株式会社ファイブスターズ アカデミー
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2019年度の小・中・高の「いじめ認知件数」は、約61万件で5年連続で過去最高を更新。
前年に比べて12%も増加しました。
2020年度は51万件に減少しましたが、これは新型コロナのために登校できない期間があったためで、有効な対策が講じられたからではありません。
2020年9月、ユニセフが発表した『イノチェンティ レポートカード16~子どもたちに影響する世界 子どもの幸福度を形作るものは何か~』は、先進38ヶ国を対象に「生活満足度」が高い子どもの割合を調査したものです。
トップはオランダの90%で、ほとんどの国が70~80%の間に収まっていますが、日本は62%でビリから2番目。
当たり前のことですが、どこの国でもいじめを受けている子どもの「生活満足度」は低くくなる傾向があります。
頻繁にいじめを受けている子どもだけ見ると、日本の場合は生活満足度が高い人の割合はたった50%で、38ヶ国中最低の水準です。
日本のいじめが、いかに深刻な事態かわかりますよね。
そもそも、なぜいじめは起こるのでしょう?
ヒト以外の動物には、いじめは存在しないのでしょうか?
霊長類学者で発達心理学者でもある正高信男は、「存在しない」と断言します。
ただし、それは「野生の動物は不快と認識するものには近づこうとしないし、危険を感じれば逃げる」からです。
ヒトが原始的な生活をしていた頃、敵として警戒していたのはヒト以外の動物でした。
その後、文明が発達しヒト以外の動物を恐れる必要がなくなった時、ヒト同士の攻撃が始まったのではないかというのが正高の推測です。
しかし、動物にいじめは存在しないといっても、それは決して「みんな仲良く」という意味ではありません。
群れを作る動物には、明確な「序列」が存在します。
例えばニホンザルを見てみましょう。
今、4匹のサルの集団がいたとします。
もっとも力の強いサルが1番となり、以下2番、3番、4番と順位が決まります。
この時順位が隣り合うサルの間には、かなりの緊張関係が発生します。
例えば2番のサルは、1番と3番のサルに対して常に緊張感を持って接します。
なぜなら、力関係の逆転が起こる可能性があるからです。
でも、2番と4番のサルとの間には、力関係の逆転は起こらないので緊張関係は生じません。
だから、この2匹は仲良くなります。
このように、序列が隣り合わないサル同士は仲良くなるのです。
ところが、ヒトの場合は知能が高いため、序列の3番と4番が手を組んで、2番を追い落とすことも可能です。
なので、2番と4番の間でも緊張関係が発生することが起こり得るのです。
サルだって「みんな仲良く」とはならないのですが、ヒトの場合はもっとなりにくい動物だと言うことができます。
ところで、序列のトップが下位の全てを攻撃する動物もいます。
ニワトリです。
時には、高順位のニワトリたちが、寄ってたかって最下位のニワトリを嘴でつついたり蹴ったりします。
だから、狭いゲージで多くのニワトリを飼うと、最下位のニワトリが死んでしまうことがあるそうです。
何だかヒトに似ているなぁと思っていたら、もっとヒトに似ている動物がいました。
ハトです。
ハトは嘴も弱く、ほとんど武器を持たない草食動物です。
平和の象徴に例えられることもある動物ですが、実態はかなり違うようです。
動物行動学の大御所で、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞したコンラート・ローレンツは、アフリカ産のジュズカケバトのメスと、それより温厚なヨーロッパキジバトのオスとの品種交配を試みたことがあります。
念のため、結構広いケージを用意したのですが、翌日ケージを覗いたローレンツの目の前にはぞっとするような光景が広がっていました。
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