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5☆s 講師ブログ

こころのうしろ側(3)

それにしても、なぜ厚労省は「2類相当」の分類に拘り続け、またなぜ多くの病院はコロナ患者の受け入れを拒否したのでしょうか?
本来マスメディアが取材するべき問題は、こちらではないのかと思うのです。

再構築を急がなければならないのは、感染症区分に関する適切な判定と、医療機関の協力体制です。
憲法を改正して「緊急事態条項」を盛り込むことは、ロックダウンなどの人流を制限をする目的もありますが、医療機関に対して政府がもっと強い命令を下すためにも必要なことです。
政治家が、医師会からの巨額の政治献金を失う覚悟さえあれば簡単にできるはずです。

今回、明らかに潮目が変わったのは、2021年2月に「改正感染症法」が成立したことでした。
この改正により、厚生労働大臣や知事が医療機関に対して必要な協力を求めることができ、正当な理由なく応じなかった場合には、勧告した上で従わなかった医療機関名を公表できるようになりました。

これを受け、8月中旬には東京都医師会の会長が、「すべての病院がコロナ診療に関わることができるし、関わらないといけない」と決意表明し、地区専門医・往診専門医・在宅診療所・訪問看護などが自宅待機患者を24時間見守る体制を導入すると発表しました。

兵庫県の町医者でありながら、これまで5,000人以上のコロナ患者を診察した長尾クリニックの院長、長尾和宏は「これは、180度方向転換である」と述べています。
でも、もっと早くできたのではないかと思うのは私だけでしょうか。

今回のコロナ騒動を冷静に振り返ってみると、死者数を見る限りは日本が深刻な事態に陥ったとは言えません。
例年よりちょっと危険度が高い、「厄介なインフルエンザ」が流行したという表現の方が適切かもしれません。

深刻なパンデミックは、近い将来トリ・インフルエンザウイルスの変異によってもたらされると言われています。
今回は、その予行演習みたいなものです。
本当の緊急事態はこれから起こるのです。

だからこそ、急いで憲法を改正して「緊急事態条項」を盛り込む必要があるのです。

ところで、大石久和によれば、今回の新型コロナ対応でもっとも厳しい罰則を設けたのはカナダだそうです。
海外からの帰国者は14日間に渡り隔離されましたが、違反した時の罰則が凄まじいのです。
罰金額の最高は、なんと5,000万円!

でも、そんな大金払えませんよね。
安心してください、ちゃんと救済措置があります。
それは、最大6カ月間の禁固刑。
あなたなら、どちらを選びますか?

一方、日本はどうだったでしょう。
帰国後に義務付けられていた健康確認に一度も応じないなど、著しいルール違反があった3人の氏名が、厚労省のHPで公表されただけです。

またイラン政府は、マスクを転売目的で買い占めた者を「見つけ次第、死刑に処す」という緊急令を出しました。
あまりの格差に驚くばかりですが、なぜ外国ではこんなにも厳しく取り締まる必要があったのでしょう。

それは、「宗教」が外出を禁止していない以上、「法律」が禁止しなければならないからです。

オックスフォード大学が、各国の行動制限の厳しさを指数化して比較したところ、最も警戒感が強かった2020年の春でも、日本の行動制限レベルは世界最低水準だったそうです。

なぜ、日本人は法律がなくても自分の行動をコントロールできるのでしょうか。
日本人の「こころのうしろ側」にあって、私たちを支えている原理とは一体何なのでしょう。

その謎を解くヒントを見つけました。
2011年に東日本大震災が起こった時、ニューヨーク・タイムズの日本支局長ニコラス・クリストフは、“Sympathy for Japan,and Admiration”というコラムを掲載しました。

「略奪行為が全くと言っていいほど確認されなかった。日本人には“gaman”という忍耐強さや、想定外の事態に直面しても“shikata ga nai”という冷静な決意がある」

この記事を受け、ジャーナリストの窪田順生は、日本を「ガマン大国」と表現しましたが、外国人にとって日本人の“gaman”というのは、大いなる謎のひとつのようです。

それは日本人が「同調圧力」に弱いからだと言う人もいますが、「同調圧力」だけでは大震災時に略奪行為がほとんど確認されなかった理由が説明できません。
ニコラス・クリストフは、日本人の特徴として“gaman”の他に、“shikata ga nai”を挙げていました。

“gaman”の底流にあるのが、“shikata ga nai”という冷静な決意であるならば、もしかしたら私たちの「こころのうしろ側」にあるのは、仏教の「諸行無常」という教えなのかもしれません。

人間の力では抗うことのできない、大規模な自然災害に次々と襲われる国、日本。
太古の昔から、人知を超えた自然の圧倒的な破壊力の前に、謙虚に頭(こうべ)を垂れるしかなかった日本人。

この過酷な自然環境が、日本人の心の中に“shikata ga nai”という冷静な決意を育んだのかもしれません。
そうだとするなら、3大宗教が日本人の道徳性の謎を解けなかった理由も合点がいきます。

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