株式会社ファイブスターズ アカデミー
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経営コンサルタントの鈴木貴博の近著『日本経済復活の書』によると、イギリス・ケンブリッジ大学とアメリカ・スタンフォード大学の共同チームが、SNSの利用者が何について「いいね」を押したかをAIで解析したところ、10回の「いいね」に関する情報だけでその人の性格を把握できたそうです。
しかも、同僚よりも詳しく。
さらに300回の「いいね」を解析したら、その精度は配偶者をも上回ったといいますから驚きです。
あなたがSNSに夢中になればなるほど、AIはあなたの性格を丸裸にしてしまいます。
近い将来、占い師は失業してしまうかもしれませんね。
性格が把握されることは大した問題ではありませんが、AIがあなたの行動をコントロールするとなると話は違ってきます。
2010年、フェイスブックが6,100万人の利用者を対象に、選挙に関する実験を行いました。
「今日は投票日です」というバナーとともに、一部の人には友人たちの小さなアイコンを表示して、そこに「彼らは投票しました」というメッセージを添えました。
すると、その表示をした人たちの投票率が、しなかった人よりも約0.4%高くなったのです。
0.4%という数字を侮ってはいけません。
ごく僅かの差が、選挙結果に影響を与えることだってあります。
2016年のアメリカ大統領選挙で、トランプ陣営がイギリスの選挙PR会社ケンブリッジ・アナリティカを通じて、選挙に違法介入したという疑惑が報道されました。
事件発覚の2年後には、その会社が事業を停止してしまったため真相は藪の中ですが、執行役員だったブリタニー・カイザーと、データサイエンティストだったクリストファー・ワイリーがそれぞれ告発本を出版しています。
それによると、有権者のフェイスブックのデータを基に、印象操作が行われたそうです。
まず、トランプかヒラリーのどちらに投票するかまだ決めていない人の中から、確固たる信念を持たない上に、他人の影響を受けやすいという人を抽出します。
そして、その人たちに向けてヒラリーの悪いイメージ情報や、フェイクニュースを送り込んだのです。
その際彼らは、対象層を更に細かく分類していました。
具体的に言うと、フェイクニュースにすぐに飛びつく人、慎重だが知り合いからの情報なら信じる人、権威あるメディアなら信じる人などといった具合です。
そして、それぞれのタイプに合わせて、送る文面をアレンジしたのです。
この会社の戦略が優れていたのは、この作戦を全米で展開するのではなく、接戦が予想される4つの州(ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、フロリダ)に絞ったことです。
かかった費用は6億円ですが、選挙戦の全体予算が250億円ほどであることを考えると大した額ではありません。
結果的に4つの州全てでトランプが勝利を収めました。
4州の選挙人の数は合計75人。
アメリカ50州全体でトランプが獲得した選挙人の数は306人で、ヒラリーは232人ですからその差は74人。
もし、フロリダ州とウィスコンシン州で0.6%の票がヒラリーに流れていたら、第45代アメリカ大統領は別の人になっていたわけです。
彼らの告発が事実ならば、AIが選挙結果に影響を及ぼしたと言えるかもしれませんね。
しかし、このことは果たして問題なのでしょうか?
というのは、インターネットが普及する前から、テレビや新聞による「印象操作」は存在していたからです。
本来、マスメディアは事実の裏付けがとれたものだけを報道するのが原則ですが、日本の複数の新聞社は「疑惑がある」というだけで、長期間に渡りキャンペーンを展開したりしていました。
マスメディアの報道は、とてつもない数の人に向けて発信されるわけですから、選挙結果に与える影響はSNSの比ではありません。
日本のマスメディアは、SNSが普及するずっと前から印象操作を行っていたのです。
だから、もしAIによる印象操作を問題視するのであれば、その前にマスメディアの報道姿勢の方を検証するべきでしょう。
AIの真の問題はそんなことではありません。
AIが私たちの行動を丸裸にしてしまうことです。
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