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5☆s 講師ブログ

なぜ、いじめはなくならないのか?(3)

なぜ、多くの子どもたちは、いじめに対して見て見ぬふりをするのでしょう?
それは、「仲裁者」として名乗り出てしまうと、今度はいじめの矛先が自分に向いてしまうおそれがあるからです。
つまり、新たな「被害者」にならないために、「傍観者」の立場に徹しているのです。

でも、そんな「傍観者」でも、何らかのきっかけでいじめが表面化し、加害者への追及が始まると今度は手の平を返したように追及する側に回ったりします。
これは同調圧力というよりも、常に空気を読んで多数派の方に身を置こうとする習性なのかもしれません。

いじめをなくすには火種のうちに対処すべきだと言いましたが、いじめが初期段階にあるうちに、「傍観者」のうちの何人かが勇気を出して「仲裁者」として名乗り出れば、いじめは止められる可能性が高いのです。
ハトの場合も、仲裁する個体がいると攻撃は止みました。

変えるべきは「加害者」の意識ではなく、「傍観者」の方の意識です。
もし、それも難しいというのなら、いじめ対応の専門機関を設置して、「傍観者」が気軽に情報提供できるような仕組みを作ってみてはどうでしょう。
つまり、「いじめをやめさせる」のではなく、「いじめを知らせる」体制を整備するのです。

どうですか?
結構現実的な案だと思いませんか?

しかし、それでも一抹の不安は残ります。
通報を受けた専門機関が、うまく機能するかどうかです。

というのは、企業における「内部通報制度」だって、十分に機能しているとは言い難いケースが散見されるからです。
実際問題として、不正を通報した従業員が逆に不利益を被ったという事例も多々報告されています。
従業員も、もともとは「傍観者」です。
告発すると報復される可能性があるので、見て見ぬふりをしている人が大多数を占めています。

もし、通報を受けた組織が問題を内々に処理しようとするなら、「内部通報制度」は絵に描いた餅に終わってしまうでしょう。
だから、本来通報を受ける機関は「社内」ではなく、「社外」に設置すべきです。
同様に学校のいじめ対応機関も、「教育委員会内」に設置してしまうとおそらく機能しないでしょう。

いじめの問題もコンプライアンスの問題も、根っこの部分は同じではないかと思うのです。
というのは、気になる調査結果がもうひとつあるからです。
正高らが1996年に行った意識調査から、「傍観者」になる生徒の傾向として、「母親密着型」の環境で育った人が多いことがわかっています。

どういうことかというと、いじめを知った時に自分が取る行動は、母親が取るであろう行動と同じであると答えた生徒が非常に多いのです。
その数字は、比較調査したイギリスやグァテマラの一致率をはるかに上回っていました。

父親は会社でコンプライアンス違反に目をつむり、母親はママ友グループ内で目立つのを避ける。
子どもは親の背中を見て育つといいますが、いじめにおける「傍観者」問題というのは大人社会の投影なのかもしれません

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