこら中にカメラが設置されたことで、以前とは比べ物にならないくらい治安がよくなったからです。
犯罪はもちろんのこと、ゴミのポイ捨てや行列への横入りも激減したといいます。

中国では監視カメラを導入する目的が明示されています。
曰く、「監視システムは一人ひとりが中国社会に対して良い人民であるように振る舞うことを期待する」。

まさに、監視カメラは「防犯カメラ」そのものなのです。
中国は民主主義国ではないので、防犯の範囲を超えて政治目的に利用されている可能性は否めませんが、監視カメラが治安の改善に大きく貢献していることは事実です。

ところで、日本でも夕方のニュースショーを観ていると、防犯カメラが捉えた自転車泥棒や、無人販売所での窃盗犯の映像が繰り返し流されています。
また、ドライブレコーダーで撮影された運転マナーの悪い車も世間に晒されます。

テレビ局側は、中国のように治安の改善に有効だと思って放映しているのでしょうか。
でも、視聴者が提供した全く同じ動画が別の局でも流されているところを見ると、ただ単に取材する能力がないだけなのかもしれません。

現在各国でＡＩによるＳＮＳ分析と、監視カメラの顔認証機能のマッチングが密かに進んでいると噂されています。
将来は、犯罪を企んでいる人間を事前に拘束することも可能になるでしょう。
現にアメリカのある都市では、今日はどこで犯罪が起こる確率が高いかをＡＩが予測して、警官がその地区を重点的にパトロールしています。

これに監視カメラによる顔認証機能をマッチングさせれば、防犯体制はかなりのものが出来上がります。
今後は、ＡＩや監視カメラが為政者の都合のいいように利用されないため、どのような歯止めをかけていくかが課題となるでしょう。

一方、ビジネスの世界では、どうやって販売促進に繋げるかがテーマとなります。
キャッシュレス決裁の普及により、私たちの購買行動は完全に丸裸にされました。
購買に至らなくても、スマホで商品を検索したりすると自動的に広告が送られてきます。

そもそも、スマホのＧＰＳ機能によりあなたの行動履歴は丸裸にされています。
このＧＰＳ機能と、ショッピングセンターに設置されている監視カメラの顔認証機能をマッチングさせれば、あなたがどの店に立ち寄って、どの商品の前で何秒立ち止まり、何の商品を手に取ったかまで解析できるようになります。

これは極めて貴重な情報です。
かつてマーケティングの世界では、パコ・アンダーヒルらが人海戦術を駆使し、客の背後を尾行することで入手していた情報です。
それがボタンひとつで簡単に入手できるとなれば、新たな商品開発や店のレイアウト、さらにはどんなＰＯＰが目を引きやすいのかなど、販売に関する新たなヒントが見つかる可能性は大です。
とんでもないビジネスチャンスが潜んでいるはずです。

もちろん、プライバシーの保護が前提となることは言うまでもありません。
例えば、監視カメラが顔認証により個人を特定できるのは、重大な犯罪捜査の時に限定するといったような法律の整備が必要になるでしょう。

ＡＩや監視カメラの進化と、個人のプライバシー保護との鬩ぎ合いが起こると、決まって新聞記者たちは国家による監視体制だなどと大騒ぎします。
でも、その低レベルのＩＴリテラシーで批判記事を書く前に、まずは今まで自分たちがしてきた印象操作の罪深さの方を反省すべきです。