株式会社ファイブスターズ アカデミー

まずはお気軽に
お問い合わせください。

03-6812-9618

5☆s 講師ブログ

しない経営(2)

ワークマンには、「頑張ってできても意味がない」という哲学があります。
死ぬほど頑張って四半期の売上目標を達成したところで、そんなことは何の意味もないと土屋は断言します。

会社がやるべきことは、個人の頑張りに頼ることではなく、誰にでもできる仕事として標準化を進めることです。
だから、「短期目標」などは、社員にプレッシャーをかけるだけの無駄な努力でしかないというのです。

社員にプレッシャーをかけてできる程度の「強み」は、数十年に渡ってマーケットで耐えられるような「本物」の強みではありません。
そうではなく、「大きな目標」に向かって社員全体で議論しながら自発的に仕事をしてもらう、これが土屋の理想です。

「しない経営」とは、そこで働く人の立場から見れば「されない経営」ということになります。
つまり、無用な干渉をされないのでストレスがありません。
従業員や加盟店は、自発的に楽しく仕事ができるので結果的に売上がアップします。
本当に理想的な好循環が生まれていますよね。

でも、こんな常識はずれの経営が通用するのは、ワークマンがいるマーケットが競合の少ない「ブルーオーシャン」だからこそ。
作業服の市場規模は全体で約4,600億円。
うち6割が法人相手なので、個人相手は4割しかありません。
法人の方が市場規模は大きいのですが、そこには競争相手が大勢います。

激しい価格競争もあります。

そこでワークマンは、あえて小さいマーケットの方を選んだのです。
「しない経営」とは、言い換えると「捨てる経営」のことでもあります。
ワークマンは拡大志向を捨てて、社員と加盟店、取引先、そして会社を最優先に考える「四方よし」の経営に集中しました。

その結果、ワークマングループの店舗数が880を超えるのに対し、業界第2位の会社は約50店舗。
ダントツのトップです。

しかし、そんなワークマンにも危機感はありました。
今後は、ネット企業との熾烈な競争が待っていると予想されたからです。

そんな時、2年間情報分析に徹していた土屋がいくつかの「異常値」に気づきます。
最初に検知した異常値は、「防水防寒スーツ」でした。
もともと、建設作業者や交通誘導員のために開発されたウェアですが、なぜか売り切れの店舗が続出します。

早速現場に行ってみると、購入しているのはバイクのライダーたちでした。
一般にライダー用の防水防寒着は数万円しますが、ワークマンのは軽量で湿気を逃がす素材を使っているのに上下組で7千円を切る価格設定。
冬場のツーリングには持ってこいの商品でした。

次の異常値は「ファイングリップシューズ」。
厨房で働く人向けに開発した滑らない靴ですが、これが妊婦に売れていました。

保湿性の高い「メリノウールショートソックス」は、登山家の間で大評判。
また、溶接工向けの「綿ヤッケ」は、火の粉が飛んできても燃え広がらないのが受けて、焚き火をするキャンパーたちのSNSで話題に上ります。

ワークマンの製品を、「作業服」ではなく「高機能ウェア」として捉えてみたら、そこに全く別の顧客層が浮かび上がってきたではありませんか。
そこで土屋は、アウトドアウェア中心の新業態「ワークマン・プラス」の展開に踏み切ります。
この時「しない経営」と並んで、もうひとつの柱としたのが「エクセル経営」でした。

初めての方へ研修を探す講師紹介よくある質問会社案内お知らせお問い合わせサイトのご利用について個人情報保護方針

© FiveStars Academy Co., Ltd. All right reserved.