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5☆s 講師ブログ

変わり者が世界を変える(2)

なぜホモ・サピエンスは、命を懸けてまで危険な冒険をしたのでしょう。
これに関して、イギリスのヨーク大学のスピキンスがユニークな論文を発表しています。

スピキンスによれば、「自閉スペクトラム症」の特徴は社会性の欠如などではなく、自分独自の法則に従う傾向だというのです。
言い換えると、あえて「空気を読まない」性格です。
スピキンスは、人類の長い歴史の中で自閉スペクトラム症の人が常に全人口の1~2%程度に維持されてきたのは、この遺伝子がもたらす人間の性格が人類進化にとって重要だったからだと考えます。

さらには、自閉スペクトラム症に関わるとされるいくつかの遺伝子が、ネアンデルタール人には存在していないこともわかっています。
常に空気を読んで、多数派につくことばかりに心を砕いている人は、絶対にイノベーションを起こせないのです。
自分の法則、自らの信念に従って挑戦を止めない人。
そんな人こそがイノベーションを起こすのです。

先日、NHK・BSプレミアムの『プロジェクトX』の再放送で、カシオ計算機のデジタルカメラ開発に纏わる秘話を知りました。
満を持して発売したデジカメ初号機が予想に反して全く売れず、膨大な数の在庫が残ってしまいます。
当然デジカメの開発は中止となり、開発メンバーは責任を取らされて全員閑職に追いやられました。

しかし、どうしても夢を諦めきれない彼らは、会社に内緒で密かに集まりデジカメの研究を再開したのでした。
通称「闇研」。

なんという執念でしょう。
まさに、“specialist”でありながら、挑戦を止めない“generalist”。

いつの時代も、イノベーションを起こすのは、こんな空気を読まない「変り者」たちです。

バブル崩壊後、グローバルな開発競争から日本だけが取り残されてしまったのは、このようなチャレンジ精神が失われてしまったからかもしれません。
アメリカのアイロボット社製の『ルンバ』というロボット掃除機が大ヒットしましたが、そもそもロボット掃除機というアイデアを思いついたのは、日本の家電メーカーの方が先だったそうです。

ところが、その会社の上層部は、ある理由でこのアイデアを却下してしまいます。
その理由とは、もし留守中にロボット掃除機が仏壇にぶつかり、消し忘れていたロウソクが倒れて火事を起こしてしまったら責任が取れないというもの。
こうなると、チャレンジしないための理由を探しているとしか思えませんよね。

ところで、あなたの会社はどうですか?
“specialist”の定義は「何かを極めた専門家」になっているかもしれませんが、“generalist”の方は「いろんなことに挑戦する人」になっていますか。
もしかしたら、「様々な部署を経験し、広く浅い知識を持っている人」という定義になっていませんか。

あるコラムに、転職支援会社の人の話が掲載されていました。
「私は様々な部署を経験した“generalist”です」という人は、単にその会社でしか通用しないという意味での“specialist”なのだそうです。

このようなタイプのサラリーマンが組織のトップとして力を発揮できるのは、大きな技術革新が一段落し、次の目標として「改善」とか「成熟」を目指している段階です。
つまり、出来上がったプロセスの細部を改善したり、部門間の連携を密にすることで、組織全体の生産性の向上を目指すステージです。
ところが現代は、世の中にない全く新しい製品やサービスが求められている時代。
既存システムの改善だとか、成熟といったレベルの話ではありません。

最近、技術職などの所謂“specialist”を、経営のトップに抜擢する企業が増えてきました。
おそらく、過去に専門分野で困難な課題に挑戦した、“generalist”としての経験を買ってのことでしょう。
そんな人物は、例外なく「空気を読まない変り者」です。

そもそも空気を読める人は、成功確率の低いチャレンジなどしません。
もしチャレンジを命令されたとしても、途中で降りるためのもっともらしい言い訳を考えながら着手します。

あなたの会社はどうですか?
あなたの会社のトップは、「何かを極めた専門家」であり、同時に「いろんなことに挑戦する人」ですか?
もしかしたら、「空気を読む」能力だけでトップに上り詰めた人ではありませんか?

もし、そうだとしたら、この先会社が生き残っていくのは難しいかもしれませんよ。
なぜなら、社内の風向きだとか上司の顔色を読む能力というのは、あなたの会社にとっては重要な能力かもしれませんが、イノベーションが求められる時代にはほとんど意味を持たないからです。

必要なのは、「空気」ではなく「時代の先」を読む力です。

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