株式会社ファイブスターズ アカデミー
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入院患者にとって、家族の果たす役割は非常に大きいものがあります。
本人の「治そう」、「生きよう」という意志を後押ししたり勇気を与えてくれます。
ジェンダーフリーが叫ばれる昨今、男女差の話はタブー視される傾向がありますが、世界的に有名な心臓外科医の南淵(なぶち)明宏は、病院でこの家族に関する男女差を如実に感じる場面があると言います。
男性患者の場合、妻や娘、姉や妹といった女性の家族の存在が本当に力になるのだそうです。
もちろん例外はありますが、特に男性と女性の違いが顕著に現れるのは情報収集の段階。
巷に氾濫する様々な情報の中から治療を受ける病院を決める際、女性の場合は直感や人物を重視する人が多いそうです。
例えば電話応対の時の感じとか、第一印象が好きか嫌いかも含めて全体的な病院像を探りながら、所謂「プロファイリング」で候補を絞り込んでいきます。
ところが、男性の場合は、権威や肩書きで病院を選ぶ人が多いと言います。
病院の立地条件で決める人もいます。
立地条件とは自宅から近いかどうかですが、中には「地価」で判断する人もいるそうです。
こんなに坪単価の高い場所に建っているのだから、さぞや名医がいて繁盛しているのだろうという理屈です。
残念なことに、そこでは医師の能力とか実績、医療方針などの項目は検討の対象にされません。
なぜ、多くの男性は権威や肩書きに拘るのでしょうか?
南淵は、ビジネス社会に長く身を置くと権威や肩書き、あるいは組織や単位、さらには学歴や資格といったモノサシで相手を見るクセがついてしまうからではないかと推測します。
それは、肩書きなどを取り去った「素」の自分に自信が持てないことの裏返しなのかもしれません。
もちろん例外はあります。
入院した妻に甲斐甲斐しく付き添って支えとなる男性もいます。
でも、病院に任せっきりにするか、あるいはいないと困るから早く退院させてくれとか、忙しいから家の近くの病院に移して欲しいといった自分勝手な都合を並べ立てる男性の方が圧倒的に多いそうです。
あくまで一般論ですが、男性の場合は合理性を積み上げる「問題解決型」思考の傾向が強く、女性は全体のネットワークを見渡して調和を考える「共感」型の傾向が強いと南渕は言います。
女性の家族が患者の支えになるというのは、こんなことが影響しているのかもしれません。
義理で見舞いに来る客がどんなに多くても、患者の力にはなりません。
たった一人でいいから、患者と心で繋がっている人がいれば患者は勇気づけられます。
南淵によれば、人間というものは、病気になったときに「本性」が出るのだそうです。
特に心臓病の場合、普段は自覚症状がないことが多いため、突然医師から手術が必要だと告げられた瞬間に大きなショックを受けます。
そして、程度の差こそあれ「死」と向き合わなければならなくなります。
途端に、人が変わったように周囲に不満を漏らし始める人。
あるいは、悪態をついて当たり散らす人。
逆に家族のことを気遣ったり、病院スタッフへの感謝を忘れない人もいます。
まさに、ピンチに陥った時こそ、その人の「人間性」が露になるのです。
生きる価値とは、生の喜びとは、人生で何を大切にしてきたか、自分はこの世に何を残せるのか、今まで身近な人の死をどう捉えてきたか・・・。
様々なことが混ざり合って、「本性」として現れてくるのです。
人生観とか死生観というのは、宗教的な教えや知識として身につけるものではなく、その人の生き方、生の軌跡から自然と備わるものです。
そんな南淵が、深く反省させられた出来事がありました。
冠状動脈が全域にわたり激しい石灰化を起こすという、千人に一人いるかどうかの難病患者のバイパス手術を行った時のことでした。
患者は幼い子供を3人も抱える35歳の女性。
医師には事前に手術について詳しく説明する義務がありますが、それは患者の側にもリスクを正しく理解してもらうためです。
でも本音を言うと、執刀する側の心の内にある不安を、共有化しておきたいという思いが少なからずあることも否めません。
ところが手術が無事に終わり、その患者が文集に寄せた手記を読んだ時、南淵は自分自身を大いに恥じ入ることになります。
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